総量規制は、個人が貸金業者から借り入れられる金額の上限を年収の3分の1に制限する制度です。
Q2-1.総量規制とは何ですか?
A2-1. 借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた新しい規制です。具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新たな借入れはできなくなる、という内容です。例えば、年収300万円の方は、貸金業者から100万円までしか借りることができないということになります。
総量規制は、消費者が返済能力を超える借入れを防ぐために設けられています。
ただし、住宅ローンや銀行のカードローンなど、総量規制の対象外となるケースもあります。
また総量規制を超えると、新たな借り入れが困難になるため、資金確保が難しくなります。
しかし、消費者金融の例外貸付、特に「顧客に一方的に有利な借換え」、つまり、おまとめローンを利用することで、総量規制を超えた借入れが可能になる場合もあります。
今回は、総量規制を超えた状態でお金を借りる方法について紹介していきます。
総量規制とは?超えた場合どうなる?
総量規制は、日本の貸金業法において設けられた規制の一つです。
主に消費者金融が個人に対して行う融資に関する制限を指します。
総量規制は、過剰な借り入れから生じる多重債務を抑制することを目的としています。
先述したように総量規制では、年間収入の3分の1までが融資上限とされています。
たとえば年収が300万円の場合、年間で100万円までしか借り入れができません。
また以下の3つは、総量規制の対象になる借入になります。
借入が総量規制を超えた場合は追加で借りることが出来なくなる
総量規制を超えた場合、追加でお金は借りられません。
借入可能額が0円になります。
ただし、「今まで借りた分を一括で返済すること」は求められることはありません。
総量規制を超えた場合でも、返済プランはこれまで通りなのでその点はご安心ください。
総量規制を超えた場合でも借入できる場合もある
状況によっては、総量規制を超えた場合でも借入できます。
日本貸金業協会にも、下記のように明記されています。
総量規制になじまない貸付け(総量規制の「除外貸付け」)や、顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け(総量規制の「例外貸付け」)については、たとえ、年収3分の1を超えても返済能力があると認められれば貸金業者から借入れすることができます。
引用元:日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」
このように総量規制の適用範囲から除外された貸し付けのことを、「除外貸付け」と言います。
除外貸付の対象となる分野の例は、下記の通りです。
- 高額療養費の際の貸付
- 不動産を担保とする場合の貸付
- 住宅ローン(不動産購入のための貸付)
- 自動車ローン(自動車購入のための自動車を担保とする貸付)
住宅ローンや自動車ローンは総量規制の対象外
住宅ローンや自動車ローンは、総量規制の対象外です。
住宅ローンや自動車ローン(※)は、総量規制の適用除外となっています。したがって、住宅ローンや自動車ローンがあるため、借入残高が年収の3分の1を超えていたとしても、総量規制には抵触しません。※ 住宅ローン、自動車ローンについて住宅ローンや自動車ローンのうち、貸し手が銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協等の金融機関である場合、そもそも、貸金業法の適用がある貸付けではないため、総量規制は適用されません。
引用元:金融庁「 貸金業法が大きく変わりました!」
そもそも総量規制は、貸金業者の借入を対象としています。
つまり銀行や信用金庫などからの借入があったとしても、総量規制の対象にはなりません。
総量規制を超えても問題ない(対象外)貸付
総量規制が適用される借入があるように、総量規制が適用されない借り入れもあります。
以下のように総量規制の対象からはずれた貸し付けの場合、年収の3分の1以上の金額でも借り入れができるケースがあります。
ここでは、年収の3分の1以上を借りる方法についてご紹介します。
総量規制の除外貸付
総量規制の除外貸付は、一般的な消費者向けの貸付け規制から外れる特定の条件を満たす借入れです。
総量規制には除外される以下のような貸付があります。
これらの貸付は、借入れ金額が大きいため、年収の3分の1を超える借入れが認められています。
加えてこれらの貸付は、特定の資産を担保にすることで、返済能力を補完し、貸金業者にとってのリスクを軽減します。
ただし、借り手の返済能力が十分にあると評価されることが前提なうえ、融資の審査が必ず通るというわけではありません。
総量規制の例外貸付
総量規制の例外貸付は、特定の条件下で行われる借入れで、主に借り手の利益を守るために設計されています。
総量規制には例外となる以下のような貸付があります。
例えば、おまとめローンとは、複数社からの借り入れ額の合計を1社から借り入れて債務を一本にまとめる方法を指し、年収の3分の1を超えても借り入れができます。
ただし、「おまとめローン専用」の商品でなければ総量規制の対象外とはならないので要注意です。
例外貸付は、借り手にとって有利な条件での借り換えを可能にし、返済の圧縮や管理を容易にすることを目的としています。
しかし、これらの貸付も借入残高に加算されるため、借り手は全体的な債務状況を慎重に考慮する必要があります。
総量規制の例外貸付は、特定の状況下でのみ利用可能であり、一般的な消費者金融の貸付けとは異なる点に注意が必要です。
また、いずれの貸付も、「返済できる見込みがある」という基本的な条件の下でのみ可能とされています。
総量規制を超えた状態で借入を申し込むリスク
総量規制は、借り手の返済能力を保護すると同時に、過剰な借り入れから生じるリスクの軽減を目的とする規制です。
しかし、総量規制を超えてなお、カードローンなどを利用すると、借り手は以下のようなリスクを背負うことになります。
ここからは、上記5つのリスクについて解説します。
返済負担が高くなる
総量規制を超えて借り入れると、返済負担が大幅に増加します。
高額な借入れは、月々の返済額を膨らませ、経済的に厳しい状況を招くことがあります。
返済計画が狂うと、滞納や延滞が発生し、最終的には信用情報に悪影響を与える可能性が高まります。
多重債務のリスク
複数の貸金業者から借り入れることで、多重債務に陥るリスクが高まります。
これは返済計画の複雑化や管理の困難さを引き起こし、結果として返済不可能な状況に陥る可能性があります。
多重債務は精神的なストレスも引き起こし、個人の生活に深刻な影響を及ぼすことがあります。
法的措置を受ける可能性がある
法的措置のリスクも重大です。
借入れが総量規制を超えると、貸金業者は法的手段で訴えてくることもあります。
これには訴訟の提起や資産の差し押さえなどが含まれ、重大な法的、財政的な問題を引き起こす可能性があります。
信用履歴への影響
総量規制を超えた借入れは、信用履歴に悪影響を及ぼす可能性があります。
返済の遅延やデフォルトは信用情報に記録され、将来の借入れ条件や金利に影響を与える可能性があります。
悪化した信用履歴は、住宅ローンや車のローンなど、他の金融サービスの利用にも影響を及ぼす可能性があります。
財政的な難しさ
総量規制を超える借入れは、財政的な難しさを引き起こすことがあります。
高い返済額により、生活費や他の支出に回す資金が不足することがあります。
これは家計のバランスを崩し、日常生活における財政的な余裕を減らすことにつながります。
急な出費や緊急の事態に対応するための資金を確保することが困難になり、経済的な安定性を損なうことになります。
総量規制を超えても借入できる方法
冒頭でも紹介したように、総量規制を超える借入は原則できませんが、一部の貸付には総量規制が適用されないものもあります。
以下は、総量規制を超えても借入ができる可能性がある貸付です。
総量規制外のカードローンを利用する
仮に総量規制の規定である年収の1/3の借入があったとしても、総量規制対象外のカードローンであれば借入は可能です。
総量規制になじまない貸付け(総量規制の「除外貸付け」)や、顧客の利益の保護に支障を生ずることがない貸付け(総量規制の「例外貸付け」)については、たとえ、年収3分の1を超えても返済能力があると認められれば貸金業者から借入れすることができます。
引用元:日本貸金業界
ただし総量規制対象外のカードローンであっても、下記の場合は借入ができない可能性があります。
また借入額は、「収入」と「借入総額」から決定されます。
銀行のカードローンを利用する
銀行のカードローンは貸金業法の総量規制の対象外です。
利息は年1.5%~14.6%程度と、一般的な貸金業者より低めですが、銀行側の自主規制により、年収の3分の1を超える貸付は制限されている場合が多いです。
ただし、全ての銀行がこの自主規制に従っているわけではないため、条件によっては年収の3分の1以上の借り入れが可能な場合もあります。
クレジットカードを利用する
クレジットカードのキャッシングやリボ払いは総量規制の対象ですが、ショッピング枠は対象外です。
そのため、ショッピング枠の利用限度内であれば総量規制にかかわらず使用可能です。
しかし、ショッピング枠の現金化は契約違反にあたるため、絶対に避けるべきです。
除外貸し付けを利用する
総量規制には「除外貸し付け」に属する貸付があります。
これには住宅ローンや自動車ローン、高額療養費の貸付、不動産・有価証券などの担保がある貸付が含まれます。
これらの貸付は、担保があるため返済能力が高いと判断されるケースで、総量規制を超える借り入れが可能です。
例外貸し付けを利用する
例外貸し付けでは、おまとめローンや、個人事業主への貸し付け、配偶者の収入を合算した貸し付けが可能です。
特におまとめローンは、複数の債務を一本化することで、返済負担を軽減します。
個人事業主への貸し付けや配偶者収入の合算は、返済能力の向上が見込まれるため総量規制の対象外になります。
年収を上げて融資額を増やす
総量規制は年収の3分の1までの貸付を制限していますが、年収が上がれば融資額も増加します。
年収を上げる方法としては、副収入を得る、副業やアルバイトでの収入増などがあります。
しかし、年収が上がっても、その分の3分の1までの借り入れを増やすのが最適と灰言い難いです。
むしろ、収入の増加分を返済に充て、債務を減らす方が賢明です。
総量規制を超えたら債務整理を行うこと
総量規制を超えてしまった場合、債務整理が有効な手段となります。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の三つの方法があり、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。
例えば、任意整理では、弁護士や司法書士が将来の利息や遅延損害金のカットを目指します。
個人再生は債務を大幅に減額し、自己破産ではほとんどの債務が免除されますが、一部財産の喪失もあり得ます。
これらの手続きにより、返済負担が軽減され、債権者からの取り立てが停止されます。
デメリットとしては、信用情報に金融事故記録が残る点が挙げられますが、債務整理を検討している段階で既に信用情報に影響が出ていることが多いです。
専門家に無料で相談できるため、債務整理を考えている場合は一度相談しましょう。
総量規制を超えた場合は返済に専念すること
総量規制は、貸金業者からの借入額を年収の3分の1までに限定する法律です。
この規制は、個人が過度な借金を抱えることを防ぐために設けられています。
しかし、法律で定められた総量規制の対象外となる借入も存在しますが、これらにも一定の制限があり、簡単に総量規制を超える借入を行うことは難しいのが現実です。
総量規制の限度額まで借りてしまった場合、さらなる借入を模索するのではなく、返済に専念することが肝心です。
追加の借入は、既存の負担を増やし、さらなる金融的な困難を引き起こす可能性が高いためです。
もし返済が困難な状況に陥っている場合は、専門家に相談しましょう。
無料の借金相談窓口や、弁護士、司法書士などの法律専門家は、債務状況を評価し、適切な解決策を提案してくれます。