住宅を購入する際に、多くの人が利用するのが住宅ローンです。
住宅ローンは、長期に渡って支払うもので借り入れる金額も高額になります。
「無理なく返済できる金額で借り入れたい」「年収に対してどれくらい借り入れできるの」など不安な点を解消してから利用したい人は多いでしょう。
年収と年間返済額の割合を計算した返済比率を考慮した上で、住宅ローンの借入額を考えるようにしましょう。
返済比率(返済負担率)とは、「年収に占める年間返済額の割合」のこと。住宅ローンの審査で金融機関がチェックするポイントの一つだ。返済比率(返済負担率)が基準を超えると返済負担が重くなり、返済が滞るリスクが高まるので、融資が受けられなかったり、借入額を減らされたりする。
住宅購入後の諸費用・維持費なども考えて、無理なく返せる金額を判断するのが良いです。
ここでは、年収別の借り入れ可能額の目安や無理なく返済するポイントについて解説します。
年収がどのくらいあれば住宅を購入できる?
住宅を購入する際、特に注文住宅を建てる場合、年収は重要な要素です。
以下では、年収に基づく住宅購入の目安となる情報を紹介します。
年収400万円以上から家を買う人が多い
一般的に、住宅ローンの借入可能額は年収に基づいています。
住宅金融支援機構の調査によると、フラット35の利用者の平均世帯年収は約602万円です。
年収が400万円から600万円の層が最も多く、住宅購入は年収の5倍程度が目安とされています。
例えば年収500万円の場合、購入限度額はおおよそ2500万円となります。
年収から見る住宅ローン借入額の目安
年収倍率は、以下の計算式で算出できます。
しかし、住宅の種類別で借り入れ可能額の目安は異なります。
住宅の種類 | 資金 | 年収倍率 |
注文住宅 | 3,716万円 | 6.9倍 |
土地付注文住宅 | 4,694万円 | 7.7倍 |
建売住宅 | 3,719万円 | 6.9倍 |
マンション | 4,848万円 | 7.2倍 |
中古戸建 | 2,703万円 | 5.7倍 |
中古マンション | 3,156万円 | 5.9倍 |
表から分かるように、土地付き注文住宅やマンションを購入している人は年収に対して7倍以上の借り入れをおこなっています。
同じ年収でも、家族構成や住んでいる地域によって借り入れできる額は異なります。
目安はローン返済額=年収の20%以下
住宅ローンの返済額は、年収の20%以下に抑えることが推奨されています。
実際に単純な返済負担を考えた場合、返済以外の出費を切り詰めれば年収20%を超える返済も対応は可能です。
ただし、将来的な支出増加に備えるためには、やはり年収の20%以下がひとつの目安になりますし、審査でもこの点はチェックされます。
たとえ銀行から高額のローンを借りることができても、返済可能な範囲内で計画を立てることが重要です。
自己資金は購入価格の2割~3割が理想的
住宅購入価格の2割から3割は自己資金(頭金+諸費用)として用意することが望ましいとされています。
頭金があるとローンの条件が良くなる可能性があるので、借入額に限らず、頭金は用意をしておいたほうが良いでしょう。
年収から借入額を算出するためには、頭金の額も考慮しておきましょう。
住宅ローン借入額の年収別シミュレーション
住宅ローンの借入可能額は、年収に大きく依存します。
以下では、年収別に、どの程度の住宅ローンを借り入れることが可能かのシミュレーションを示します。
このシミュレーションでは、金利1.5%の固定金利、返済負担率20%、頭金やボーナス返済利用なし、年齢35歳、返済期間15年、25年、35年を基準にしています。
※これらの数値はあくまで目安であり、金融機関による個別の審査結果によって変動する可能性があります。
また、住宅購入時の総額には土地や建物の価格の他に諸経費も含まれるため、これらを考慮して資金計画を立てる必要があります。
年収300万円の場合
年収 | 返済額 | 借入可能額 |
300万円 | 60万円(月5.0万円) | 1,200〜1,500万円 |
年収400万円の場合
年収 | 返済額 | 借入可能額 |
400万円 | 80万円(月6.6万円) | 約1,600万円〜2,000万円 |
年収500万円の場合
年収 | 返済額 | 借入可能額 |
500万円 | 100万円(月8.3万円) | 約2,000万円〜2,500万円 |
年収600万円の場合
年収 | 返済額 | 借入可能額 |
600万円 | 120万円(月10.0万円) | 約2,400万円〜3,000万円 |
年収700万円の場合
年収 | 返済額 | 借入可能額 |
700万円 | 140万円(月11.6万円) | 約2,800万円〜3,500万円 |
無理なく返済するための4つのポイント
住宅ローンの返済期間は35年が一般的で、家計にとって大きな負担となります。
返済しきれないほどのローンを組んでしまった場合、ライフプランの見直しが必要になる可能性があります。
無理なく返済するためにも、以下の3つのポイントをおさえてローンを組むようにしましょう。
諸経費なども考慮して月々に返済できる額を把握する
住宅ローンは、毎月支払いが発生するものであり、長期にわたって返済しなければなりません。
月々の支払いに追われ、家計が苦しくなってはせっかくマイホームを手に入れても意味がないのです。
毎月の支払いには、ローンの返済だけでなく、固定資産税や都市計画税が必要になります。
マンションに住む場合は、共益費や管理費なども支払わなければなりません。
収入と支出のバランスが保てるように、支払い金額を設定するようにしましょう。
ローンをできるだけ早く組む
ローンを早く組むことも、将来的には支払い負担が軽減されることがあります。
同じ年収で同じ金額を借り入れた場合でも、返済期間の長さで総返済額は異なります。
住宅ローンの返済期間が長けれは.長いほど毎月の返済額は軽減できます。
一方、返済期間が短くなると月々の返済負担は増えて定年退職をした後も支払いを続けなければならない可能性もあるのです。
ローンを早く組み、一括返済に向けて貯蓄するのも無理なく返済するポイントでしょう。
頭金を多く出す
住宅購入時に支払う代金が頭金です。住宅ローンは、支払った頭金以外の残りの残高で組み、毎月返済をおこないます。
頭金は、購入金額の2割程度支払うのが一般的ですが、頭金を多くいれることで金利優遇が受けられる場合もあります。
また、住宅ローンの支払い金額が減るため、総返済額が減らせ毎月の負担を軽減できるメリットもあるのです。
ペアローンや収入合算を検討する
住宅ローン購入時に、借り入れ可能額に届かない場合はペアローンや収入合算を検討するとよいでしょう。
借り入れ可能額ギリギリで借りた場合は、返済できずに家を手放さなければならないことになるかもしれません。
ペアローンは、夫婦が別でローンを組む方法であり、2人の借り入れ可能額を合算することで借入金額が増えます。
ただし、住宅ローンに必要な手数料や金利の支払いも2倍になる点にも注意しましょう。
一方、収入合算は夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。
借り入れ可能額は増えますが、団体信用生命保険の加入が契約者のみのデメリットもあります。
資金がないけど家を購入したい時の3つの対処法
資金がない場合でも、家を購入したい場合は3つの対処法を実践してみましょう。
予算に合った物件に切り替える
購入予定の物件が高すぎる場合は、予算に合ったより安い物件に切り替えることを考慮しましょう。
新築だけでなく、中古住宅や築年数が浅い物件も視野に入れることが重要です。
価格が安い中古物件をリノベーションする選択肢もあります。
賃貸併用住宅の活用を視野にいれる
自宅の一部を賃貸として活用する賃貸併用住宅を検討するのも一つの方法です。
賃料収入で住宅ローンの返済を補填できるため、負担を減らすことが可能です。
ただし、賃貸部分の管理やメンテナンスには注意が必要です。
特例を利用する
若年層や初めての住宅購入者向けの特例を利用することもできます。
住宅ローンの金利減税や住宅取得資金の贈与税特例、さらには地方自治体の補助金制度など、様々な支援策が用意されています。
これらを活用することで、初期費用の負担を軽減できる場合があります。
これらの方法を検討し、資金が不足している状況でも、住宅購入の夢を叶えるための手段を探ってみましょう。
また、可能であれば貯蓄を増やすための努力も重要です。
シミュレーションを利用して無理なく借り入れできる金額を算出しよう
住宅ローンの借り入れ可能額は、年収の20%程度が目安です。
しかし、家族構成や住んでいる地域、借り入れ時期などによって借り入れ可能金額は異なります。
頭金や住宅ローンの金利の種類によっても返済総額は異なるため、正確な金額を知るためには住宅シミュレーションの利用が必須です。
シミュレーションを利用した上で、返済できる金額の住宅ローンを検討しましょう。