お金を借りる時に担保するものといえば、通常思い浮かぶのは土地や住居などです。
ところが、年金を担保にお金を借りられる制度があるといいます。
でも、老後の生活の原資である年金を担保にお金を借りてしまっても本当に大丈夫なのでしょうか?
年金だけではお金が足りないのでお金を借りたい…でも担保にできる財産もない、そんな人に向けて、年金を担保にお金を借りる方法をご紹介します。

- はじめての方は30日間無利息!
- 最短30分での審査回答が可!
- 借入が可能かスグ分かる「3秒診断」機能あり
- 実質年率
- 3.0%~18.0%
- 限度額
- 1~800万円
- 審査時間
- 最短30分
- 融資時間
- 最短即日
年金受給者がお金を借りるのは難しい
手軽にお金を借りられる方法といえば、カードローンでしょう。
カードローンを利用するには「安定した収入」があることが求められます。
ただし、年金を安定した収入と認めていないカードローン業者も多いため、どのカードローンでも必ず申し込みできるとは限りません。
また年金受給者は高齢で、返済途中で死亡してしまうと貸したお金を回収できなくなる可能性が高くなります。
そのため、年金を受給する年齢になるとカードローン審査には通過しにくくなることが多いです。
年金だけでは苦しいからお金を借りたいと思っても、高齢になると借り入れのハードルが一気に上がってしまうのですね。
年金担保貸付なら年金を担保にお金を借りられる
年金受給者だから、もうお金を借りるのは難しいのかもしれないとうなだれてしまいたくなりますが、実は年金を担保にお金を借りることができるんです。
年金担保貸付の概要
融資金額 | 10万円~200万円(年金受給額の80%以内) 資金使途が生活必需品の購入の場合は80万円まで |
---|---|
金利 | 年金担保貸付:2.8% 労災年金担保貸付:2.1% |
利用できる人 |
上記年金証書を持っていて現在その年金を受給している人 |
保証人 | 連帯保証人が必要 信用保証機関に保証料を支払えば連帯保証人は不要 |
返済方法 | 福祉医療機構が年金を直接受け取り、返済額を差し引いた残額を利用者の口座に振り込む |
年金担保貸付制度を取り扱っているのは2団体のみ!
日本で年金担保貸付を許可されている事業団体は、いずれも政府系機関の
- 日本政策金融公庫(JFC)
- 行政独立法人福祉医療機構(WAM)
の2つだけです。
この2つの事業団体以外の一般企業などが年金を担保に貸付を行うことは禁止されています。
つまり、違法なのですね。
金融機関名 | 利用できる人 |
---|---|
日本政策金融公庫 | 恩給・共済年金を受給している人(主に公務員の人) |
行政独立訪印福祉医療機構 | それ以外の年金を受給している人(公務員以外の人) |
今回は、福祉医療機構の年金担保貸付を中心に解説していきます。
年金担保貸付の利用条件とは?
年金担保貸付の利用条件はどのようになっているかについて見ていきましょう。
年金担保貸付を利用できる人
年金担保貸付を利用できるのは、以下の年金証書を持っていて現在その年金を受給している人です。
- 厚生年金保険年金証書
- 国民年金・厚生年金保険年金証書
- 船員保険年金証書
- 国民年金証書
- 労働者災害補償保険年金証書
各種共済や恩給は、福祉医療機構部の年金担保貸付融資対象にはならないので気をつけてください。
上記の年金の支払いを受けていても、年金担保貸付を利用できないケースもあります。
年金担保貸付の資金使途は?
年金担保貸付の資金使途は以下のように決められています。
資金使途 | 具体的な使途 |
---|---|
保健・医療 | 入院費、診療費、検査費、医療用器具の購入費、通院等に必要な自動車の購入やその維持費など |
介護・福祉 | 介護施設の利用費用、介護福祉用具の購入・設置費用など |
住宅の改修 | 改修工事・増改築工事費、引っ越し費用など |
教育 | 入学金、授業料、受験費用、資格取得費など |
冠婚葬祭 | 冠婚葬祭にかかる費用、墓地・墓石等の購入費など |
事業の維持 | 事業の運転資金、店舗・作業所の内外装工事費、事業用設備・備品の購入や維持費、事業用車両の購入や維持費など |
債務の返済 | 滞納家賃光熱水費の支払い、滞納税金の納付、滞納社会保険料の納付など |
生活必需品の購入 | 自動車の購入費、家電製品の購入費、家具や寝具の購入費など |
資金使途が決められているとはいっても、ほぼどのような目的のためにも利用できるようになっています。
年金担保貸付はいくら借りられる?
年金担保貸付で借りられる金額は、以下の3つの要件をすべて満たす額の範囲内です。
- 10万円~200万円の範囲内(1万円単位)
資金使途が生活必需品の購入の場合は10万円~80万円の範囲内 - 受給している年金の80%以内の金額
- 1回あたりの返済額の15倍以内の金額
融資金額の元金相当額を2年6ヶ月以内に返済する
年金の中から無理なく返済できる範囲で設定されています。
年金担保貸付の審査の流れ
現に年金を受給しており必ず回収できる見込みがあるため、年金担保貸付の審査のハードルはかなり低いです。
申し込みの相談
独立行政法人福祉医療機構年金貸付課、または年金を受け取っている金融機関で相談をします。
福祉医療機構は申し込みの相談は受け付けていますが、申し込み手続きは一切取り扱っていませんので気をつけてください。
年金担保貸付の申し込み
取扱金融機関で申し込み手続きをします。
受け取り先の口座が取扱金融機関の口座ではない場合は、受取先口座を取扱金融機関の口座に変更する必要がありますので要注意です。
また、ゆうちょ銀行、農協、労働金庫などは年金担保貸付の取り扱いをしていませんので気をつけてください
審査
福祉医療機構で審査が行われます。
審査にかかる時間は4週間~5週間程度です。
審査結果の連絡
融資の審査結果や融資実行日については、取扱金融機関から申込者本人に電話連絡が入ります。
融資の実行
貸付金は、融資実行日に指定した口座に振り込まれます。
返済
融資が実行された後は、年金はまず福祉医療機構に振り込まれます。
福祉医療機構が、利用者に代わって受け取った年金の中から返済額を回収し、その残額が利用者が指定した口座に振り込まれます。
年金担保貸付の利用者が返済の手続きを行う必要はありません。
年金担保貸付の審査に必要な書類
年金担保貸付の審査に必要な書類は以下の通りです。
- 借入申込書
- 年金証書
- 現在の年金支給額を証明する書類
- 実印及び印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 本人確認書類
- 資金使途の確認資料
- 保証人
このうち、
- 現在の年金支給額を証明する書類
- 本人確認書類
- 資金使途の確認資料
は、具体的にどのようなものを提出すればいいのか迷いやすいので、詳しく解説していきます。
現在の年金支給額を証明する書類
年金支給額を証明する書類は、次のうち何かもっと新しいものを1つ用意してください。
【国民年金・厚生年金の場合】
年金振込通知書 | 年金額改定通知書 |
年金決定通知書 | 年金決定通知書・支給額変更通知書 |
国民年金(基礎年金)の支払いに関する通知書 | 年金送金通知書 |
年金支払通知書 |
【労働者災害補償保険の場合】
年金等振込通知書または年金等送金通知書 | 変更決定通知書 |
支給決定通知書 | スライド等による変更決定通知書 |
本人確認書類
本人確認書類は、以下の写真付き証明書の家からいずれか1点を申込時に提示して、その写しを提出します。
運転免許証または運転経歴証明書 | パスポート |
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳 | 住民基本台帳カード |
外国人登録証明書、在留カード、特別永住者証明書 |
- 現在の年金支給額を証明する書類
- 本人確認書類
- 印鑑登録証明書
申込者の名前と住所がこの3点の書類で全て一致していなければなりませんので、注意してください。
資金使途の確認資料
見積書や領収書、カタログなど金額がわかるものを用意します。
ただし、借入金額が10万円の場合は確認資料は不要です。
資金使途 | 確認資料 |
---|---|
保健・医療 | 入院・手術・治療・検査・薬剤費にかかる請求書、領収書、診断書、通院の予約券、薬の処方箋や説明書 医療用・健康用器具購入にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書など |
介護・福祉 | 介護施設入居・利用料金にかかる見積書、請求書、領収書、介護用器具購入等にかかる見積書、請求書、カタログ、領収証など |
住宅の改修 | 改修工事にかかる見積書、請求書、領収書 住宅、土地購入にかかる見積書、領収書 引っ越し費用にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書など |
教育 | 入学金・授業料にかかる見積書、請求書、領収書 資格取得・学習経費にかかる見積書、請求書、カタログ、領収証など |
冠婚葬祭 | 冠婚葬祭費用にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書など |
事業の維持 | 事業の原材料仕入れにかかる見積書、請求書、領収書 事業用設備等の購入・維持にかかる見積書、請求書、カタログ、確定申告書、領収書 事業用車両の購入・維持にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書 |
債務の返済 | 債務契約書 返済計画表 家賃、光熱水費、税金支払いにかかる滞納請求書、領収書 |
生活必需品の購入 | 物品購入にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書 |
年金担保貸付を利用するメリット・デメリット
年金担保貸付を利用することでどのようなメリット・デメリットが生じるかについて考えてみましょう。
年金担保貸付を利用するメリット
年金担保貸付を利用するメリットには次のようなものがあります。
カードローンと比べて金利が非常に低い
年金担保貸付は、銀行カードローンや消費者金融を利用する場合と比べて格段に金利が低いです。
年金受給者は収入が年金のみという人も多いですから、低金利でお金を借りられるのは大きなメリットだといえるでしょう。
年金担保貸付 | 2.8% |
---|---|
労災年金担保貸付 | 2.1% |
銀行カードローン | 約15% |
消費者金融 | 約18% |
返済遅れの心配がない
福祉医療機構が返済手続きを済ませてから利用者の口座に年金を振り込んでくれますので、利用者は返済手続きを行う必要がありません。
民間の金融機関からお金を借りる場合は自分で返済を行っていかなければならず、うっかりして返済し忘れてしまうこともありますが、そうした心配がないのは非常に安心です。
資金使途が比較的自由
借りたお金の使い道が比較的自由なのもうれしいです。
保健・医療費や生活必需品はともかくとして、滞納金の返済にも利用できる貸付金というのは珍しいのではないでしょうか?
年金担保貸付を利用するデメリット
では、年金担保貸付を利用するデメリットの方はどうでしょうか?
融資実行までに非常に時間がかかる
年金担保貸付の審査期間は1ヶ月間程度です。
申し込みをしてから融資が実行されるまでにかなり時間がかかるので、今すぐお金が手元に入ってこないと困るという人に向きません。
どうしてもすぐにお金が必要だという場合は、銀行カードローンなどを利用する方がいいでしょう。
連帯保証人が必要
年金担保貸付に申し込みをする際には、原則として連帯保証人が必要です。
連帯保証人は、
- 70歳未満
- 3親等以内の親族
- 同じ都道府県に住んでいる人
のすべての条件を満たしている必要があります。
申し込み時には連帯保証人も一緒に金融機関に来店しなければなりませんし、利用者が返済途中で亡くなった場合にはもちろん連帯保証人が残債を支払わなければなりません。
親族に迷惑をかけるのはどうしても嫌だというのであれば、保証料支払って信用保証機関を利用する方がいいでしょう。
2022年3月末で受付を終了する
年金を担保にお金を借りられる年金担保貸付は、年金受給者にとっては心強い借入先ですが、年金担保貸付は2022年3月末で新規受付を終了します。
年金担保貸付がなくなってしまったら、今後はどこでお金を借りればいいのか不安になってしまう人もいるでしょう。
そのような人には「生活福祉資金貸付制度」の利用をおすすめします。
社会福祉協議会が実施主体なので、こちらも安心して利用できますよ。

おわりに
年金受給者は、土地などの不動産でも持っていない限り民間の金融機関からはなかなかお金を借りられません。
一般的な融資商品は、年金受給者を申込者から除外しているケースが多いからです。
国が認めている年金担保融資なら、これといった財産を持たない年金受給者でも安心して借り入れができます。
あと数年で貸付制度自体は終了しますが、代替となる制度はほかにもありますので安心してください。
