これから起業しようと考えている人で、どうやって資金を調達しようかと悩んでいる人は多いものです。
これまで働いてきてコツコツ貯めていればいいかもしれませんが、したい事業規模が大きいものだと事業をすることも難しいですよね。
そのような人は、ぜひ日本政策金融公庫の創業融資を利用しましょう。
数千万円借りることができ、金利も1〜2%程度とかなり低め。
また万が一会社が倒産してしまっても返済の義務はありません。
日本政策金融公庫が提供する融資制度は「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」の2つがあり、この両方は保証人・担保なしで利用することができます。
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資について、どのような制度なのか、審査について、また市区町村の融資制度とどちらがいいのかを解説していきます。

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日本政策金融公庫とは?
まず、日本政策金融公庫がどのような機関なのかを解説していきます。
日本政策金融公庫とは、日本政府が100%出資している金融機関です。
この機関は国の政策として、中小企業や農林水産業などの金融支援を行っています。
国からしても起業を助けて経済活動を活発にしたほうが、より国が豊かになるのでこのような機関があるのです。
創業資金調達には銀行から融資を受けるという方法もありますが、銀行からの融資は100万円超の借り入れでも10%を超える場合がほとんど。
日本政策金融公庫なら前述の通り、たったの1〜2%程度で借り入れができるのです、
また銀行の融資は収入状況を見て審査をするため、創業当初はどうしても審査に落ちやすいもの。
しかし日本政策金融公庫は審査の可決率が高く、実績がなくても融資可能なのです。
平成30年の2月だけでも36,670件の融資を行っており、国が運営する金融機関と言えど積極的に資金の提供をしています。
日本政策金融公庫の新創業融資制度とは
日本政策金融公庫がどのような機関なのか理解したところで、新創業融資制度について解説していきます。
まずは簡単に概要を表にしてみました。
担保・保証人 | 原則不要 |
---|---|
用途 | 設備資金・運転資金 |
融資限度額 | 3000万円(うち運転資金1500万円) |
金利 | 0.05〜2.7% |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年まで) 運転資金:7年以内(うち据置期間2年まで) |
まず、この制度は前述のとおり無担保で利用できます。
また信用保証協会からの保証も不要であるため、信用保証料もかかりません。
融資した資金の使い方は、設備や運転の資金であることが条件となっています。
事業を開始する前の準備資金としての利用も可能です。
返済期間は使い道によって異なり、設備購入に使うなら20年以内、会社の経営資金に使うなら7年以内となっています。
据置期間とは返済をしなくてもいい期間のことで、創業初期にありがたいですね。
新創業融資制度の要件3つ
新創業融資制度を利用するためには、3つの要件を全て満たす必要があります。
- 創業の要件
- 雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件
- 自己資金の要件
要件とは、条件よりもより固い表現であり、必ず満たさないといけないもののことです。
では、3つある要件をひとつずつ見ていきましょう。
新創業融資制度の要件①創業の要件
創業の要件とは、会社設立に関する内容です。
日本政策金融公庫のホームページにはこのように定義されています。
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
つまり、法人であれば2回目の決済を終えてないこと、個人事業主の場合は2回目の確定申告を済ませる前であれば新創業融資制度を利用することができます。
「新たに事業を始める人」とも書いてあるので、これから起業予定の人も要件に当てはまります。
このとき、「事業開始後」というのは、開業届を提出した日など形式としての開業日のことではありません。
オフィスを借りた日や売り上げが入金された日など、実質的に事業を開始した日を事業開始とします。
新創業融資制度の要件②雇用創出等の要件
続いて、「雇用創出等の要件」について見ていきましょう。
この要件について、日本政策金融公庫のホームページには次のように定義されています。
- 雇用の創出を伴う事業を始める方
- 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方
- 業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)
なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
つまり、次の項目に当てはまれば要件を満たしていると判断されます。
- 従業員を雇用する事業
- 長期間その業務に関する技能に関わる、もしくは勤務したことがある事業
- 需要があり、技術やサービスで差別化を図ることができる事業
新創業融資制度の要件③自己資金の要件
最後の要件は「自己資金の要件」です。
日本政策金融公庫のホームページには次のように定義されています。
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
つまり、創業資金の10%以上を自己資金して持っていることが要件となっているのです。
まったく資金ゼロでは要件に当てはまらないのですね。
また実際に融資を受けられた人は、30%以上の自己資金を持っていることが多いようです。
なお、ここで言う「自己資金」とは自分で貯めた預金はもちろん、現在企業勤めの人は退職金も含めることができます。
また、開業に必要なものをすでに購入していた場合、その代金も自己資金として含めることができます。
その場合は領収書が必要です。
新創業融資制度の金利について
新創業融資制度の金利は、2019年7月現在次のようになっています。
基準利率 | 2.51%〜2.70% |
---|---|
特別利率A | 2.11%〜2.30% |
特別利率B | 1.86%〜2.05% |
特別利率C | 1.61%〜1.80% |
特別利率E | 1.11%〜1.30% |
特別利率J | 1.46%〜1.65% |
特別利率P | 2.31%〜2.38% |
この「特別利率」というのは、返済期間や担保によって設定されるものです。
新創業融資制度では担保不要で利用できますが、担保を付けることによって利率を下げることができます。
法人の場合、希望すれば代表者が連帯保証人になることも可能です。その場合は金利を0.1%低くすることができます。
新創業融資制度の審査について
新創業融資制度は、もちろん起業家なら誰でも利用できるわけではありません。
利用するためには審査が必要です。
審査は書類選考だけではなく、面談もあります。
申し込みに必要な書類は多く、免許証のコピーや借入申込書、源泉徴収票、印鑑証明書などが必要です。
また起業してすぐの人は創業計画書、起業後1年以上経過している人は企業概況書の提出も求められます。
何が必要なのか、事前に日本政策金融公庫のホームページで確認しましょう。
この審査通過の難易度は、担当者によって異なります。
新創業融資制度の審査基準はとても多く、人によって判断基準も異なるので通過が難しいかどうかは一概に言い切れないのです。
しかし、地方支店のほうが比較的難易度が低いと言われています。
地方は起業家が少ないため、なるべく起業家を育成しようという風潮があるのです。
申し込みから審査結果が出るまでは、1ヶ月ほど時間がかかります。
新創業融資制度の申し込みに必要な書類
申し込みに必要な書類は次の通りです。
- 借入申込書
- 創業計画書
- 運転免許証のコピー
- 通帳のコピー
- 確定申告書(個人のもの)
- 印鑑証明書
- 資金繰り表
- 賃貸借契約書
- 許認可証(許認可が必要な場合)
- 見積書(設備投資をする場合)
- 支払い明細書
- 水道光熱費の支払書
これらの書類は郵送するか、直接提出する方法があります。
新創業融資制度の審査通過率を上げるためのポイント
審査に通過しやするためのポイントは次の3つです。
- 自己資金をなるべく多くする
- 将来性を感じられる事業計画書を作成する
- 融資金の使い道を明確にする
まず、自己資金を多く持っておくと審査に通過しやすくなります。
自己資金は少なくても申し込みはできますが、多いほうがよいのです。
実際には融資額の30%の自己資金を持っておくとよいとされています。
また最低でも100万円があったほうがよいのだとか。
仮に審査落ちしてしまい、すぐに再申し込みしても落ちやすい傾向にあります。。
申し込みの履歴は記録されており、すぐに状況は変わらないと判断されるためです。
再申し込みするなら半年以上空けましょう。
また、過去にローンや携帯の支払いなどで長期延滞や任意整理など、信用情報に記録が載ったブラックの状態だと、審査には落ちやすいです。
中小企業経営力強化資金
前の章では、日本政策金融公庫の新創業融資制度について解説しました。
続いてこの章では、公庫のもうひとつの制度「中小企業経営力強化資金」について見ていきましょう。
まずはその概要をまとめてみました。
担保・保証人 | 原則不要 |
---|---|
用途 | 設備資金・運転資金 |
融資限度額 | 7200万円(うち運転資金400万円) |
金利 | 2.16%〜2.35% |
返済期間 | 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内) |
このように、新創業融資制度と同じく担保・保証人は不要です。
据置期間も新創業融資制度と同じですね。
融資限度額は7,200万円までと、かなりの額を借りることができます。
しかしそれは日本政策金融公庫の本店で申し込みをした場合で、支店での申し込みは2,000万円が上限です。
金利も低く、担保を付けるとさらに利息が軽減されます。
中小企業経営力強化資金の要件
中小企業経営力強化資金にも要件があります。
それは次の通りです。
経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方
つまり、認定支援機関からの指導や助言を受けることがこの制度を利用する要件です。
認定支援機関とは、国が認定した中小企業や小規模事業者が経営相談できる公的支援機関のこと。
基本的には税理士事務所が認定支援機関になっています。
認定支援機関からの指導と聞くと、難しく考えてしまう人もいるかもしれません。
しかしこれはすごく簡単で、認定支援機関と事業計画書の作成をすればよいのです。
近くの認定支援機関を調べて相談しましょう。
なお、この制度を受けるにはフランチャイズでの開業は融資ができません。
中小企業経営力強化資金の利息
中小企業経営力強化資金の利息は次のようになっています。
限度額200万円以内で担保・保証人なし | 特別利息S(2.26%〜2.33%) |
---|---|
限度額2000万円超で担保不要1.81%〜2.40% | 1.81%〜2.40% |
限度額2000万円以内で担保あり | 1.16%〜2.35% |
限度額2000万円以内で災害貸付等を利用する | 1.31%〜1.90% |
このように、担保を付ける必要はありません。
しかし担保を付けることで、ある程度金利を軽減することができます。
信用保証協会を利用した市区町村の制度融資とどちらがいい?
前の章では、中小企業経営力強化資金について解説しました。
創業資金を貸してくれる融資制度には、日本政策金融公庫以外にも市区町村の制度融資もあります。
この2つを比べたとき、日本政策金融公庫のほうがメリットが多いです。
まず、日本政策金融公庫のほうが借り入れ限度額が大きいです。
市区町村による制度融資は、日本政策金融公庫よりも資金量が少ないので、必然的に貸すことのできる金額も少ないのです。
また、着金までも日本政策金融公庫のほうが早いです。
日本政策金融公庫では申し込みから着金まで1ヶ月程度かかりますが、市区町村の制度融資は3ヶ月かかることがあります。
さらに日本政策金融公庫で融資を受けて、仮に会社が倒産してしまった場合でも、経営者は融資金を返済する必要がないのです。
一方、市区町村の融資制度は経営者の返済義務があります。
これらのことから、日本政策金融公庫のほうが市区町村の制度融資よりもおすすめなのです。
創業資金が必要なくても、日本政策金融公庫で融資を受けておきましょう
この記事では、日本政策金融公庫で創業資金を借りる制度について解説しました。
日本政策金融公庫には「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」があり、共に貸付金が多く、利息も安いです。
また公庫から融資したことがある会社は、公庫から認められたというアピールもできます。
仮に会社が倒産してしまっても、返済の義務はないので、創業資金が必要ないという人でも融資を受けておくとよいでしょう。