子ども向けにお金や税金のイベントを行うと、親御さんたちからこんな声が聞こえてきます。
「どうしてお金のことって学校で教えてくれないの」
「社会人になって困ったことがたくさんある」
「とても大切なことだけど、どうやって勉強したらいいかわからない」
社会科の授業で累進課税という言葉を習うことはあっても、その制度を理解している人はほとんどいません。
もしかしたら、教壇に立つ先生も理解していないのではないでしょうか。
だから、お金のことや税金のことは自分から積極的に記事や本を読み、人と話すことで知っていかなければいけません。
今回は、新社会人の方のために、知っておくべき税金の種類や制度を解説します。
この記事を書いた人 さんきゅう倉田
常識として知っておくべきおもな税金と用語
所得税
所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。
言葉の通りですが、「所得」が難しいですよね。
収入から経費を引いたものが所得です。
会社員、パート・アルバイトの方であれば、勤務先から源泉徴収票をもらいます。
その中に「支払金額」という項目があって、ほとんどの場合、その「支払金額」があなたの収入になります。
副業をしている、他にも収入がある、そのような場合はそれらすべてを合わせた金額が収入となります。
収入から経費を引くと言いましたが、会社員、パート・アルバイトには経費が認められていません。
厳密には「特定支出控除」という経費を考慮する制度がありますが、条件が厳しいためほとんどの方が利用できません。
ただし、「給与所得控除」があります。みなさんの給与の金額によって変わる控除で、会社員、パート・アルバイトはこれを収入から引くことができます。
みなさんが自分で計算する必要はなく、勤務先が計算してくれています(「控除」と聞いたら、「引けるもの」だと思ってください。)。
所得は、最も一般的な「給与」や個人事業者の「事業」などを含む10種類で構成されています。
1年間の全ての所得から扶養控除などの所得控除を差し引いた残りに、税率を適用して計算したものが「所得税」となります。
復興特別所得税
東日本大震災からの復興のため、令和19年までは復興特別所得税を所得税とあわせて納めることとなっています。
毎月、所得税と一緒に給与から源泉徴収されています。
源泉所得税
みなさんの勤務先が、所得税や復興特別所得税を計算し、給与から引いて国に納付する制度を源泉徴収といいます。
源泉徴収という制度で納められた所得税が源泉所得税です。
所得税の税率
所得税の税率は、所得が増えれば増えるほど、つまり、年収が増えれば増えるほど高い税率が適用されます。
例えば、194万9千円までは5%ですが、それを超えた部分は10%となります。
ただし、超えた部分だけが10%になるので、課税所得が200万円だった場合、そのうちの194万円9千円に5%の税率が適用され、5万1千円に10%の税率が適用されます。
【所得税の税率表】
1,000円 ~1,949,000円 | 5% |
---|---|
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% |
40,000,000円 ~ | 45% |
年末調整
前述の通り、毎月の給与から源泉所得税が引かれています。
この時、みなさんの勤務先は少し多めに引いています。
そして、みなさんの1年分の給与や適用される控除がわかる年末に、所得税を計算し、多めに集めていた所得税を還付してくれるのが「年末調整」です。
場合によっては、還付ではない場合もあるかもしれませんが、そういうケースは少ないと思います。
確定申告
日本は、収入や経費を自分で計算して、確定申告書を提出して納税する申告納税制度です。
だから、基本的には確定申告が必要ですが、源泉徴収や年末調整のよって、ほどんどの方は確定申告が不要となっています。
副業をしているとか医療費がたくさんあるような場合は、勤務先が年末調整をしてくれていても確定申告が必要となります。
住民税
所得税と同じように所得にかかる税金ですが、所得税は国に、住民税は地方自治体に納めます。
住民税は都道府県民税と市区町村税で構成されています。
ぼくは渋谷区民なので、都民税と区民税を納めています。
税率は10%で、全国一律です。
まれに、「私の住んでいる区は住民税が高い」という話を聞きますが、社会保険料と混同しているのではないかと推察されます。
消費税
みなさんご存知の消費税は、消費に対して広く公平に負担を求める税金です。
物を買ったり、借りたり、サービスの提供を受けたりしてお金を払うとかかります。
ただし、みなさんは納めていません。
お店に払って、お店が国などに納めています。
みなさんは「負担」はしているけれど納めてはいない。
こういう税金を間接税と言います。
贈与税
贈与税は、個人からお金やモノをもらったときにかかる税金です。
会社などからお金やモノをもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
1月1日から12月31日までの1年間にもらったお金やモノの合計から基礎控除110万円を引いた残りに対してかかります。
よって、1年間にもらったお金やモノが110万円以下なら贈与税はかからず、申告は不要です。
相続税
亡くなった人から相続などによってお金やモノをもらった場合にかかる税金です。
生きているときは贈与税、亡くなったら相続税がかかると認識して良いと思います。
相続税がかかる財産から債務と葬式費用を引いた金額が、基礎控除を超える場合は相続税の申告が必要です。
基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算できます。
つまり、最低でも3,600万円の控除があって、法定相続人がひとり増えると控除も600万円増えます。
税金を勉強して自分を守ろう
社会人が知っておくべき税金や税金関連の用語を解説しました。
学んだことをご友人や家族とたのしく話していただくと、学びが深まって良いと思います。
お金のルールや用語がわかっていると、投資詐欺やマルチ商法、いかがわしいビジネスを行う人々に搾取されることもありません。
あなたの知識があなた自身を守ってくれますよ。