終身保険は保障が一生涯続く死亡保険のことを指します。
万一のことがいつあっても、遺族が確実に死亡保険金を受け取れたり、解約すると解約返戻金が受け取れるといった特徴があることから、老後の備えにもおすすめです。
そこで今回は終身保険に加入するメリット・デメリット、見直す際の注意点などについてご紹介します。
終身保険とは
終身保険は先にも述べたように一生涯続く死亡保障で、契約時の保険料が変わらない特徴があります。
主な目的は、万一に備えることであり、契約期間中に解約すると「解約返戻金」が得られ、貯蓄としても活用できます。
ただし満期が存在しないため、「満期保険金」は受け取れないため注意が必要です。
終身保険と定期保険との違い
終身保険とよく一緒に比較されるものとして定期保険と呼ばれるものがあります。
終身保険は被保険者が生存している限り保障が続く生命保険で、解約返戻金が受け取れるため、貯蓄手段としても活用できます。
一方、定期保険は契約時に定めた期間内に死亡または高度障害になった場合にのみ支払われる保険で、解約返戻金がない掛け捨て型が一般的です。
また終身保険は死亡時期に関わらず一定の支払いがあり、払込み方法も終身払込、有期払込、一時払いの複数が選択できます。
以上のことから、解約返戻金の有無や支払いの柔軟性が終身保険と定期保険の主な違いといえます。
終身保険 | 定期保険 | |
---|---|---|
保険期間 | 一生涯 | 一定期間 ※10年・20年など |
保険料払込期間 | 終身払込タイプ、有期払込タイプ、一時払タイプがある | 保険期間と同じであることがほとんど ※短期払いも可能 |
保険料 | 定期保険よりも高くなる傾向 | 終身保険よりも安くなる傾向 |
解約返戻金 | あり | 基本的にない、あってもわずか |
終身保険に加入する目的
終身保険には4種類ある
終身保険には、「低解約返戻金型終身保険」「積立利率変動型終身保険」「変額終身保険」「外貨建終身保険」の4種類あり、以下のような違いがあります。
低解約返戻金型終身保険 |
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積立利率変動型終身保険 |
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変額終身保険 |
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外貨建終身保険 |
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終身保険に加入するメリット
終身保険に加入するメリットには以下のものが挙げられます。
被保険者が死亡した場合、確実に保険金を残せる
終身保険は一生涯保障があり、死亡時に保険金が支払われます。
遺族にとっては葬儀や遺品整理にかかる経済的負担を減らすメリットが終身保険にはあります。
ただし終身保険は必要な保障額の検討が重要であり、遺族が必要とする資金を慎重に計算しなければいけません。
また支払った保険料は解約返戻金や保険金として戻り、資産形成や資産運用に活用できる一方で、一部の終身保険は支払った保険料を上回る解約返戻金が得られるのもうれしいポイントです。
以上のことから終身保険は守りの資産形成と資産運用の両立が期待できると判断できます。
契約者貸付制度を利用できる
契約者貸付は、契約した保険の解約返戻金内で貸付を受ける仕組みで、急な現金需要に対応できます。
通常のカードローンよりも低い金利で、融資審査もないため手軽に利用できるためメリットだといえるでしょう。
ただし利息分の返済が必要となるので要注意。
死亡時には貸付元金と利息が相殺され、遺族には制度を利用して残したい金額が減少するため、計画的な利用が求められます。
死亡保険金には相続税の非課税枠がある
終身保険の死亡保険金は相続税の非課税枠を利用できるメリットがあります。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」に設定されています。
相続人が保険金受取人であれば、この非課税枠を有効活用できます。
例えば、夫の法定相続人が妻と子どもの2人である場合、「500万円×2人=1,000万円」までなら相続税がかからないため、相続対策として終身保険を検討するのもひとつの選択肢です。
終身保険に加入するデメリット
終身保険にはメリットもありますが、デメリットもあります。
定期保険よりも保険料が高くなりやすい
終身保険は掛け捨てタイプの定期保険よりも、保険料が高い傾向があるため注意が必要です。
したがってたとえ解約返戻金があるとしても、特に現役世代では保険料が生活や家計を圧迫するリスクがあることを考慮しておかなければいけません。
更新がないので見直す機会がない
終身保険は長期間にわたり支払う保険料が設定され、解約後の再加入は初回よりも高い保険料になります。
また、健康状態によっては再加入が難しいこともあります。生活の変化やライフイベントに伴い必要な保障も変わるため、柔軟に基本の保障や特約の付加ができる保険商品を選ぶことが大事です。
解約返戻金が払込保険料の総額を下回るリスクがある
終身保険を途中で解約すると、解約返戻金が払込保険料の総額を下回る可能性があり、手元に残る金額が少なくなるケースがあります。
他にも自身に合った保険商品が安く提供されていることもあるため、加入時にはファイナンシャルプランナーなどの専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。
終身保険への加入がおすすめな人の特徴
以下の特徴に当てはまる人は終身保険への加入がおすすめです。
老後の資金を確実に貯めたい人
終身保険は払込総額が解約返戻金を上回るまで資産形成の効果が現れず、そのため無計画にお金を使ってしまうリスクが低い特徴があります。
したがって貯蓄が苦手な人や老後の資金を貯めたいといった方におすすめです。
自身が亡くなった後のために備えたい
終身保険に入っていれば、もしもの時に大切な人に確実に財産をのこせられるので自身が亡くなった後のために備えたい人に適しています。
自身がいなくなっても一定の生活費の保障を得られることは、遺族にとって心の支えにもつながることでしょう。
一生涯の保障を受け取りたい
終身保険は払込期間を設定できるといった特徴があります。
例えば60歳や65歳に設定することで、それ以上の年齢になっても保険料を支払うことなく、一生涯にわたり死亡・高度障害保障を受け続けられます。
老後の生活の負担を軽減しつつ、一生涯の保障を確保できるため、老後も安心して暮らしたいといった方は終身保険に加入するのがいいでしょう。
終身保険を見直すタイミング
終身保険に加入した方は一般的に以下のタイミングで見直すことが多いといわれています。
結婚
独身時代に終身保険に入っていた場合、その時の保障額が現在でも適切かどうかを見直すべきです。
独身の場合、少額の保障で十分だった可能性がありますが、共働きや子供の有無などライフスタイルが変われば必要な保障も変わります。
もし必要な保障が足りないと感じるなら、保障を見直して手厚くすることも考慮しましょう。
妊娠・出産
子供の誕生は終身保険の見直しタイミングだといえるでしょう。
自分に何かあった場合でも子供が安心して生活できるよう死亡保障を検討してみてください。
また終身保険だけでなく、収入保障保険など他の死亡保険も検討しバランスを考えることも大事です。
住宅購入
住宅購入時、団信に加入することが一般的です。
団信で住宅ローン完済可能で、家族の居住費に備えられるメリットがあります。
必要に応じて保障額の減額を検討し、適切な調整をおこなうことが大切です。
子どもが独立した時
子供が独立すれば、かけていた死亡保障の必要性が低下します。
したがって保険料の支払い継続は見直しのタイミングだといえます。
また貯蓄目的で加入継続をするのかや保障を縮小して負担を軽減する検討もしてみてください。
定年退職
定年退職後は通常大きな死亡保障は不要となります。
保険料払込期間終了や終了寸前ということもあるため、その際に解約や減額、払済保険など今一度検討し、解約返戻金の返戻率も考慮してみてください。
終身保険を見直す際の注意点
終身保険を見直す際は以下の点を注意するといいでしょう。
途中解約すると元本割れするおそれがある
終身保険の保険料払込期間中に解約すると、通常「元本割れ」となり、解約返戻金が支払った保険料の総額を下回るため注意が必要です。
とくに低解約返戻金型の場合、返戻率が低い傾向があるといわれています。
契約の解約や見直しを検討する際には、解約時の返戻率や待機期間を考慮して最適な選択を検討しましょう。
同じ保障内容だと保険料が上がる
終身保険を新たに加入し直す場合、同じ保障内容で比較すると保険料は通常高くなります。
年齢が上がるほど保険料が増加する仕組みなので、現在の保険料を基準に考えても増加している可能性があるため注意しなければいけません。
見直しの際には、年齢と保険料の関係を考慮し、最適な選択を検討するようにしてください。
新規加入できないものもある
終身保険の解約や見直しを考える際、新しい保険に加入するには審査が必要です。
契約期間中に健康状態が悪化していると、新しい保険に加入できない可能性があります。
死亡保障を維持しつつ見直すためには、まず新しい保険での死亡保障を確保してから、古い終身保険を解約するようにしましょう。
昔より返戻率が下がっている
マイナス金利の影響で終身保険の解約返戻金が低下している現状では、貯蓄を目的とする場合は新たに契約し直す際は慎重に検討が必要です。
終身保険はなるべく健康なうちに加入するのがおすすめ!
今回は終身保険に加入するメリット・デメリット、見直す際の注意点などについてご紹介してきました。
終身保険は加入年齢が若いほど保険料が安く、特約や保障の上限額を超えない限り追加や付加ができるメリットがあります。
収入に余裕ができた時に保障内容を充実させることもでき、若くて健康なうちに加入することで将来の備えとなるでしょう。
健康や将来に不安を感じた際には、なるべく早めかつ健康なうちの加入がおすすめです。
今回の記事を参考にぜひ終身保険への加入を検討してみてください。