住宅ローンの審査には事前審査と本審査があり、審査完了後に融資を受けるまでも一定の期間を要します。
住宅を購入したり、注文住宅を建てたりする際に借りる住宅ローン。数千万円という大きな金額を最長35年という長期間で返済していくわけですから、銀行など貸す側の金融機関も慎重になります。そこで、正式な申し込みの前に事前申し込みと仮審査があるのです。
住宅ローンの融資を受けたい方は、審査の完了までどれくらいの時間がかかるか事前に知っておくべきでしょう。
今回は、住宅ローンの審査に必要な平均期間と長引いてしまうケースについて解説していきます。
- 住宅ローンの審査には2種類ある
- メガバンクとネット銀行の審査期間
- 審査が長引いてしまう理由
住宅ローン審査には2種類ある
審査には、事前審査と本審査の2種類があります。
事前審査の審査を通過しなければ、本審査に進めません。
事前審査では、本人の年収や借り入れ金額、他社からの借り入れ金額などを申告します。
本審査は、事前審査よりも細かく審査をおこない、融資を行うかどうか判断されます。
事前審査と本審査では、審査内容は異なり、事前審査は複数の金融機関に申請が可能です。
また、それぞれに審査期間が設けられているため、申請は余裕を持って行いましょう。
住宅ローンの申し込みの流れ
ここからは、住宅ローンの融資までの流れを手順に沿って解説していきます。
【STEP1】金融機関を選択する
住宅ローンを申し込む前に、まずは複数の金融機関を比較検討することが重要です。
金利条件、返済期間、手数料などの条件を検討し、自分の経済状況や計画に最適な金融機関を選びます。
また、金融機関によっては特別な優遇条件やキャンペーンを行っている場合もあります。
【STEP2】事前審査に申し込む
選んだ金融機関で事前審査に申し込みます。
この段階では、所得証明書や勤務先情報、購入予定物件の情報など、基本的な書類が必要になります。
事前審査は、本審査への進行前に、大まかな借入可能額や金利条件を確認するためのものです。
【STEP3】本審査に申し込む
事前審査を通過したら、次は本審査の申し込みに進みます。
本審査では、より詳細な財務情報や返済計画、物件情報が求められ、審査はより厳格になります。
本審査が実質的な審査であり、事前審査に比べて完了までに時間がかかります。
【STEP4】融資が実行される
本審査を通過すると、ローン契約の手続きに進みます。
契約書類の確認、署名、印鑑登録などが行われ、最終的に融資が実行されます。
ここで初めて、購入予定の不動産に対する資金が手に入り、物件購入のための手続きを進めることができるようになります。
住宅ローンの審査期間
各金融機関の審査時間は、以下の通りです。
事前審査 | 本審査 | |
---|---|---|
三菱UFJ銀行住宅ローン | 最短即日 | – |
住信SBIネット銀行住宅ローン | 最短即日 | 1周間〜10日程度 |
PayPay銀行住宅ローン | 1〜5営業日 | 3〜10営業日 |
ソニー銀行住宅ローン | 最短60分 | 7日〜10日 |
イオン銀行住宅ローン | 最短即日 | 1〜2周間程度 |
auじぶん銀行住宅ローン | 最短即日 | 3〜10営業日 |
みずほ銀行住宅ローン | 最短1分 | 10日程度 |
楽天銀行住宅ローン | 最短即日 | 1〜2周間程度 |
一般的に、事前審査は比較的短期間で終わりますが、本審査にはより多くの時間がかかります。
事前審査は3~4日程度
事前審査は、通常3~4日程度で完了します。
この段階では、申込者の基本的な情報や大まかな収入状況、借入額の希望などを金融機関に提出します。
金融機関はこれらの情報を基に、大体の借入可能額や適用される金利などの条件を提示します。
事前審査は正式な審査ではなく、予備的な判断のためのものであることを理解しておくことが重要です。
本審査は1~2週間程度
本審査は、より詳細な情報を基に行われるため、1~2週間程度かかることが一般的です。
この段階では、申込者の詳細な財務状況、勤務先情報、購入予定物件の詳細などが審査の対象になります。
金融機関はこれらの情報を基に、申込者の返済能力を慎重に評価します。
本審査を通過すると、住宅ローンの正式な承認が下り、その後ローン契約へと進むことになります。
メガバンクやネット銀行の審査時間
住宅ローンは、メガバンクやネット銀行などが提供しています。
金融機関によって、審査時間は異なり、審査時間を詳しく公表していない場合もあるのです。
ここでは、メガバンクとネット銀行の審査時間について解説します。
メガバンクの場合
メガバンクでは、詳しい審査時間は公表されていません。
メガバンクでは、住宅ローン審査は保証会社で行われることが一般的です。
また、申込後来店を必要とする場合もあるため、審査期間は申請者によっても異なります。
しかし、近年はAIによる審査の導入やWeb完結できるメガバンクも増えているため、審査時間が短縮される場合もあります。
審査をスムーズに進めたい場合は、どのような方法で審査を進めているか、利用したい金融機関に事前に確認しましょう。
ネット銀行の場合
ネット銀行は、審査時間が短いのが特徴です。
事前審査は最短即日や最短翌営業日、本審査も3〜4日程度としている金融機関もあります。
また、申し込みから融資までWebですべて完結するメリットもあるのです。
一方で、対面での申し込みではないので審査に融通がきかなかったり、書類不備に対応できなかったりするデメリットもあります。
住宅ローンの審査期間が長引く理由
上記が住宅ローンの平均的な審査期間ですが、ケースによってはより長い審査期間を要するケースがあります。
ここからは、審査期間が長引いてしまう主なケースを紹介します。
ケース①返済能力の判断に時間がかかっている
返済能力の判断は、住宅ローン審査において最も重要な要素の一つです。
金融機関は、申込者の収入、負債、貯蓄などを詳細に分析します。
特に、不安定な収入や不規則な支出がある場合、金融機関は返済能力を正確に評価するために追加情報を要求することがあります。
金融機関が独自に定めた返済能力の基準ギリギリの状態であるほど、審査に時間がかかる傾向にあります。
ケース②自営業などで経営状況の確認が必要
自営業者やフリーランサーなど、定期的な給与所得がない場合、その経営状況や収入の安定性を評価するために追加の時間が必要になります。
会計書類、確定申告書、業務契約書など、より多くの資料が審査に必要とされます。
提出の依頼や提出物のチェックが必要となり、自然に審査時間がかかってしまいます。
ケース③複数のローンから融資を受けている
既に複数のローンを抱えている場合、それらのローンの返済状況や全体の負債状況を金融機関は詳細に検討します。
他のローンの返済に支障がないか、返済に問題はないかなどを、個人信用情報を開示してチェックします。
他社のローン申し込み状況は返済能力に影響するため、金融機関も詳細に審査をおこないます。
ケース④書類に不備がある
書類に不備がある場合も審査が長引く原因となります。
住宅ローンを提供する金融機関では、書類を元に審査を行います。
また、申込者に返済能力があるかどうかは収入や信用情報を元に判断するのです。
書類に不備があると、書類の再提出や訂正を求められ、審査が進められません。
審査を長引かせないためにも、書類を提出する際は間違いがないか確認してから提出するようにしましょう。
住宅ローンの審査期間が長引いた後に落ちてしまうケース
住宅ローンの審査期間が長引いた後に落ちてしまうケースは、以下の通りです。
完済時の年齢が高齢・申込時の年齢が若すぎる
年齢は住宅ローン審査の重要な要素です。
65歳以上の場合、ローンの返済期間が定年後に及ぶ可能性があるため、金融機関は返済能力に疑問を持つことがあります。
逆に、年齢が若すぎると、安定した収入が得られていない可能性があるため、審査が厳しくなります。
健康状態が団体信用生命保険に加入できない
住宅ローンを利用する際には、団体信用生命保険に加入することが一般的です。
この保険は、万が一の時にローンの残債が免除されるため重要です。
もし申込者の健康状態が保険加入の条件を満たさない場合、ローン審査に影響を与えることがあります。
年収に対する返済負担率が高い
年収に対して返済負担率が高い場合、金融機関は返済能力が十分ではないと判断して、審査に落ちてしまいます。
一般的に返済負担率は年収の25%から30%以内が望ましいとされています。
この率が高いと、他の生活費に影響を及ぼすリスクがあると判断され、審査に時間がかかることがあります。
担保物件の価値が不十分
住宅ローンでは、購入する物件が担保となります。
その物件の価値が不十分だと判断されると、ローンの承認が困難になります。
物件の立地条件、建物の状態、市場価値などが審査の対象となります。
個人信用情報に問題がある
金融機関は、住宅ローンの審査過程で個人信用情報を確認します。
過去の延滞記録や債務整理の履歴などがある場合、これがローンの承認に影響を与えることがあります。
特に、信用情報に問題があると判断されると、審査が長引くことが多いです。
これらの要因は、金融機関がリスクを避けるために慎重に審査するためのものです。
事前審査が長引く場合、これらの要因のいずれかが影響している可能性が高いです。
そのため、住宅ローンを申し込む際は、これらの点に注意し、準備を整えておくことが重要です。
住宅ローンの審査をスムーズに進めるための3つのコツ
住宅ローンの審査をスムーズに進めるための3つのコツは、以下の通りです。
それぞれのコツについて、詳しく解説していきます。
書類は事前に用意する
審査をスムーズに進めるためには、書類を事前に用意しておくとよいでしょう。
必要書類には、本人確認書類や収入証明書、住宅に関する書類が必要です。
書類を集めるのに時間がかかる場合もあるため、必要な書類は事前に確認しておきましょう。
事前審査は早めにおこなう
事前審査を早めに申請することも、審査をスムーズに進めるコツです。
事前審査は、3〜4日程度といわれていますが混雑具合や書類の不備などにより、長引くこともあります。
事前審査をスムーズに進めない場合は、本審査まで時間がかかります。
そのため、事前審査申し込みは早めにおこないましょう。
審査対策を把握しておく
住宅ローン審査では、審査対策を把握しておくとスムーズに手続きが進められます。
住宅ローンでは、以下の項目に当てはまる場合は審査通過は難しくなります。
- 転職したてである
- 信用情報に傷がある
- 他社から借り入れがある
- 返済負担率が高い
- 完済時の年齢が80歳以上である
- 物件担保価格が低い
思い当たる項目がある場合は、審査落ちの要因となるため事前に対策しておきましょう。
住宅ローンの審査期間によくある質問Q&A
住宅ローンの審査期間によくある質問についてご紹介します。
過去に返済滞納があると住宅ローンの審査期間は長引く?
過去に滞納の履歴がある場合でも、住宅ローンの審査に必ずしも不利になるわけではありません。
金融機関は滞納の理由や頻度、滞納からの経過時間、現在の返済能力などを総合的に評価します。
滞納が一時的なもので、その後安定した返済実績がある場合は、審査結果に大きく影響されないこともあります。
ただし、頻繁な滞納や最近の滞納は、審査に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
1ヶ月以上審査に時間がかかっている場合はどう対処する?
審査期間が1ヵ月以上かかっている場合、下記の4つの理由が考えられます。
- 住宅ローンの審査が難航している
- 休業日を挟んでいたり、申込先の事情により審査が停止していたりする
- 申込が反映されていない
- 審査は完了しているのに連絡が届いていない・または行き違いがある
申込先から1ヵ月前後も音沙汰がない場合は、そもそも審査が行われていなかったり、審査が完了しているのに通知を受け取れていなかったりする場合があります。
審査の進み具合に不安がある場合は、金融機関に直接連絡してみましょう。
転職したばかりだと住宅ローンの審査期間は長引く?
本審査前に転職する場合、その影響は申込者の新しい職種や収入、転職の理由によって異なります。
基本的には、現在の勤務先での勤続年数=収入の安定性とみなされるため、転職したばかりだと審査は難航する可能性が高いです。
また、転職後には、新しい職場での職務内容や収入証明を準備することが重要です。
住宅ローンの審査期間はあくまでも目安
住宅ローンの審査期間の目安について説明しましたが、申込者のステータスや申込先の審査の仕組みによっても期間は変わるため、公表されている審査期間通りとはなりません。
また、「住宅ローン審査が長引く場合は落ちる可能性が高い」という噂がありますが、これも一概に言える訳ではないのです。
できるだけ早く住宅ローンの融資を受けたい方は、審査前に金融機関と相談することをおすすめします。