年金、ちゃんと払っていますか?
「払えないから」「どうせ年金はもらえないだろうし」と払っていない人はいませんか?
厚生労働省によると、2018年度、自営業などの人が加入する国民年金の保険料納付率は68.1%でした。
今回は、年金を払わないとどうなるのか、払えない時はどうしたらいいのか、対処法をお伝えします。

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そもそも年金とは
年金という言葉を聞いたことはあっても、そもそも『年金』とは何なのかきちんと理解していますか?
年金には、『公的年金』と『私的年金』の二種類があります。
国が運営・管理する『公的年金』と、それに上乗せする形で個人や企業が任意で加入できる『私的年金』の二種類です。
『公的年金』は、主に老後の生活に備えて保険料を積み立てていき、老後を迎えたときに年金を受け取るという仕組みになっています。
日本では、国内に居住する20歳以上の人全員が加入することになっています。
公的年金の仕組み
『公的年金』は、2階建ての構造になっています。
基礎となる1階部分は、20歳から60歳までのすべての人が加入する「国民年金」。
2階部分は、会社員や公務員の方が加入する「厚生年金」となっています。
自営業やフリーランスの方は「国民年金」のみに加入することになりますが、会社員や公務員の方は、それに加えて2階部分の「厚生年金」にも加入していることになります。
『私的年金』はあくまで任意ですが、『公的年金』は支払う義務があり、毎月保険料を収める必要があります。
会社勤めの方は給与から天引きされますが、それ以外の方は、自分で納付期限までに収めなければなりません。
ですが冒頭でも申し上げたとおり、厚労省のデータをみてみると、年金未納者が30%以上いることがわかります。
では、年金を払わないと、どんなことが起こるのでしょうか。
年金を払わないとどうなるの?
年金保険料を払わず、滞納してしまうとどうなるのでしょうか。
年金を払っていないと、以下の事態が起きてしまいます。
- 年金がもらえない
- 障害年金を受け取れない
- 遺族年金が支払われない
- 支払いの催促がくる
- 支払期限をすぎると延滞金が発生する
- 最悪、財産が差し押さえられる
1つずつ、詳しくみていきましょう。
年金がもらえない
国民年金のうち、老後に受け取れる『老齢年金』は最低でも10年以上年金保険料を納めていないと、受け取ることができません。
つまり、例え9年間、年金を支払っていても、将来年金は1円も貰えないということです。
『老齢年金』は、それまでに支払ってきた額に応じて受給額が決まるため、年金の未納期間がある人はその分受け取れる年金も少なくなってしまいます。
生きている限り受給できる『老齢年金』がなくなってしまえば、老後の生活はかなり苦しくなってしまうでしょう。
年金を受け取るのと貯蓄するの、どちらがお得?
2019年度において、支払う国民年金保険料は年19万6,920円です。
対して、将来受け取れる『老齢年金』は年78万100円です。
20歳から60歳まできっちり払うと、40年間で総額787万6800円となります。
『老齢年金』は65歳から受け取れるようになるので、もしも80歳までの15年間受け取るとなると、総額は1170万1,500円となります。
その差は、382万4700円。
自分で貯蓄するよりも、年金を受け取ったほうが多い金額を手にすることができるのです。
当然、80歳よりも長く生きれば、『老齢年金』を受け取る額は増える一方なので、よりお得であるといえるでしょう。
障害年金を受け取れない
65歳から受け取れる『老齢年金』の他に、病気や怪我などで障害を負ってしまった時に受給できる『障害年金』というものがあります。
『障害年金』を受給するには、加入期間の2/3以上年金を支払っているまたは免除があること、また直近1年間に保険料の未納がないことという条件を満たしている必要があります。
年金を払わない状態でいると、当然『障害年金』を受け取ることはできなくなってしまいます。
病気や怪我はなかなか予測できるものではありません。
急に障害を負ってしまった時に、年金を払っておけばよかったと後悔することがないよう、未納状態は回避しておきたいところです。
遺族年金が支払われない
『遺族年金』は、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族への保証を目的とした年金のことです。
配偶者や子供がいる場合、年金を払っていないと、当然問題が発生してきます。
『遺族年金』を受給するには、年金の受給資格期間が25年以上ありかつ2/3以上支払っていなければなりません。
また、2026年3月31日までの間であれば、亡くなった人が65歳未満かつ、亡くなった月の前々月までの1年間に年金の未納がなければ、受給することができます。
もしもの時に、『遺族年金』があるのとないのとでは、大きく違ってきてしまいます。
支払いの催促がくる
年金の支払いは義務です。
当然、未納であることを見過ごされることはありません。
年金を支払っていないと、文書や電話で支払いの催促がきます。
民間業者が取り立てを行っているため、直接家まで訪問してくることもあります。
借金取りのように乱暴で恐ろしいものでは決してありませんが、催促がきたら黄色信号が点ったのだと思ったほうが良いでしょう。
支払期限をすぎると延滞金が発生する
年金の支払期限を過ぎてしまうと、納付する金額だけでなく延滞金が発生する恐れがあります。
延滞金の割合は、支払い期限の翌日から3ヶ月以内であれば2.6%、それ以降になってしまうと8.9%となります。
支払っていない額が多ければ多いほど、延滞金の額も膨らんでいってしまいます。
最悪、財産が差し押さえられる
催促状が来ても無視して年金を支払わないでいると、最悪財産の差し押さえが行われてしまいます。
年金の未納率が高まってしまうと、世代皆で支え合うという年金の仕組みが崩壊しかねません。
そのため、年金を支払っていない未納状態だと、催促状が送られ、最終的には強制的に徴収されてしまうのです。
強制徴収されるのは、給与以外にも、自動車や貴金属など、日常生活に支障をきたさない財産です。
実際、平成28年度には1万3,962件、平成29年度には1万4,344件もの財産の差し押さえが行われています。
差し押さえの対象者は、所得額が300万円以上かつ、7ヶ月以上保険料を支払っていない人です。
ただこの条件は年々厳しくなっているため、今が大丈夫だからといって安心してはいけません。
未納分の年金を支払うにはどうしたらいい?
国民年金の保険料は、期限から2年以内であれば支払うことができます。手元に納付書があればそれを、ない場合は、近くの年金事務所に問い合わせましょう。
支払期限から2年を過ぎてしまうと、時効となり支払うことができなくなってしまいます。
その分、将来受け取れる年金の額は少なくなってしまうので、時効になってしまわないよう気をつけましょう。
一括で払うのが厳しければ分割でも
年金の未納分は、分割で支払うことができます。
無理して一括で払う必要はありません。
分割の金額がいくらになるかは場合によって異なりますが、分割で支払うとしても延滞金は発生し続けます。
もしも分割で支払う場合には、できるだけ古い未納分から順に支払っていくのが良いでしょう。
ただ、分割で支払うためには、理由書が必要になります。
自動で分割にできるわけではなく、なぜ分割にしなければならないのか、市町村役場などに相談しなければなりません。
場合によっては、分割が認められないこともあるでしょう。
また、分割での支払いができるのはあくまで未納分だけであり、現在支払い中の年金保険料には適用できないので注意が必要です。
どうしても年金が払えない場合はどうしたらいい?
年金を支払いたくても、経済的な事情などでどうしても支払えないこともあります。
そういった場合はどうしたらよいのでしょうか。
猶予や免除を使おう
収入が少ない、または安定しないなどの事情がある場合は、年金保険料の支払いを猶予、あるいは免除をしてもらえることがあります。
もしも年金保険料が支払えない場合は、この納付猶予や免除の制度を利用しましょう。
免除の場合、全額きちんと納付した場合と比べれば受け取れる年金は少なくなりますが、0を避けることはできます。
それぞれの制度を知っておきましょう。
納付猶予制度とは
まずは、保険料の猶予制度についてです。
猶予とは、実行時期を先送りし、余裕を与えるということ。
所得が少ないなどの場合に、年金の納付を待ってもらえるという制度です。
2016年6月までは、若年者納付猶予制度といわれていました。
ですが、2016年7月以降、対象年齢が20歳から30歳未満までだったのが変更され、上限が50歳までに拡大されました。
そのため、今は若年者以降も対象とされています。
この納付猶予制度を利用すれば、年金の未納にはならず、差し押さえなどの不安をせずにすみます。
猶予された期間の年金保険料を、10年以内に追納すれば、将来の年金受給額を増やすことができます。
なお、この制度を利用するためには、所得審査などを通らなければなりません。
猶予を受ける条件
納付猶予を受けるには、本人と配偶者の前年所得が一定額以下かつ、20歳以上50歳未満である必要があります。
対象となる前年所得額は、以下の計算式になっています。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円>本人と配偶者の前年所得
例えば、妻と子供あわせて扶養者が2人いる場合は
3×35万円+22万円=127万円
となります。
単身者であれば、所得57万円、年収にすると、所得控除の65万円を合わせて122万円となります。
本人が申請し、承認されると、納付の猶予をしてもらうことができます。
学生納付特例制度もある
収入が少ない学生は、年金保険料を毎月支払うのはとても難しいことです。
そういった学生のために、在学中の納付が猶予される制度、『学生納付特例制度』というのがあります。
大学・大学院・短期大学・高校・高等専門学校などに通う学生で、本人の所得が一定以下であれば申請をすることができます。
所得の基準は以下の計算式となっています。
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額>前年所得
親の収入は関係がなく、あくまで本人の前年所得が基準なので、比較的申請しやすい制度となっています。
学生証や在学証明書などの書類を添えて申請すれば、在学中は未納扱いになりません。
ただ、卒業後や退学した後はこちらの制度は利用できないので、きちんと年金保険料を納付する必要があります。
保険料免除制度とは
猶予の他に、保険料を免除できる制度もあります。
本人や世帯主、配偶者の前年所得から判断され、年金保険料の納付が全額、あるいは一部が免除されるという制度です。
免除の範囲は、全額・3/4・半額・1/4の4区分となります。
どの区分で免除されるか、申請時に希望することもできます。
それぞれ、以下の計算式が条件となっています。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円>前年所得
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額>前年所得
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額>前年所得
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額>前年所得
免除された場合、年金保険料を支払う必要はありません。
ただし、一部免除の場合は、免除されていない分の保険料を支払う必要があります。
また、免除された範囲に応じて、将来受け取る年金の額は調整されます。
全額免除の場合には、全額納付した場合の1/2の年金が受給されます。
3/4免除であれば5/8受給、半額免除であれば6/8、1/4免除であれば7/8受給することができます。
産前産後期間の保険料免除も
2019年4月からは、産前産後期間の年金保険料免除の制度もあります。
出産予定月または出産月の前月から、4ヶ月間の年金保険料が免除されます。
もしも双子以上であれば、出産月の3ヶ月前から6ヶ月分が免除されます。
免除期間は保険料を支払ったものと扱われ、将来受け取る年金の金額には影響がありません。
配偶者からの暴力による特例免除制度も
配偶者からの暴力により住所が異なる場合、配偶者の所得に関わらず、本人の前年所得が一定以下であれば、保険料の免除をしてもらうことができる制度です。
本人が申請すれば、全額あるいは一部を免除してもらえます。
年金が支払えない時は役所や年金事務所に相談を
もしも年金が支払えない場合は、今までにご紹介した制度を利用するためにも、役所の年金課や年金事務所に相談に行きましょう。
然るべきところに行き、猶予や免除の申請を行えば、財産の差し押さえをされる心配もありません。
おわりに
いかがだったでしょうか。
年金を支払うことは義務であり、避けるすべはありません。
放置し続ければ延滞金や差し押さえなどが発生してしまいます。
そうなる前に、きちんと対処することが賢明です。