銀行カードローンの過剰融資問題で今後の審査はどうなる?

銀行カードローン

テレビCMやインターネットを見ていると、アコムやプロミスなどの消費者金融の広告と並んで、銀行カードローンの広告をよく見かけます。

銀行カードローンは消費者金融とは異なり「低金利で利用できる」という点がメリットですが、2017年4月の国会では銀行カードローンの過剰融資が問題視されています。

参考URL:日本経済新聞 「銀行 カードローン抑制 多重債務問題に対応」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC28H2N_Z20C17A4EA3000/

そこで、今回の記事では銀行カードローンの過剰融資が社会問題化した背景や、金融庁が銀行カードローンに対してどのような指導をおこなっているか…という点について詳しく見ていきます。

また、銀行カードローンを取り巻く規制が強化されるなか、今後の銀行カードローン審査の方向性についても考えていきたいと思います。

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銀行カードローンは消費者金融よりも怖い?

まず「銀行がなぜ個人融資に力を入れ」、そして「なぜカードローンの過剰融資が問題になったのか?」その経緯から見ていきます。

消費者金融よりも契約者数を伸ばしている

下記のグラフは、平成30年1月に発表された金融庁の銀行カードローンに関する調査結果の一部抜粋です。

このグラフを見てもわかりますが、銀行カードローンは2006年ころから徐々に契約者数を伸ばし続け、いまや消費者金融の契約者数を超えています。

このように銀行カードローンの契約者数が著しく増えたのは「貸金業法の改正」が理由です。

貸金業法の改正は2006年におこなわれ、2010年6月に完全施工されましたが、おもに以下の点が法改正の焦点となりました。

「貸金業の適正化」

  • 貸金業への参入条件の厳格化
  • 自主規制強化機能(広告の自粛や過剰融資防止など)
  • 行為規制の強化(悪質な取り立ての禁止など)

「過剰貸し付けの抑制」

  • 指定信用情報機関の創設
  • 総量規制の導入

「金利体系の適正化」
上限金利の引き下げ(出資法上限金利を29.2%から20%へ引き下げ)

ヤミ金融対策の強化

ヤミ金に対する罰則を強化

このなかでも、銀行カードローンが躍進したポイントは「消費者金融の総量規制実施」です。

この法改正が消費者金融各社を弱体化させ、かわりに貸金業法の規制を受けない銀行が消費者金融で借り入れできなくなった顧客を囲い込んだという背景があるのです。

<消費者金融と銀行カードローンの契約者数比較>

引用元:平成30年1月26日 金融庁 銀行カードローン検査 中間とりまとめ
https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20180126/20180126-2.pdf

消費者金融より銀行カードローンが人気の理由

銀行カードローンの契約数が伸びたのは「総量規制を受けないから」という理由だけではありません。

消費者金融の顧客を獲得するために、銀行は以下のようなメリットを続々と打ち出し、その契約数を飛躍的に伸ばしました。

<銀行カードローンの顧客数が伸びたポイント>

  • 総量規制を受けない大きな限度額(前述のとおり)
  • 消費者金融よりも5~10%程度低い金利
  • 消費者金融と同じ即日審査・即日融資
  • WEB申し込みなど、インターネットで誰にも会わずに申し込める便利さ
  • キャッシュカードとローンカードを一体化させた手軽さ

金融庁が問題視している理由

上記のような背景をうけて銀行カードローンは契約数を伸ばしてきたわけですが、その結果さまざまな社会問題が発生し、金融庁もついに指導に乗り出すことになりました。

総量規制対象外が理由の過剰な融資

金融庁が問題視しているおもな点は「銀行の過剰融資」です。

前述のとおり、銀行カードローンは総量規制の影響を受けないため、銀行カードローンの全盛期は「年収の二分の一を超える融資」もおこなわれていました。

また、すでに返済能力を超えている顧客でも、限度額増枠が認められるケースが多々あったようです。

貸金業法の改正は「消費者金融の多重債務問題」がきっかけですが、その裏では消費者金融の多重債務が減り、かわりに銀行カードローンの多重債務者が増える…という異常な事態が発生したのです。

銀行カードローンが理由の自己破産が多発

その結果、直近の2019年2月の朝日新聞ニュースにもあるとおり、一時減少傾向にあった自己破産件数が銀行カードローンの融資残高とともに増え、銀行カードローンでの過剰な借り入れが原因の「自己破産」は増加の一途をたどっています。

参考URL:朝日新聞デジタル 自己破産6.2%増 銀行カードローン抑制したけど…
https://www.asahi.com/articles/ASM2D3J6HM2DUUPI001.html

銀行はなぜカードローン取り扱いを強化したか?

銀行がカードローン事業に力を入れはじめたのには、上記のほかにも理由があります。

銀行の収益低下

その理由のひとつが「企業融資額の低下」です。

景気の低迷や低金利時代が続いたことを背景に、銀行の企業融資案件は減少傾向にありました。

企業への融資案件も与信基準が厳しくなり、さらに低金利施策で融資をしても儲からない…という時代が続いたのです。

そんなときに銀行の救世主となったのが「個人向け融資」です。

メガバンクやネット銀行、さらには地方銀行などがこぞってカードローン事業に力を入れはじめ、あっという間に銀行にとってはなくてはならない収益源となったわけです。

消費者金融の協力体制(保証会社の存在)

さらに、銀行は貸金業法改正で弱体化していった消費者金融とタイアップし、ますますカードローンの契約数を伸ばしてきました。

銀行がカードローン事業に力を入れるまで、銀行は個人向け融資の審査ノウハウはあまり持っておらず、逆に消費者金融がそのノウハウを保有していました。

そこで、銀行は消費者金融各社と提携し「審査業務」と「代位弁済」という二つの業務を消費者金融各社に依頼することで、蓄積された審査ノウハウを銀行カードローン事業に役立てることにしたのです。

貸金業法改正で倒産の危機にあった消費者金融と、銀行カードローンの実績を伸ばしたい銀行とが、まさにWINWINの関係になった…ということになります。

銀行に対する指導でカードローンの広告自粛?

ここからは、銀行カードローンの過剰融資が社会問題化してからの金融庁の指導内容や、今後のカードローン審査の方向性などについて、詳しく見ていきます。

金融庁の指導内容

下記に金融庁が発表した「銀行カードローンの実態調査結果」という資料URLを掲載していますが、この資料のなかに、金融庁が銀行に対してどのような指導を実施したのかがわかる部分があります。

下記に各々の指導ポイントと、その指導を受けて銀行がどのように改善したのかを一覧表にしていますので、ご覧いただければと思います。

指導のポイント指導前指導後
収入証明書を取得する場合の融資額基準の引き下げ・約6割の銀行が融資額100~500万円超の場合のみ収入証明書の提出を求めていた約9割の銀行が貸金業法と同水準の厳格な水準(1社あたり50万円以上の融資)に引下げ
年収に対する融資上限枠の引き下げ・融資上限枠を設定しているのは約5割の銀行のみ上限枠設定行は約9割に増加 うち約7割が他行・貸金業者からの借入額を含め年収の1/2以下に上限枠を設定
返済能力の途上管理・貸付後に年収証明書を定期的に取得する銀行は無し約3割の銀行が、年収証明書の再取得や給振口座情報などにより、顧客の収入状況などの把握を検討中
広告・宣伝の自粛・約7割の銀行で収入証明書不要などの不適切文言あり・ 約4割の銀行が過剰なテレビCMを実施・約3分の1の銀行がアフィリエイト広告を実施・全銀行で不適切文言を削除・CM実施は約2割に減少・アフィリエト広告実施は3割弱に減少、うち約9割が広告の掲載状況を定期的にモニタリング

参考元:金融庁 銀行カードローンの実態調査結果 平成30年8月
https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20180822/01.pdf

年収の三分の一までの借り入れルールを適用する銀行も

上記の金融庁の指導内容をさらに詳しくみていきます。

とくに金融庁の指導が入ってから、銀行カードローンの融資限度額について「返済能力を超える額」が設定されるケースはなくなりました。

また、いまや銀行カードローンのホームページを見ても「〇〇カードローンは総量規制対象外!」ということをうたい文句にしている銀行カードローンはどこもありません。

各銀行とも融資条件には「年収の〇〇%までが限度額」という表記はしていませんが、実際の審査では「返済比率」が重視され、返済能力を超えた融資はおこなわれないようになっています。

「返済比率」とは、利用者の年収に対して借金返済額が占める割合を示すものですが、理想的な返済比率は年収の25~35%程度と言われています。

たとえば、年収が300万円の人なら、年間の理想的な借金返済額の合計は「年間105万円まで」となります。

それを毎月の返済額で計算すると「毎月9万円弱」の返済が理想的ということになります。

ちなみに、この借金返済額にはカードローン以外の「マイカーローン」や「住宅ローン」の返済額も含みます。

以上の背景を受けて、銀行のなかには「限度額は他社借り入れを含めて年収の三分の一まで」と、消費者金融と同じルールを適用する銀行も増えています。

カードローンのテレビコマーシャルが減った?

さらに、以前まではテレビコマーシャルで「〇〇銀行のカードローンは即日融資OK」などという言葉をよく見聞きしましたが、金融庁の指導以降はカードローンの利用をあおるような広告も自粛されています。

そもそも、銀行のカードローンは申し込み時に反社会勢力の一員でないことを確認するため、2018年1月以降は「警察庁データベースのデータ照会」が義務付けられています。

そのため、消費者金融は現在でも即日融資可能ですが、銀行カードローンの融資は最低でも申し込み日の翌日以降となるため、実際には過剰な利用は制限されています。

引用元:全銀協 銀行カードローンに関する全銀協の取組みについて 平成30年12月26日
銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai12/siryou5.pdf

銀行カードローンの今後の方向性は?

最後に社会的な背景や指導を受けて、今後銀行のカードローンの利用や審査基準はどのような方向に向かっていくのか、という点についても考えてみます。

銀行の個人向け融資は減るのか?

現在でも銀行の個人向け融資(カードローンやフリーローン)は、銀行にとっての主力商品となっています。

今後、企業融資を取り巻く事情は変わりつつあります。

ファクタリングを利用する企業や、クラウドファンディングで資金を集める企業なども増えつつあり、企業が審査ハードルの高い銀行融資には頼らずに、民間から資金を調達するケースも増えてきました。

一方、銀行がおこなう個人融資は収益性も高く1件あたりの融資額も少ないため、債務不履行になった場合のリスクも最小限に抑えられるというメリットがあります。

したがって、今後も銀行がカードローン事業に力を入れ続ける方向性は変わらないと予測できます。

その一方で、銀行としては金融庁の指導にしたがわなければ、「行政処分」という結果が待っていますので、過剰融資の抑制や広告の自粛、さらには利用途中の与信調査の徹底などは今後も続く見込みです。

利用者のモラルが重要

ただ、銀行カードローンの過剰融資はすべて「銀行の責任か?」というと、そうではありません。

そもそも過剰な借り入れをしているのは利用者本人であり、いくら銀行が過剰な限度額を設定したとしても、限度額いっぱいまで借りる利用者にも問題があると言えます。

さきほどもお伝えしたとおり、毎月の借金返済額が収入の35%を超えると危険ゾーンに入ります。

参考までに三井住友銀行のカードローンを利用した場合の毎月の最低返済額を見てみます。

  • 借り入れ金額…300万円
  • 金利…14.5%
  • 返済期間…5年

上記の条件でカードローンを利用した場合、毎月の返済額は「70,584円」となりますが、実際の生活ではカードローンのほかに「住宅ローン※家賃を含む」「マイカーローン」「教育ローン」など、さまざまな借り入れを返済していく必要があります。

これらの返済額から理想的な年収を逆算すると、以下の計算となります。

カードローン返済額7万584円
住宅ローン返済額(または家賃)8万円(想定)
マイカーローン返済額2万5。000円(想定)
教育ローン返済額(または毎月の教育費)2万円
【毎月のローン返済額 相当額合計】19万5。584円

この計算を見ると、カードローンで300万円の借り入れをした場合、標準的なモデルケースでは約700万円弱の年収が必要となることがわかります。

逆に申し上げると、700万円以下の年収で300万円以上借り入れている場合は、将来返済不能に陥る可能性が高いということになります。

いずれにせよ、銀行から提示された限度額いっぱいまで借りるかどうかは利用者の判断ですし、借りたお金には返済する義務が発生します。

銀行が過剰融資したから…というのは「返済できない理由」にはなりません。

利用者としても返済シミュレーションなどを活用して、身の丈にあった利用を心がけることが大切です。

参考URL:三井住友銀行カードローン 返済シミュレーション
https://cardloan.smbc.co.jp/pc/payment_simulation/input1

銀行カードローンの審査は厳しくなる?

この点はさきほどからもお伝えしているとおり、金融庁の指導が続く限りは銀行カードローンの審査基準は益々厳しくなることが予想されます。

とくに利用途中の限度額増額については厳しくチェックされますので、以前までのように過剰な限度額が設定されるケースはほぼないでしょう。

また、限度額増枠を申請した場合は、収入証明書の提出を求められるケースもあります。

その収入額によっては、増枠どころか限度額が減らされるケースもありますので、増枠申請も慎重におこなう必要があります。

銀行カードローンでも借り過ぎには注意しよう

この記事の最後でもお伝えしたとおり、銀行の過剰融資に関する問題は銀行だけの問題ではなく、カードローン契約者の「借り方」の問題でもあります。

カードローンを利用するときは「いくらまで借りられるか?」ということばかりに目が行きがちです。

しかし、どんなローンでも大切なのは「借り入れ可能な限度額」ではなく「返済可能な額」です。

各銀行のカードローン公式サイトには、返済シミュレーションができるページがありますので、利用前にはかならずシミュレーションしてからキャッシングすることをおすすめします。

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