このご時世になって、あらためて思うのは「この世の中、いつなにが起こるか分からない」ということ。
こんな時代だからこそ、当面の暮らしは維持できるくらいの蓄えを常に準備しておくことの大切さが際立ちます。
とはいえ、いきなりお金を貯めようとしても、なかなかむずしいものですよね。
そこで今回は、長年にわたって貯蓄の達人を取材してきた私が実践する貯蓄メソッドについて解説していきたいと思います。
さらに、私の知り合いのお金持ちたちの貯蓄エピソードを紹介しながら、お金に好かれる人とはどんな人なのかについて見ていきたいと思います。
この記事を書いた人 酒井富士子(さかい・ふじこ)
経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。「日経ウーマン」「日経マネー」(日経BP社)副編集長歴任。「あるじゃん」「赤すぐ」(リクルート)副編集長を経て、2003年から現職。
voicy「ポイ活チャンネル」、オフィシャルブログも運営
ムダ遣い体質でも始められる“チリつも”貯金
お金が貯まらないと悩んでいる人は少なくないと思います。
しかし、その原因を探ると、結局のところ行き着くのが「ムダ遣い」です。
ムダ遣い体質の人は、たとえ収入が2倍になったとしても、1000万円のお給料をもらったとしても、あればあるだけ使ってしまうため、いつまでたってもお金を貯めることはできません。
実際に、重度のムダ遣い体質であった私は、かつて様々な貯蓄方法を試してみては撃沈する、を繰り返してきました。
しかし、とうとう試行錯誤の末に、自分でもできる貯蓄方法を見つけたのです。
それこそが継続的に少額を積み立てていく“チリつも”貯金です。
チリも積もれば山となる、といいますが、毎月1万円ずつ積み立てをしていけば、1年で12万円。1%の金利で積み立てていけば、10年で125万5440円となります。
たかが毎月1万円の積み立てであっても、10年続けると“チリつも”で100万円以上のお金になるわけです。
しかし、“チリつも”貯金を始めても、積立金額を高めに設定して続けられなくなっては元も子もありません。
そのため、まずは月1万円などできる範囲で積み立てていけば構わないので、それを継続的に積み立てていくことを心掛けましょう。
まさに継続は力なりです。
今からでもよいので、貯蓄ができなくて悩んでいるという方は、ぜひとも“チリつも”貯金を実践してみてください。
お金持ちこそ実は貯蓄の達人
ここからは、私の周りのお金持ちの貯蓄エピソードについて紹介していきます。
お金持ちというと贅沢三昧で散財しているなどのイメージが強いかもしれませんが、実際に会ってみると、彼らの多くは貯蓄の達人でもあったのです。
彼らが、いかに日々のお金を節約し、それを貯蓄にまわすことに命を懸けていたのか、その節約ワザについて、実例をもとに少し見ていきましょう。
① 毎月のお小遣い500円の人気コンサルタント
私の知り合いのコンサルタントの話です。
彼は様々な企業から引っ張りだこの人気コンサルタントで、講演なども頻繁にしているため、いったいどれだけ収入があるかわかりません。
それなのに、彼はびっくりすることに、1日のお小遣いがたったの500円なのです。
なにせ、手帳タイプの小遣い帳をつけているのを見せてもらったので、間違いありません。
どうしてそんなに使わないのか聞いて見ると、「お金がもったいないから」の一言。
出勤費や外出の交通費は会社から支給なのでタダ。市販の飲料水も一切買いません。
なぜなら、家から麦茶を入れた水筒を持ってきているからです。
昼食はコンビニなどでおにぎりを購入。これが1日500円のお小遣いの大半を占めます。
タバコも吸わない、帰りに一杯飲むことも基本なし。夕食は何時になろうと家に帰って食べるので、使う時がないというのです。
② 自転車通勤の敏腕弁護士
敏腕弁護士の友人にもなにかと驚かされます。
テレビにも登場する有名弁護士ですから、渋谷の自宅から事務所までは車の送迎なのかと思いきや……。
なんと、彼は夏の暑い日も、冬の寒い日も自転車で通勤しているというのです。
私がびっくりして「ダイエット?それとも身体にいいから?」と質問すると、答えはやはり「もったいないから」。
通勤費などで1円たりともムダな出費をしたくないようです。
③ 家でセーターを2枚重ねする社長
ある社長の豪華な邸宅に取材にうかがった時のことです。
冬だったせいもありますが、コートを脱げないくらい、家のなかが寒いのです。
ストーブやエアコンは完備されているようですが、よく見るとスイッチはオフ。
ストッキングだった私は、スリッパをはいても、足先が凍りそうでした。
洋服も半袖ニットにジャケットと軽装だったために、鳥肌が立ってくる始末です。そうこうするうちに、取材する社長本人があらわれました。
すると、彼はスキーに行くのかと思うほどの厚手の靴下にハイネックのセーター。
そのうえにカウチンセーターを重ね着して優雅に笑っています。
寒そうな私に気を遣って、すぐにストーブのスイッチをいれてくれましたが、本人いわく「ストーブなどはなるべくつけないようにして、光熱費を節約してるんです」とのこと。
その自然体の倹約生活には思わず頭が下がりました。
どうでしょうか?一般的なお金持ちのイメージとはかけ離れた3人のエピソードを読んで、面食らった人もいるかもしれませんね。
しかし、私の周りのお金持ちの多くは、この3人とまではいかないにせよ、かなりの倹約家です。
さらに、こうした人々に共通しているのは、日々の努力で節約したお金をすべて貯蓄にまわしていたということです。
お金持ちとは、お金を大切にする人のこと
お金を貯めるためには、貯金にまわすタネ銭がなくてはいけません。
いくら年収1000万円でも、1億円でも全部使ってしまえば、お金は貯まりません。
こういう人は、金回りはいいかもしれませんが、資産はあまりなかったりするかもしれません。つまり、真のお金持ちではないのです。
逆に年収400万円でも半分の200万円を貯蓄にまわしているなら、10年で2000万円が貯まります。
こうしたお金を使わずに貯められる人こそが、先ほどの年収1000万円で貯金ゼロの人より、ずっとお金持ちに近い位置にあると思います。
つまり、真のお金持ちとは、お金を”稼ぐ”ことではなく”貯める”ことが得意な人たちのことなのです。
先ほど見てきたお金持ちたちも、自分のスタイルに合わせて、お小遣いを節約したり、交通費や光熱費を節約したり、など出費を減らす工夫をしていましたよね。
お金持ちになるためには、彼らのようにお金を大切にする、つまりお金の価値をきちんと理解することこそがなによりも重要なのです。
このことを理解したうえで、”チリつも”貯金を継続していけば、あなたのお金持ちへの道は開けていくことでしょう。