近年、キャッシュレス決済の普及に伴い注目が集まるクレジットカード。
社会人だけでなく、学生のうちからクレジットカードを持つケースも増えています。
一般社団法人日本クレジット協会が公表する「大学生に対するクレジットカードに関するアンケート(令和元年度)」結果報告書によると、大学生のクレジットカード所持率は61.1%で、そのうちの約8割が自分名義のクレジットカードを持っていることが分かりました。
また、同調査ではクレジットカードを持つ大学生の約半数が「ネットショップでの決済が簡単」という理由でクレジットカードを契約しているとの結果でした。
クレジットカードは、その利便性の高さで日常生活には欠かせない決済アイテムですが、クレジットカードを持つためにはクレジットカード会社による審査が必要です。
クレジットカードの審査には、申込者の返済能力を確かめる、利用限度額を決めるといった目的があります。
そのため、収入源がアルバイトに限られる学生がクレジットカードを作る際、返済能力や利用限度額に注意する必要があるでしょう。
今回は、学生がクレジットカードの審査に申し込む場合、どのような基準で審査されるのか、また、どのような人が審査に落ちてしまうのかを解説していきます。
学生でもクレジットカードに作成することはできる
冒頭でも紹介したように、高校生を除く満18歳以上の方であれば、親権者の同意なしでクレジットカードの申込ができます。
なお、作成には、以下のような申込条件を満たしておく必要があります。
- 高校生を除く18歳以上であること
- 継続的かつ安定した収益が得られている状況であること
- 引き落とし先が個人名義(本人)の口座であること
なお、2つ目の条件の「収入」とは、アルバイトによる収入を指しています。
また、多くのクレジットカード会社では「高校生を除く」という条件が設定されており、18歳になっても高校生の間は申し込みができないのが一般的です。
これは、高校生が経済的な自立に達していないことや、学業に専念するべきという考えに基づいています。
学生カードの審査基準
学生向けクレジットカードの審査基準では、以下のような要素を重要視して入会審査を実施しています。
- 申込者の年齢・属性
- 収入面
- 信用情報(クレジットヒストリー)
これらの基準は、学生がクレジットカードを利用する際の責任と能力を評価するために設定されています。
申込者の属性情報
クレジットカードの申し込みに際しては、申込者が18歳以上であることが基本条件です。
これは、法的にクレジット契約を結ぶことが可能な最低年齢とされています。
また、申込者の職業、勤務先などの個人情報も重要視されます。
学生カードの場合、以下のような情報が重要視されます。
- 満18歳以上であること
- 高校生じゃないこと
- 学校教育法第二十六号第一章に定義された学校(4年制大学や短大など)に所属していること
これらの情報から、申込者の社会的な安定性や信用力が評価されます。
毎月安定した収入があるかどうか
学生であっても、継続的な収入の有無は重要な審査ポイントです。
多くの場合、アルバイトなどの収入源が確認されます。
収入がない場合でも、申込者は年収0円として申告することになりますが、これが必ずしも審査の否決に直結するわけではありません。
クレジットカード会社は、各々の基準に基づいて総合的に審査を行います。
クレジットヒストリー
クレジットカードの審査では、申込者の過去の信用情報が重要な役割を果たします。
これには、過去に利用したクレジットカードやカードローンなどの金融商品に関する申し込み、契約、支払い履歴が含まれます。
なおクレジットヒストリーがない学生の場合は、以下の支払いを基準に審査していきます。
- 公共料金・スマホ利用料の支払い履歴
- 税金の滞納・延滞がないこと
- 家賃滞納・延滞がないこと
- キャッシングローンを利用している場合、返済履歴に滞納・延滞がないか
これらの情報は「クレヒス」(クレジットヒストリー)として信用情報機関に記録されており、申込者が信用に足る人物であるかどうかを判断するために使用されます。
学生がクレジットカードを申し込む際には、これらの基準に基づいた総合的な審査が行われます。
学生はこれらの基準を理解し、適切に準備することで、クレジットカードの申し込みに成功する可能性を高めることができます。
学生カードの入会審査に落ちる理由
学生がクレジットカードの申し込みをして審査に落ちる理由はいくつかあります。
これらは一般的に共通しており、学生が申し込みの際に注意すべきポイントです。
また学生がクレジットカードを申し込む際は、後述する理由を踏まえ、適切なカードを選び、申込書類に正確な情報を提供し、信用情報を管理することが重要です。
これにより、審査落ちのリスクを減らすことができます。
学生不可のクレジットカードを申し込んだ
多くのクレジットカードには、特定の条件や制限が設けられています。
中には学生が申し込み対象外となっているカードもあります。
- ゴールドカードなどランクの高いカード
- 利用限度額が大きいクレジットカード など
たとえば、一部のカードでは、年齢制限や特定の収入レベルが要求される場合があります。
学生がこれらのカードに申し込んだ場合、たとえ他の条件が満たされていても、審査で落ちる可能性が高くなります。
したがって、申し込む前に各カードの対象者条件をよく確認することが重要です。
申込書類に不備・虚偽に当たる情報があった
申込書類に記載する情報が不正確だったり、虚偽の情報を提供したりすると、審査に不利になります。
以下は、学生がクレジットカードを申し込むうえで正確な情報提供が求められる項目です。
- 年齢
- 職業・在学している学校の名前
- 収入額
などの情報は、正確に記入する必要があり、虚偽の情報は信用不足と見なされ、審査落ちの理由になり得ます。
過去の支払いに滞納や遅延があった
クレジットカードの審査では、申込者の信用情報が重要な要素です。
学生の場合は、以下の情報を基に個人信用情報を審査していきます。
- 携帯電話料金の未払いの有無
- 他のクレジットカードの支払いで遅延や滞納がないこと
- 公共料金・各種税金で遅延や滞納がないこと
上記の支払いで1つでも未払いや延滞などの履歴があった場合、入会審査に悪影響を及ぼします。
特に支払い履歴は申込者の信用度を示す重要な指標です。
短期間に複数枚のカードを申し込んだ
短期間で複数のクレジットカードに申し込む行為は、金融的な困難があると判断される可能性があります。
申し込み情報は信用情報機関に記録され、一度に多くのカードを申し込むことは、審査官に疑念を抱かせる原因になります。
そのため、特に短期間に複数枚のカードを申し込む際は慎重に検討する必要があります。
申し込みのタイミングを分散させる、必要なカードに絞るなどの戦略が有効です。
学生カードの入会審査を通過する方法
学生がクレジットカードの審査を通過するためには、特定の戦略を採用することが重要です。
ここからは、審査通過率を高めるための具体的な方法を紹介します。
職業欄に「学生」と記入する
申し込み時に職業欄に「学生」と記入することが推奨されます。
アルバイトをしている場合でも、「学生」と記入する方がより好ましいです。
なぜなら、クレジットカード会社は学生を対象とした特定の審査基準を設けており、収入が少ない、または無い学生でも審査を通過しやすくなっているからです。
アルバイトと記入すると、審査基準が厳しくなる可能性があるため、この点に注意することが重要です。
学生をターゲットにしたカードに絞る
学生専用のクレジットカードに申し込むことも、審査通過率を高める効果的な方法です。
これらのカードは、学生の金銭事情や経済的な背景を考慮して設計されており、通常のクレジットカードに比べて審査基準がやや緩和されています。
例えば、「三井住友カード」や「JALカード navi」などが、学生に人気のカードです。
これらのカードは学生に特有の特典やサービスを提供するため、初めてのクレジットカード利用者にも適しています。
良質なクレジットヒストリーを作成する
良好なクレジットヒストリーを築くことは、クレジットカードの審査において非常に重要です。
過去のローンや返済記録のことを指し、個人の信用情報に記録されます。
例えば、携帯電話の料金を毎月定期的に支払う、ショッピングクレジットの分割払いを滞りなく完済するなどが、良質なクレジットヒストリーを作るための方法です。
これらの行動は、将来のクレジットカード審査において、信用性を高める効果があります。
入会審査の通過率が高いおすすめの学生カード4選
学生にとってクレジットカードは、日常の支払いや海外旅行の際に便利なツールです。
また後述するクレジットカードは、学生に特化した特典やサービスを提供しており、日常生活や旅行、買い物に大いに役立ちます。審査通過率も高いため、初めてのクレジットカードとしても最適です。
ここでは特典が豊富なおすすめの学生向けのカードを4つ紹介します。
三井住友カード(NL)
年会費(税込) | 永年無料 |
---|---|
ポイント還元率 | 0.5〜7% |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険 (利用付帯) |
限度額 | ~100万円 |
国際ブランド | Visa/Mastercard® |
入会可能年齢 | 満18歳以上 |
三井住友カード(NL)は、学生ポイント特典を提供する学生専用カードです。
携帯料金やサブスク、LINE Payへのチャージなどでポイントがアップします。
コンビニやファミリーレストランなど、学生がよく利用する施設がポイント還元の対象となっています。
また、セキュリティ面でも安心の「ナンバーレスカード」仕様となっています。
学生専用ライフカード
年会費(税込) | 永年無料 |
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ポイント還元率 | 0.5~1.0% |
付帯保険 | 海外旅行 |
限度額 | ー |
国際ブランド | Visa/JCB/Mastercard® |
入会可能年齢 | 満18歳~満25歳 |
学生専用ライフカードは18歳から25歳未満の大学生向けにデザインされています。
このカードの特徴は、料金に応じてポイントが増える仕組みで、ポイント還元率がステージによって変わります。
学生専用であるため、カードの審査も比較的通りやすいです。ポイントは電子マネーやギフトカードに交換可能で、海外旅行傷害保険の自動付帯やキャッシュバック制度も魅力です。
JCBカードS
年会費(税込)初年度無料
通常1,375円
ポイント還元率 | 0.5~5.0% |
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付帯保険 | 国内・海外旅行 ショッピング |
限度額 | ー |
国際ブランド | JCB |
入会可能年齢 | 満18歳以上 |
JCBカードSは、ポイント還元率が0.50%から最大5.00%までと高く、JCBブランドならではの安全性と信頼性を兼ね備えています。
20万以上の施設やサービスを最大80%の割引で利用できる優待割引サービスが特徴です。
日常生活や旅行、ショッピングなど様々なシーンでの利便性と経済性を提供します。
「ビュー・スイカ」カード
年会費(税込) | 本人会員542円(税込み)家族会員524円(税込み) |
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ポイント還元率 | 0.5%~ |
付帯保険 | 国内旅行傷害保険/海外旅行傷害保険 |
限度額 | 最大300万円 |
国際ブランド | VISA/Mastercard/JCB |
入会可能年齢 | 満18歳以上 |
ビュー・スイカカードは、suica機能付きのクレジットカードでsuicaのオートチャージ昨日がついています。
またsuica定期券として利用可能で、電車利用やお買い物でJREPOINTを貯める事ができます。
JREPOINTはSuicaでチャージすることができるので、首都圏に住んでいる人に適したクレジットカードです。
ビュー・スイカカードの申し込み条件が”日本国内にお住まいの満18歳以上の方で、電話連絡の取れる方”となっているので、学生や主婦でも発行できる可能性の高いカードでもあります。
安定した収入や会社の勤続年数などの条件がないので、学生におすすめです。
楽天カード
年会費(税込) | 永年無料 |
---|---|
ポイント還元率 | 1.0%〜 |
付帯保険 | 海外旅行 |
限度額 | 最大100万円 |
国際ブランド | Visa/JCB/AMEX/Mastercard® |
入会可能年齢 | 満18歳以上 |
楽天カードは年会費永年無料で、通常の還元率は1%と高めです。
楽天市場での利用や特定のセール期間中には、ポイント還元率が数倍に跳ね上がります。
利用可能な加盟店も多く、学生が日常的に利用する場所での使用に適しています。
貯まったポイントは楽天トラベルや楽天市場、さらにはSuicaのチャージにも利用できます。
学生カードの審査に関する質問
学生カードの審査については、多くの学生が関心を持っています。以下で、それぞれの質問に対する解説を行います。
学生カードの審査は、一般のクレジットカードに比べる
学生カードの審査は厳しい?
学生カードの審査は、一般のクレジットカードに比べると比較的緩和されています。
学生向けのカードは、収入が限られている学生の状況を考慮して作られているため、審査基準がやや柔軟です。
しかし、それは緩いという意味ではなく、信用情報や申し込み内容の正確性などがしっかりと評価されます。
学生カードの審査に落ちる理由は?
学生カードの審査に落ちる主な理由としては、過去の支払い履歴の問題、申込み情報の不備や虚偽、短期間内に多数のカードに申し込むことなどがあります。
特に、信用情報に遅延や未払いが記録されていると、審査に不利に働くことが多いです。
学生カードの審査に学歴は関係している?
学生カードの審査において、直接的に学歴が重要視されることはほとんどありません。
審査では、学歴よりも信用情報や収入状況、申し込み内容の正確性などがより重要な要素となります。
ただし、学生であること自体が審査においてある程度のプラスにはなります。
アルバイトをしていなくても学生カードの審査は通過できる?
アルバイトをしていない学生でも、学生カードの審査を通過することは可能です。
学生カードは収入が限られた学生を対象としているため、収入がない、または少ない学生でも審査に通ることが設計されています。
ただし、その他の要素、例えば信用情報が良好であることが望ましいです。
アルバイトを複数掛け持ちしているときはどうすればいい?
アルバイトを複数掛け持ちしている場合、その収入を正確に申告することが重要です。
複数のアルバイトからの収入は、安定した収入源として評価されることがあります。
ただし、申告する際には正確さが求められるため、虚偽のないように注意する必要があります。
学生カードを申し込む際は正確な情報を記入して審査に臨もう
クレジットカードの申し込みにおいて、学生は特に正確な情報を提供することの重要性を理解する必要があります。
学生カードの申し込みでは、申込書に記入する情報の正確性が審査結果に大きく影響を及ぼすからです。
まず、基本情報として氏名、住所、電話番号、メールアドレス、学校名などは、間違いがないように慎重に記入することが求められます。
特に、住所や連絡先に誤りがあると、カード会社からの重要な通知が届かない可能性があるため、非常に重要です。
また、申し込みに際しては、収入情報も正確に申告する必要があります。
アルバイトやインターンシップの収入がある場合は、その額を正確に記入し、収入証明書類を準備することが望ましいです。
収入がない場合でも、その事実を正直に申告することが重要です。
虚偽の申告は審査の不利につながるだけでなく、カード発行後のトラブルの原因にもなり得ます。
併せて申し込みするカードの種類を慎重に選ぶことも重要です。
学生向けのカードは通常、申し込みしやすい条件が設定されていますが、それでも特定の条件や制限が設けられているモノもあります。
よって、クレジットカードを持つ際は、自分に適したカードを選択することが、審査通過の鍵となります。