過払い金請求は、消費者が過去に金融機関や貸金業者に対して払い過ぎた利息を取り戻す手続きです。
日本では、出資法や貸金業法の上限利率を超える利息(グレーゾーン金利)を支払っていた場合、その差額を請求できます。
この手続きは通常、専門の弁護士や司法書士を通じて行われ、過払い金があることを確認した後、貸金業者に対して返還請求を行います。
過払い金を請求すると、まず貸金業者は過去の取引履歴を確認し、過払い金の有無と金額を算出します。請求が認められれば、支払い過ぎた金額が返金されます。
今回は、過払い金請求のデメリットを中心に解説していきます。
過払い金請求のデメリット
これから過払い金請求を考えている方に向けて、デメリットをお伝えします。主なデメリットは下記の通りです。
参考にして、過払い金請求をする前に一旦立ち止まってみましょう。
同じ貸金業者からの借り入れができなくなる
過払い金請求をすると、貸金業者が社内で持っている独自の情報機関に登録される可能性があります。
これは「社内ブラック」と呼ばれて、将来的に過払い金請求をした人に融資を行わない可能性が高いです。
過払い金請求をすると、貸金業者が合併した場合の、合併先のカードも借り入れができなくなります。
カードやローンの審査に通らなくなる
2010年に、「金融庁はコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方 」にて、過払い金請求をしても信用情報機関に登録することを禁止しました。
しかし、返済中の過払い金請求では信用情報に異動情報(事故情報)が登録されるため、ローン審査に落ちる可能性があります。
また、過払い金で返済中の借金を完済できない場合、貸金業者と借金の減額の交渉をすると、任意整理となりブラックリストに載ります。
ブラックリストに載ると、約5年間は信用情報機関に事故情報が残り、クレジットカードやローンの審査が通らないです。
信用情報機関に事故情報が記録されると、他の金融機関もこの情報を見ることができます。
その結果、新たなクレジットカードの申込みやローンの審査に影響を及ぼし、否決されるリスクが高まります。
書類や入金を見られて借金がバレる可能性がある
過払い金請求は、家族など第三者に書類や入金の事実がバレて、借金が存在していたことが明らかになるリスクがあります。
たとえば、貸金業者との郵便物のやり取りで家族に見られたり、過払い金請求で戻ってくるお金の入金履歴でバレたりします。
生活保護が受けられなくなる可能性がある
生活保護を受けている場合、取り戻した過払い金が収入と判断されて、生活保護が受けられなくなるか返金する可能性があります。
過払い金請求で戻った収入を、申告せずに生活保護を受けていると、不正受給になりかねません。
限られた人になるかと思いますが、生活保護を受けられなくなるデメリットがあります。
過払い金請求のメリット
一方で、過払い金請求は消費者が不当に高い利息を払い過ぎていた場合、その金額を返還してもらえるメリットがあります。主なメリットは下記の通りです。
- 払いすぎた利息を返還してもらえる
- 裁判所などの手続きが不要な場合がある
これにより、過去に過払いした金額を取り戻すことができ、経済的な負担が軽減されます。
払いすぎた利息を返還してもらえる
利息制限法と出資法では上限の金利を決めており、これ以上の利息を払っていた場合、払いすぎた分を返還することができます。
上限金利 | |
---|---|
利息制限法 | 年15%〜20% |
出資法 | 年29.2% |
過払金の利息は、民事法定利率の5%と決められており、2007年2月の最高裁判所の判決にて過払い金の利息は5%になりました。
過払い金が発生している場合、過払い金に5%の利息をつけて返還請求ができます。
ただし、利息をつけて請求する場合は、悪意がある場合に限ります。
たとえば、悪意を持って利益を得ており、過払い金も「利息制限法の上限を超えていること」を知りながら貸付をした人です。
完済してから10年内以内である条件もありますが、払いすぎた利息を返還することができます。
裁判所などの手続きが不要な場合がある
過払い金の請求は、場合によっては債権者との交渉で解決できて、裁判所などの手続きが不要になる可能性があります
さらに、債権者に対して貸金業者が訴訟を起こす場合でも、過払い金請求に詳しい専門家に依頼をすれば「裁判を長引かせないで欲しい」といった要望も可能です。
過払い金請求は下記の2パターンがあります。
- 交渉を行なうケース
- 裁判で争うケース
交渉を行う場合は2ヶ月〜6ヶ月程度かかり、裁判で争う場合は4ヶ月〜1年半程度が目安です。
債権者との交渉を進めることができれば、裁判所などの手続きが不要なので楽になります。
過払い金請求のデメリットを回避するには
過払い金請求のデメリットを最小限に抑えるためには、いくつかの対策があります。
- 過払い金の時効を確認する
- 借入れ予定がない賃金業者だけにする
- 別会社のクレジットカードを作成しする
参考にして過払い金請求のデメリットを回避しましょう。
過払い金の時効を確認する
過払い金請求には時効があり、貸金業者との最後の取引日から10年が経過すると成立します。
最後の取引は、一般的に「借金を完済した日」です。
2020年4月1日以降に完済した場合は、最後に取引した日から10年、または過払い金を請求できることを知ってから5年が事項になります。
過払金の有無や金額、時効の目安を調べるには貸金業者から取引履歴を取得することができて、直接店舗に出向くか、電話やメールなどで請求できます。
借入れ予定がない賃金業者だけに請求する
将来的に、利用する予定のない貸金業者にのみ過払い金請求を行うことで、信用情報の損傷を避けることができます。
弁護士や司法書士に相談して、借り入れ予定がない賃金業者だけを過払い金請求することで、デメリットを回避できます。
別会社のクレジットカードを作成しておく
過払い金請求を行う前に、他の金融機関でクレジットカードを作成しておくことで、請求後の金融サービス利用に備えることができます。
過払い金の請求がすべて完了したあとに、別会社のクレジットカードを作る場合、一般的なカードの審査と同じ過程がとられます。
そのため、過払い金請求で信用情報に影響が出る前に、別会社のクレジットカードを作成しておくとデメリットを回避可能です。
過払い金請求するとカード使えないのは本当!原則使えなくなる
過払い金請求を行うと、その貸金業者から提供されているクレジットカードやローンサービスを今後利用できなくなることが一般的です。
クレジットカードや、ローンサービスを提供している貸金業者との信頼関係は、失ってしまいます。
過払い請求を行ったことにより、リスクの高い顧客と見なされ、今後のサービス提供を控えることが多いです。
過払い金請求のデメリットによくある質問Q&A
過払い金請求のデメリットによくある質問Q&Aを集めました。
「こんなことが聞きたかった」といった疑問が解消できます。
ぜひ最後までお読みください。
住宅購入を予定しているなら、過払い金請求はやめた方がいい?
住宅購入を検討している場合、過払い金請求は慎重に考えるべきです。
過払い金請求は信用情報に影響を与える可能性があり、住宅ローンの審査に悪影響を及ぼすことがあります。
特に審査が厳しい住宅ローンにおいては、事故情報があると否決されるリスクが高まります。
したがって、住宅ローンの申請前に過払い金請求をする場合は、事前に専門家のアドバイスを受けることが重要です。
過払い金請求でどれくらい返金されるの?
過払い金請求による返金額は、過去に支払った利息の金額と利率、支払い期間によって異なります。
法定利率を超える利息を支払っていた場合、その超過分が返金の対象となります。
返金額の算出は複雑であり、個々のケースによって大きく異なるため、具体的な金額を知るには、取引履歴の詳細な分析が必要です。
このため、多くの場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、具体的な計算を依頼することが一般的です。
また、返金される金額には時効の規定も関わってくるため、請求のタイミングも重要な要素となります。
司法書士に頼む場合、いくらくらいかかる?
過払い金請求を司法書士に依頼する際の費用は、依頼する事務所やケースによって異なります。
一般的に、司法書士の報酬は以下のような形で設定されることが多いです。
用途 | 金額の目安 | |
---|---|---|
着手金 | 過払い金請求を開始するための初期費用 | 数万円から数十万円程度 |
成功報酬 | 過払い金が実際に回収できた場合に支払う報酬 | 10%〜20%程度 |
実費 | 請求過程で発生する郵送費、交通費、証明書取得費用などの費用 | 実費分必要 |
過払い金請求のデメリットは回避できる
これから過払い金請求をするには、デメリットを把握することが重要です。
デメリットには下記の理由があります。
- 同じ貸金業者からの借り入れができなくなる
- カードやローンの審査に通らなくなる
- 書類や入金を見られて借金がバレる可能性がある
- 生活保護が受けられなくなる可能性がある
過払い金請求のデメリットを回避するには、過払い金の時効を確認し、貸金業者との関係を考える必要があります。
もし、過払い金請求をするなら、弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。
弁護士や司法書士に頼むことで、過払い金請求の問題を解決できます。ぜひ参考に専門家へご相談ください。