ドライバー保険とは
ドライバー保険は、他の人から借りた車を運転する際の事故を補償する自動車保険で、車を所有していない免許を持つ人が加入できます。
通常の自動車保険は車に関連していますが、ドライバー保険は運転者に紐付けられ、保険期間は1年間です。
保険料は事故実績に基づくノンフリート等級と契約者の年齢によって決まります。
ドライバー保険の対象となる借用自動車
ドライバー保険の対象となる借用自動車には以下のものが挙げられます。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
- 特殊用途自動車(例:キャンピングカー)
- 二輪自動車・原動機付自転車
ドライバー保険は、借りた車やバイク、キャンピングカーなどを運転する際の事故を補償します。
ただし、記名被保険者やその配偶者、同居の親族が所有する自動車を運転した場合や、業務中の社用車、営業車、レンタカー、カーシェアの車両などは補償対象外となるので注意が必要です。
ちなみに内縁の相手方や同性のパートナーも補償対象外です。
一般的に、レンタカーやカーシェアの利用は運営会社が保険や補償を提供しており、利用料金に含まれていることが多いため、事前に確認が必要です。
ドライバー保険が役立つシーンとは
ドライバー保険は基本的にひっすではありませんが、他人が持つ車を運転する機会があるのなら持っておくといいでしょう。
反対にドライバー保険に加入していない状態で、他人が所有する車を運転すると、その車の自動車保険の補償が適用されなかったり、翌年の保険料が上がる可能性があります。
また以下のシーンでもドライバー保険思っておくと重宝します。
借りた持ち主の自動車保険の補償が受けられないとき
自動車保険では、運転者の範囲や年齢を特約で制限することで保険料を削減できます。
しかし、借りた車の自動車保険にこのような特約が付いている場合、制限外の運転者が事故を起こした際に補償が受けられない可能性があります。
例えば、家族の車を運転する際、運転者の年齢制限があると、事故時に損害賠償ができないことがあります。
このようなリスクを回避するためにドライバー保険に加入しておくといいでしょう。
借りた車の自動車保険を使いたくないとき
ドライバー保険に加入することで、借りた車で事故を起こした場合でも友人の自動車保険を使用せずに済みます。
友人の車に事故が発生し、友人の自動車保険から保険金が支払われた場合、その事故により友人の保険料が上昇する可能性があります。
しかし、ドライバー保険に加入していれば、個人の事故が他者に影響を及ぼすことなく、自分自身で補償が可能です。
ドライバー保険に加入していれば友人の保険料の上昇を防ぎながら、貸してくれた方に対するリスクも回避できます。
ドライバー保険の補償内容
ドライバー保険に加入すると、おもに以下の補償が受けられます。
- 対人賠償責任保険
- 対物賠償責任保険
- 搭乗者傷害保険(特約)
- 人身傷害保険(特約)
ドライバー保険はどの保険会社に加入しても、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険が基本補償となります。
しかしなかには、人身傷害保険を選べない保険会社もあるの注意が必要です。
なおドライバー保険は任意の自動車保険とは異なり、自分自身が運転していた車が損害を負ったときの補償がつきません。
対人賠償責任保険
対人賠償責任保険は、他者にケガや死亡、後遺障害などの損害を与えた場合の賠償責任を補償する保険です。
自賠責保険は自動車に義務付けられており、最大限の損害賠償額が法律によって定められています。
対人賠償責任保険は、この自賠責保険を超える範囲で補償され、無制限の保険金額が用意されています。
例えば、借りた車で事故を起こし、事故相手に4,000万円の損害賠償責任が発生した場合、自賠責保険が3,000万円まで支払われ、残りの1,000万円は対人賠償責任保険から支払われます。
対人賠償責任保険は万が一の事故による賠償責任を十分にカバーしてくれます。
対物賠償責任保険
対物賠償責任保険は、事故により他人の所有物に損害を与えた場合の損害賠償責任を補償する保険です。
例えば、友人の車を借りて運転中に事故を起こし、相手の車に600万円の損害を与えた場合、対物賠償責任保険から最大600万円の補償が得られます。
また対物賠償責任保険は、信号機、ガードレール、店舗などに損害を与えた場合にも賠償責任を補償してくれます。
通常、対物賠償責任保険の保険金額に上限はなく、無制限が一般的です。
高額な賠償責任に対してもしっかりと補償されるため、安心して自動車を運転できます。
人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車事故によってケガや後遺障害、死亡が発生した場合の補償を提供する保険です。
この保険に加入すると、過失割合に関係なく実際の損害額と同額の保険金が支払われます。
治療費や慰謝料、休業による収入損失などが損害額として算定され、保険会社がそれを基に補償します。
通常、交通事故では自己と相手の過失割合によって賠償が決まります。
しかし、人身傷害保険に加入していれば、過失割合にかかわらず、自分の損害額を保険金で補填できます。
たとえば、過失割合が30:70で自身の損害が1,000万円の場合、通常は相手からの賠償は700万円となりますが、人身傷害保険があれば全額の1,000万円が保険金として支払われます。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、自動車事故によって運転者や同乗者がケガや後遺障害、死亡した場合の補償を提供する保険です。
人身傷害保険と異なり、支払われる保険金が定額である特徴があります。
契約時に決めた保険金が支払われ、損害額の算定を待つことなくスピーディーに給付されるのがメリットです。
事故による治療費などの支出が早急に必要な場合、搭乗者傷害保険の加入は迅速な補償を受ける手段となります。
そのほか
ドライバー保険では特約をつければ以下の補償をつけられます。
- 対物超過修理費用補償特約…事故相手の損壊した自動車の時価相当額よりも多額の修理費用が発生した場合に補償する特約
- 個人賠償責任特約…交通事故以外の日常生活において、偶然の事故によって他人をケガさせたり他人の持ち物を壊したりして負った、 法律上の損害賠償責任を補償する特約
ただしドライバー保険につけられる特約は保険会社によって異なるため、加入する保険会社でどんな特約があるのかをチェックしておきましょう。
ドライバー保険に加入するメリット
ドライバー保険に加入することで、借りた車での事故が発生した際に車に紐付けられた自動車保険を使用せずに済みます。
これにより、車を貸してくれた方の翌年の等級が下がらず、自動車保険料が上昇する心配がなくなるメリットがあります。
また、借りた車の自動車保険に運転者の範囲や年齢を限定する特約がある場合でも、ドライバー保険に加入することで自身が補償の対象外であっても事故時の補償が得られます。
しかしドライバー保険の請求によって等級が下がった場合でも、将来的な自動車保険の加入時には等級が引き継がれないので注意が必要です。
ドライバー保険に加入するデメリット
ドライバー保険は、運転者に紐付けて加入されるため、通常の車両保険を付けることはできないデメリットがあります。
従って、借りた車が事故で損傷した場合は、車に紐付けられた自動車保険の車両保険を利用するか、自ら修理に貢献する必要があります。
また、自動車を購入して通常の自動車保険に加入する場合、ドライバー保険の等級は引き継がれず、通常は6等級からのスタートとなります。
同様に、マイカーを手放して自動車保険を解約し、新たにドライバー保険に加入する場合も、等級の引き継ぎは行われません。
ドライバー保険と1日自動車保険の違いとは
1日自動車保険(1day自動車保険)は、半日〜1日だけでも加入できる自動車保険のことを指し、ドライバー保険と同じく他人が所有する車を運転したときの事故による損害を補償します。
コンビニやスマホから手軽に契約できるといった面から現在利用する人が増えてきています。
ここでは、ドライバー保険と1日自動車保険の違いについてご紹介します。
ドライバー保険 | 1日自動車保険 | |
---|---|---|
保険料 | 等級や年齢に応じて決まる | 1日あたりの金額 |
保険期間(補償期間) | 1年 | 1日 |
対象車種 | 多岐にわたる | 自家用乗用車のみ |
保険料
ドライバー保険の保険料計算には、ノンフリート等級が適用されます。
ノンフリート等級は事故歴に応じて1から20の等級に分かれ、1年間の事故がない場合は等級が上がり、保険料が安くなります。
逆に事故を起こすと等級が下がり、保険料が高くなるので注意が必要です。
加えて、ドライバー保険は契約者の年齢によっても保険料が変動します。
対照的に、1日自動車保険は契約者の年齢や事故歴に関係なく、保険会社が設定した1日あたりの金額が支払われる特徴があります。
保険期間(補償期間)
ドライバー保険の保険期間は通常1年間で、他の任意の自動車保険と同様です。
ただし、一部の保険会社では1か月単位の短期間の加入もできます。
一方1日自動車保険の保険期間は通常24時間で設定され、最長で7日間までの短期利用ができます。
たとえば友人や知人の車での長距離旅行など、特定の期間に限定して保険が利用される場合に重宝するでしょう。
対象車種
ドライバー保険は、自家用車や自家用普通貨物車、キャンピングカー、オートバイなど、多岐にわたる車種が対象となります。
それに対して1日自動車保険は主に自家用乗用車に限定され、一部の輸入車やスポーツカーが対象外の場合もあります。
ただし、ドライバー保険ではレンタカーやカーシェアリングの車も対象となりますが、通常は運営会社が保険を提供しています。
レンタカーなどの場合、運営会社の保険に加えて自身のドライバー保険を確認し、補償範囲を理解しておくことが重要です。
レンタカーやカーシェアリングの保険には限度額がある場合があり、それを超えた損害が発生した場合には自身のドライバー保険が補完的に利用される可能性があります。
自己負担などの条件を理解し、事前に確認しておくようにしましょう。
自動車保険に加入していれば、ドライバー保険への加入は不要
今回はドライバー保険の補償内容や加入するメリット・デメリットについて解説してきました。
ドライバー保険は万が一相手から損害賠償を請求されたり、車に乗っている人が死傷したりしたときに保険金が支払われるもので、1年間の契約期間が設けられています。
ドライバー保険に加入していれば、他人から借りた車の運転中に起こした事故での損害が補償されるメリットがあります。
自分の車を所有しておらず友人などが持っている車を運転する機会があれば、ドライバー保険に加入することをおすすめします。
またすでに自動車保険に加入しており、他車運転特約がついているのであればドライバー保険に加入する必要はありません。
自分の状況に合わせてドライバー保険への加入を検討してみて下さい。