いまや「大学生の2.6人に1人は奨学金を利用している」と言われています。
その一方で、奨学金を返済できないひとも増えています。
直近のデータでは410万人が奨学金を返済しており、そのうち毎年約2,000人が自己破産に陥っているという報告もあります。(平成28年度には2,009件の人が自己破産に陥ったというデータがあります)
引用元日本学生支援機構HP
この記事では、そんな奨学金返済にまつわる話題…、とくに「奨学金が返済できなくなるとどんな事態に陥るのか?」、また「延滞を防ぐための対策」について詳しい情報をお届けしたいと思います。

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奨学金を返せない人が増え続ける理由
まず、奨学金の返済に苦しんでいる人の実態や、返済できなくなる理由からお伝えしていきます。
毎月8万円借りると400万円の借金に!
まず、奨学金の返済に苦しめられる原因のひとつとして、「返済額が生活費を圧迫している」という実状があげられます。
一般的に4年制の大学にかよった場合、入学金と授業料を合わせると総額で400万円~500万円程度の費用が必要です。
その金額を親の貯蓄でまかなえれば何ら問題はないのですが、大学進学者の約7割の家庭では親の収入も十分ではなく貯蓄も少ないため、奨学金や教育ローンを利用して学費を捻出しています。
なお、奨学金には無利子と有利子の2タイプがありますが、有利子タイプの奨学金の場合、最高で「月12万円まで」の貸与が可能です。
そのため、仮に限度額ギリギリまで奨学金を借りるとなると、一年間の借金は144万円となり、4年間の借り入れ総額は約600万円となります。
その借り入れ金を卒業後に返済していくわけですが、20代~30代の若手社員の場合は手取り収入も少なく、場合によっては手取り収入の2~3割程度を奨学金返済に充当しなければならないケースも出てきます。
当然、奨学金返済のほかにも、生活費や住居費も支払わなければなりませんので、とくに大学卒業間もない若者の場合は、返済不能に陥るリスクは高くなります。
また、そのような若者が30代になると「子どもの養育費」や「住宅ローン」の負担も増えるため、人によっては奨学金と住宅ローンの「ダブルローン」に苦しめられるケースもあります。
貧困連鎖も原因
また、奨学金の返済ができないケースとして、親の貧困が関係している例もあります。
なかには離婚をしてシングルマザーになり、一人親で子どもを育てているケースも少なくないため、親が教育費を捻出できずに子どもが奨学金を利用し、さらにその返済が滞っても親がサポートできない…という悪循環が発生しています。
また、親の貧困が理由で奨学金を利用せざるを得なかった子どもは、さらに結婚してからも奨学金の返済に苦しめられることになり、将来子どもが出来てからもその「負の連鎖」が続く傾向にあります。
つまり、奨学金返済に陥ってしまうのは、子どもだけの問題ではなく親や社会全体の責任と言えるのかもしれません。
正規雇用で働けない人も多い
つぎの要因として、昨今の雇用情勢の変化が挙げられます。
総務省が平成31年2月に実施した労働力調査によると、正社員などの直接雇用で働いている人は全国で3,476万人いる一方で、派遣社員やパートアルバイトなどの非正規雇用の労働者は、全国で2,120万人となっています。
2020年4月以降からは「同一労働・同一賃金」という法律が施行されますが、依然として非正規雇用労働者は雇用そのものが安定せず、福利厚生や給与条件面で正社員より劣ってしまう現実があります。
奨学金を返済できないひとの中には、「パートやアルバイト」または「派遣社員」の非正規雇用で生計をたてている人も多く、そのような雇用形態が長ければ長いほど、益々返済不能に陥るリスクは高くなります。
参考URL 総務省 調査結果
奨学金が返済できないとどうなる?
つぎに、奨学金が返済できなくなると、どんな事態に陥るのか…という点についても、詳しく見ていきます。
以下は、日本学生支援機構の貸与型奨学金の規定を抜粋したものですが、奨学金を返済できない場合、利用者は「要注意先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先」というように分けられ、各々で異なった奨学金回収方法がとられることがわかります。
つまり、奨学金を延滞した場合は、何らかの方法で督促がおこなわれ「絶対に返済しなくてはならない」ということになります。
【独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学規程 抜粋】
第4章 貸与奨学金の貸与及び返還に係る債権の管理
第35条 機構は,貸与奨学生及び要返還者について,その貸与奨学金に係る債権(以下この章において「債権」という。)の回収の危険性の度合いに応じて,別記2のとおり,危険性の低い方から正常先,要注意先,破綻懸念先,実質破綻先,破綻先の5つに区分し,それぞれの区分に応じた債権の管理を行うことにより,債権の効率的,効果的な回収に資するものとする。
引用元:日本学生支援機構HP
連帯保証人へ請求がいく
なお、奨学金が返済できなくなった場合、日本学生支援機構の最初の対応は「本人への督促」なのですが、それでも返済しなかった場合には、その返済責任は「保証人」へ移行します。
奨学金の保証人は、親などの「人的保証」と「機関保証」のどちらかを選択できますが、どちらの保証制度を利用したとしても、利用者本人が返済できないとなると、保証人や保証機関に請求が行きます。
この点についても、日本学生支援機構の規約を抜粋しておきましたので、参考にしてください。
【独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学規程 抜粋】
第37条 第37条 要注意先に該当する要返還者等に対しては第24条(第3項を除く。)の規定と
異なる返還方法を指示することができる。
第37条-5 別記2第2第1項第3号に該当する要返還者の連帯保証人及び保証人に対しては,省令第27条及び第28条の規定に基づき,電話及び文書等による返還の督促又は請求を行うものとする。
引用元:日本学生支援機構HP
遅延損害金
また、奨学金を延滞した場合は、通常の返済金額とは別に「延滞金」がかかってきます。
この延滞金は、通常のローン返済でいう「遅延損害金」のようなものですが、残債に対して年5%の利率がかけられて請求額が増えてしまいます。
したがって、奨学金返済が辛くても1日でも早く返済することが重要になってきます。
【独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学規程 抜粋】
第二種奨学金(利息付き)
平成10年3月以降に貸与が終了
延滞している割賦金(利息を除く)の額に対して、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月27日までは年(365日当たり)10%、平成26年3月28日以降は年(365日当たり)5%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。
最終的には裁判へ
なお、奨学金利用者が返済できず、さらに連帯保証人も返済に応じなかった場合は、最終的に法的手段により貸与金の回収がおこなわれます。
法的手段とは、簡単にいうと「裁判をして借金を取り立てること」を表しますが、具体的には一括返済の要求や財産の差し押さえがおこなわれます。
この点についても、日本学生支援機構の規約には明記されています。
【独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学規程 抜粋】
第39条
破綻懸念先に該当する要返還者等に対しては,省令第30条の規定に基づき,民事訴訟法(平成8年法律第109号)及び民事執行法(昭和54年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令に定める手続等により割賦金の返還を確保することができる。
給料を差し押さえられるとどうなるの?
では、実際に連帯保証人に差し押さえ通知が行くと、どのような事態になるのでしょうか?
なお、一般的に差し押さえが行われる場合、もっとも手っ取り早く差し押さえができる「給与」が対象となります。
そのため、連帯保証人が返済できないままでいると、保証人の勤務先に連絡がはいり、給与が差し押さえられることが通知されて、実際に給料の一部が返済に充当されることになります。
ただし、いくら給料を差し押さえるといっても、法律の定めがありますので最低限生活に必要なお金は残してもらえます。
参考までに、日本学生支援機構の強制執行で適用される「民事執行法」の一部を抜粋していますので、参考にしていただければと思います。
【民事執行法 抜粋】
民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)
第百五十二条
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権参考URL:民事執行法
延滞情報は信用情報機関へ登録される
以上の、延滞金や強制執行のほかにも、「延滞履歴が信用情報機関に登録される」という点についても注意が必要です。
なお、利用者が返済できずに連帯保証人に債務が移った場合でも、奨学金の当初契約者(学生)の延滞情報として、信用情報機関に情報登録されてしまいます。
ちなみに、延滞履歴や保証人による代位弁済が行われた履歴については、最長5年間信用情報機関に登録されます。
【独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学規程】
(個人信用情報機関への登録)第34条の2
機構は,第11条第1項,第2項及び第3項並びに附則第4項に規定する個人信用情報の取扱いに関する同意書等により個人信用情報機関への登録に同意した者のうち割賦金の返還を延滞した者について,業務方法書第22条の2の規定により,その個人情報を機構が加盟する個人信用情報機関に登録するものとする。
カードローンや住宅ローンの審査に影響する
また、当然のことですが信用情報機関に傷がついてしまった場合、その情報が残っている間は、以下のローンやカードの審査に影響を及ぼす可能性が高くなります。
奨学金が返せない人の末路
つぎに、奨学金を返済できなかった場合、利用者はどのような末路を迎えるのでしょうか?
いくつかのケースを見ていきます。
借金を重ねて自己破産
奨学金の返済で苦しんでいる人に比較的多いのが、奨学金返済のために新たな借金を抱えるというケースです。
とくに大学を卒業したばかりの若年層の場合、手取り収入が10万円台というケースもあり、その中から奨学金を返済していくのはかなりの負担になります。
また、その一方で20代~30代といえば、結婚したり家族が増えたりと、なにか出費の多い年代でもありますので、奨学金の返済が生活苦の原因となり、さらにその生活苦から逃れるために消費者金融を利用するケースも増えています。
その結果、借金は雪だるま式に増えていき、結果として自己破産に陥るケースも少なくありません。
風俗や危ない仕事に手を染める
また、奨学金の返済で苦しんでいるひとのなかには、返済のために「夜の商売」に染まっていくケースもあります。
「夜の商売」といってもさまざまな業態がありますが、もっとも深刻なのは「女性が風俗で働く…」というケースです。
もちろん、風俗店で働くひとのなかには、手っ取り早く稼いで奨学金を返済し、元の生活に戻れるひともいますが、そのほとんどは風俗で働くことから抜け出せず、結果として破滅の人生を歩むことになります。
また、男性でも一攫千金を夢見て犯罪に手を染めたり、なかには「振り込め詐欺」や「口座売買」など、危ない仕事に手を染めることもあります。
結婚しても子どもの教育費が捻出できない
また、奨学金の利用者本人が返済に苦しむと、その子どもも貧困に陥り、まさに「貧困の連鎖」がはじまることもあります。
つまり、奨学金の延滞は「利用者だけの問題ではない」ということです。
さらに、貧困の連鎖を受けた子どもは、さらに大学に通うために自らが奨学金を借りることになり、その連鎖はまたその子どもへと続きます。
奨学金を返済できないときの対処法
では、そのような事態を避けるため、奨学金が返済できないときにはどのような対処をすればいいのでしょうか?
督促を無視しない
奨学金を滞納した場合、必ず督促状が送られてきますが、奨学金を延滞したときに絶対やってはいけないのは「督促を無視する」ことです。
ここまで何度かお伝えしていますが、奨学金は給付型をのぞき「借金であること」には変わりありません。
つまり、何らかの事情があったとしても、将来にわたり必ず返済をしなくてはいけないお金なのです。
したがって、督促を無視したり逃げ続けたりしても何の得にもなりませんし、延滞すればするほど延滞金も増えていきますので、とにかく奨学金の返済が苦しいときには、すぐに日本学生機構や親などに相談するようにしてください。
猶予制度を利用する
なお、どうしても奨学金を返せない場合は、日本学生支援機構の「減額返還制度」や「猶予制度」が利用できます。
減額返還
まず、奨学金の減額返還制度の概要からお伝えしますが、この制度は災害や病気、また経済的な理由で奨学金の返還が困難になった場合、一定期間返済額を減額し返済期間を延長してもらえる制度です。
ちなみに、この制度を使えば最長15年まで支払い期限の延長が可能です。
しかし、この「減額返還制度」は、あくまで毎月の返済額を一時的に軽減するだけの措置ですので、返済が免除されることはありません。
くわしくは、下記の参考 URL でもご確認いただけますので参考にしてください
参考URL:日本学生支援機構 減額返還制度
返還期限猶予
つぎに「返還期限猶予制度」についても解説します。
日本学生支援機構の奨学金返還期限猶予制度は、主に以下の二つの制度にわかれます。
①一般猶予 | 現在返還が困難であるため、一定期間返還を待ってほしい場合に願い出る制度。適用期間は通算10年(120か月)が限度 |
---|---|
②猶予年限特例、又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予 | 「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金」の貸与終了後、 一定の収入・所得を得るまでの間返還を待ってほしい場合に願い出る制度 |
なお、この制度を使った場合も、さきほどの「減額返還制度」と同じく、返済すべき金額や利息は免除されませんので、その点は覚えておきましょう。
親や結婚相手に頼む
ただ、上記のような制度は申請時に必要書類を用意しないといけませんし、審査の結果「制度を利用できない」ということも考えられます。
そのため、「毎月の返済に困り、生活費も捻出できない」といった切羽詰まったケースにおいては、身近な家族に相談するのが賢明でしょう。
とくに、結婚を控えている人の場合は、奨学金の返済が残っていることは事前に打ち明けたほうがいいでしょう。
なお、利用者が独身の場合は、身近な親に相談して一時的に返済を肩代わりしてもらい、あとで収入が増えてから親にコツコツ返済する…という方法もあります。
こんな時は奨学金返済が免除される
奨学金の返済ができない原因としてはさまざまなケースが考えられますが、その原因によっては奨学金の返済そのものが免除されるケースもあります。
よほどのことではない限り免除は認められませんが、日本学生支援機構の奨学金返済が免除される2つのケースについてご紹介しておきます。
本人が死亡した場合
ひとつ目は、奨学金を借りた本人が死亡した場合です。
ただし、本人死亡が原因で免除を申し出る場合は、以下の書類が必要になります。
精神若しくは身体の障害
ふたつ目は、身体や精神の障害により返済できなくなった場合です。
この場合も、申請時には以下の三つの必要書類を提出する必要がありますが、申請内容によっては免除にはならず、さきほど解説した「猶予制度」を利用して、一時的に返済を待ってもらうだけにとどまる可能性もあります。
【必要書類】
- 奨学金返還免除願(本人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は本人のみ。)
- 返還することができなくなった事情を証明する書類(収入に関する証明書類。収入が一定額以上の場合、証明書類に加え、返還できない状況であることを証明する書類。)
- 医師又は歯科医師の診断書(日本学生支援機構所定の用紙)
奨学金が返済できないときの最終手段
では、以上の手段を講じても奨学金が返済できない場合は、最終的にはどのような手段を講じればいいのでしょうか?
任意整理
奨学金を返済できない…となると、やはり債務整理で解決するのがベストな選択と言えます。
ただ、奨学金の場合は一般的消費者金融ローンとは異なり、かならず保証人がいますので、奨学金の返済が滞っただけでは債務整理の必要はないかもしれません。
しかし、奨学金の返済が厳しいということは、前述のとおりすでに別の借金を抱えているケースも多いため、多重債務に陥っている場合はやはり債務整理をすることをおすすめします。
なお、債務整理の方法にはいくつかの方法がありますが、そのなかでも多いのが「任意整理」という債務整理の方法です。
任意整理とは、債権者(お金を貸した側)と債務者(お金を借りた側)が話し合い、借金を整理していく方法のことを指しますが、具体的には将来発生する利息をカットしてもらったり、返済期間を延ばすなどの措置がとられます。
ただし、残念ながら奨学金の返済が滞った場合、日本学生支援機構は任意整理には応じてくれないのが現状です。
なぜなら、奨学金は1%未満…という低金利で融資をしていますし、奨学金の返済が滞った場合は、そもそも日本学生機構の「減額返還」や「返済期限猶予制度」などの特別措置が利用できるからです。
つまり、日本学生支援機構の制度を使えば、実際に任意整理をしているのと同じことになりますので、あらためて弁護士費用を使って任意整理を申請するメリットはないのです。
個人再生
ふたつ目の債務整理の方法は「個人再生」です。
個人再生とは、債権者と債務書が任意で話し合うのではなく、間に裁判所が入って借金の減額を法的に判断し、ある程度借金を減額して長期で返済する債務整理方法です。
しかし、奨学金が原因で個人再生をする場合は「保証人をどこに頼んでいるか?」という点がとても重要になります。
奨学金は「個人保証」と「機構保証」の2パターンがありますが、もし利用者が個人再生を申し出た場合は、自動的に返済義務は保証人や保証会社へ移行することになります。
そのため、個人再生を申請すると親などの連帯保証人にも迷惑がかかってしまいますので、そうなるくらいなら最初から親に相談したほうが賢明といえるでしょう。
自己破産
みっつ目の債務整理は「自己破産」です。
自己破産は、本人に不動産や預貯金などの財産がないことを前提に破産宣告をし、そのうえで免責が認められると借金の返済が免除される債務整理方法です。
ただし、自己破産をした場合には最長10年間信用情報機関にその履歴は残ってしまいますので、後々のマイカーローンや住宅ローンの審査に影響を及ぼすことはいうまでもありません。
債務整理に必要な費用
なお、上記の債務整理は基本的に個人でもおこなえますが、かなりくわしい法律知識が必要になってきますので、はじめから債務整理を得意とする弁護士に依頼するのが無難です。
ただ、弁護士に依頼するとそれなりの費用も必要になってきます。
基本的には弁護士に相談するだけで30分5,000円の相談料が必要ですし、通例では「着手金」と「成功報酬」というかたちで、弁護士に報酬を支払う必要があります。
気になる弁護士費用は、債権者の「数」と「金額」により変動しますが、おおむね任意整理をおこなった場合で20万円~30万円、自己破産などの手間がかかる債務整理を選択した場合には、30万円~50万円程度の弁護士費用が必要です。
ただし、弁護士に委託した時点で毎月の返済はストップできますので、そのあいだに奨学金の返済に充てていたお金を弁護士費用として積み立てることが可能です。
弁護士に委託してから実際に債務整理の結果が出るまで、はやくて3ヶ月…、一般的には4ヶ月~6ヶ月かかるケースがほとんどですので、毎月5万円貯金できれば6ヶ月で30万円の弁護士費用が用意できます。
奨学金返済に関する相談先
つぎに、奨学金返済に困った場合の「相談先」についても、いくつかご紹介しておきます。
日本学生支援機構
まず「日本学生支援機構」の相談窓口ですが、日本学生支援機には返済に関する相談が可能な「奨学金相談センター」が設けられていますので、気軽に電話で問い合わせが可能です。
弁護士
つづいて弁護士の相談窓口についてです。
弁護士はインターネットや知り合いからの紹介などで、債務整理専門の弁護士事務所を探すしかないのですが、「どこに相談すればいいかわからない…」という場合には、以下の「法テラス」へ相談することをおすすめします。
NPO法人
最後は公的機関ではありませんが、民間のNPO法人についてもご紹介しておきます。
奨学金の相談ができるNPO法人は少ないのですが、相談してみる価値はあるかもしれません。
奨学金返済をサポートする制度
ちなみに、地方自治体には地元の活性化と奨学金返済で苦しんでいる若者の支援を目的として、いくつかの返済支援制度が用意されています。
地方企業への就職で返済支援
そのひとつが「地方就職による支援制度」です。
具体的には以下の支援例を参考にしていただければと思いますが、地方の企業に就職して一定の条件を満たせば、奨学金の返済を一部自治体が負担してくれます。
なお、これらの取り組みは全国32府県において実施されていますので、興味のある人は近隣の地方都市で同じような制度がないか、直接問い合わせてみることをおすすめします。
【地方企業就職による奨学金支援制度の一例】
制度名 | 対象者 | 募集人数 | 条件 | 支援金額 |
---|---|---|---|---|
いわて産業人材奨学金返還支援制度 |
| 50人程度 | 8年間継続して岩手県内の対象分野・業種の企業(ものづくり企業)へ正規雇用により就業する見込みがあり、県内に居住できるひと | 250万円など |
山形県若者定着奨学金返還支援事業 |
| 300人 | 卒業後6ヶ月以内に県内に居住かつ就業し、引き続き3年経過すること | 124.8万など |
参考URL 岩手県 商工労働観光部 ものづくり自動車産業振興室
http://www.joho-iwate.or.jp/scholarship/
山形県 HP
https://www.pref.yamagata.jp/
奨学金を返せないときの対処法まとめ
奨学金返済にまつわる問題は、ニュースでも取り上げられることが多くなりました。
それだけ、返済に苦しんでいるひとが増えているわけですが、いかなる理由があったとしても「奨学金は借金」ということには変わりありません。
返済が遅れているひとのなかには「そもそも返済すべきお金だとは知らなかった」というケースもあるようです。
とにかく奨学金を利用した場合は、利用者の責任として奨学金の仕組みをきちんと理解し「リスクを覚悟のうえで」利用することが一番重要なのかもしれませんね。

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