自己破産は、裁判所を通じて借金の支払いを免責してもらうことを指す言葉です。
自己破産のイメージ
ー裁判所を通じて債務の支払いを免責してもらいますー
なお裁判所が公表した「令和3年度 司法統計年報速報版」によると、2021年の自己破産件数は73,457件となっています。
自己破産件数 | |
---|---|
2020年 | 78,104件 |
2021年 | 73,457件 |
参照元:裁判所「令和3年度 司法統計年報速報版」
では、自己破産はどのような流れで進められるのでしょうか。
今回の記事では、「自己破産の手続きの流れ」「必要となる書類」「費用」について解説します。
この記事で分かること
- 自己破産の相談から手続き開始までの流れ
- 自己破産の手続きの流れ【処理方法別】
- 自己破産の手続きで必要な書類
- 自己破産の手続き中に受ける制限
- 金利(年率)
- 年4.5%~17.8%
- 融資スピード
- 最短3分融資! ※お申込み時間や審査によりご希望に添えない場合がございます。
- 審査スピード
- 最短3分! ※お申込み時間や審査によりご希望に添えない場合がございます
- 限度額
- 1万~500万円
- 無利息の期間
- 30日間利息0円!
- 郵送物の有無
- Web完結申し込みで無し! ※メールアドレス登録とWeb明細利用の登録が必要です。
- 企業名
- SMBCコンシューマーファイナンス
自己破産の相談から手続き開始までの流れ
自己破産には大きく分けて、「同時廃止事件」と「管財事件」の2つの処理方法があり、それぞれの費用や解決までの時間が異なります。
以下は、自己破産の相談から手続きが始まるまでの流れになります。
ただし、法的な手続きは国や地域によって異なるため、具体的な手続きや条件は所在地により異なる可能性があるので注意が必要です。
ここからは、上記5つの各ステップについて解説します。
1.債務相談
自己破産を検討する際、最初のステップは債務相談です。
専門の弁護士や債務整理のプロに相談することで、自身の財務状況を詳細に分析し、最適な解決策が見つかります。
これにより、個々の状況に応じた適切なアドバイスが得られます。
2.弁護士の選定
自己破産手続きは複雑で、法的な知識が必要です。
信頼できる弁護士の選定は極めて重要で、彼らは法的手続きのナビゲートや債権者との交渉など、プロセス全体をサポートします。
適切な弁護士の選択は、自己破産の成功に大きく影響します。
3.債務整理計画の検討
弁護士と協力し、個人の財務状況に基づいた債務整理計画を作成します。
これには、返済計画や交渉の戦略が含まれ、弁護士はこれらを債権者と協議し、最良の合意を目指します。
この計画は、債務者の将来的な財務安定性を確保する上で重要です。
4.自己破産申立て
債務整理計画が成立しない、または不適切であると判断した場合、弁護士は裁判所に自己破産の申立てを行います。
これは、借金の大幅な軽減または免除を求める法的な手続きです。
弁護士は、裁判所に提出する書類の準備とプロセスの管理を行います。
5.自己破産手続きの開始
裁判所が自己破産を受理すると、債務者は特定の財産を放棄し、債権者に対する債務を清算するための手続きに入ります。
この段階では、債務者の資産が評価され、債権者への配分が決定されます。
自己破産は、多額の借金からの解放を意味し、新たな経済的スタートを切る機会を提供します。
自己破産の手続きの流れ【処理方法別】
冒頭でも紹介したように、自己破産には、「同時廃止事件」と「管財事件」の2つの処理方法があり、各方法で手続きの流れが異なります。
ここからは、前述した1~5のステップを経た結果、どちらの処理方法が適用されるのかについて解説すると同時に手続き開始以降の流れについて解説します。
同時廃止事件の場合
同時廃止とは、破産手続きを始める(開始決定)と同時に、終了(廃止決定)させることです。
破産申立人に財産がなければ、基本的に破産手続きを簡略化した「同時廃止事件」という制度が採用されます。
具体的に破産者の資産が破産手続費用に満たないと判断された場合、「同時廃止事件」となります。
1.債務の免除
自己破産手続きが進行する中で、裁判所は債務者の債務の一部または全額免除の決定を下します。
この免除は、債務者が提出した申立書の内容や裁判官との面接結果に基づいて行われ、免責不許可となる事由がない場合、一定期間後に債務者は返済義務から解放されます。
これにより、債務者は経済的な負担から解放され、新たなスタートを切ることができるようになります。
2.再建の機会
自己破産手続きの完了と共に免責許可が確定すると、債務者には新たな生活を始める機会が与えられます。
この段階では、以前の債務による負担が大きく軽減され、個人の経済的再建に向けた道が開かれます。
免責の決定は、債務者にとって重要な転機となり、これを機に財政管理のスキルを学び、再び同じ状況に陥らないようにすることが重要です。
破産管財事件の場合
管財事件は、破産管財人が選任されて、破産人の財産などの調査・その後の配当などを行うもので、破産管財人への報酬を含めた破産手続費用が払えるとみなされたときに採用されるものです。
この手続きでは破産管財人が選任され、破産者の財産の調査、管理、およびその後の債権者への配当を行います。
ただし場合によっては、破産者の資産がないときでも「破産管財事件」扱いとなるケースもあります。
破産管財事件だと破産手続き開始後は以下の流れとなります。
1.破産管財人の選任
破産管財事件では、裁判所により破産管財人が選任されます。
破産管財人は、破産者の財産の調査と管理を行い、可能な限り資産を現金化する役割を果たします。
このプロセスは、債権者に公平な分配を保証するために重要です。
2.債権者集会の開催
破産管財人による財産調査の結果が報告された後、債権者集会が開催されます。
ここで、調査された財産が換金され、債権者に対して配当が行われます。
この集会は、債権者が自身の権利を行使し、破産プロセスに参加する機会を提供します。
3.裁判官との面接
破産手続き中、債務者は免責許可を得るために裁判官との面接を行う必要があります。
この面接は、債務者が免責不許可の条件を満たしていないことを確認するためのものであり、弁護士の同伴が可能です。
4.免責許可の決定
申立書の内容や裁判官面接、破産管財人の調査結果を基に、特に免責不許可となる事由がなければ、免責許可の決定がなされます。
これにより、債務者は過去の債務から解放され、経済的再建の道を歩むことができます。
5.再建の機会
自己破産手続きが終了し、免責許可が確定すると、債務者は新たな生活をスタートする機会を得ます。
この段階で、債務者は過去の負債から解放され、財政的な再スタートを切ることができます。
免責の決定は、個人の経済的再建にとって重要な一歩です。
自己破産の手続きで必要な書類
自己破産手続きを進める際には、いくつかの重要な書類が必要になります。
書類の概要 | 書類名 |
---|---|
自己破産を申し立てる書類 | 申立書 |
自己破産に至る経緯などを説明する書類 | 陳述書 |
住居に関する書類 | 賃貸借契約書・不動産登記簿謄本・住宅使用許可書 |
財産に関する書類 | 財産目録 |
収入に関する書類 | 給与明細書・源泉徴収票・課税証明書・年金などの受給証明書・確定申告書・同居人の給与明細書/源泉徴収票・退職金支給明細書・退職金規定 |
居住地や戸籍に関する書類 | 戸籍謄本・住民票 |
財産に関するもの | 不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書・課税台帳に記載がないことの証明書・ローン残高証明書・生命保険証書・車検証・車両の売却査定書・預金通帳・各種証書・証明書類 |
債務(借金)に関する書類 | 債権者一覧表・滞納公租公課一覧表 |
これには、「申立書」や自己破産に至る経緯を説明する「陳述書」が含まれます。
また、住居に関する書類として賃貸借契約書や不動産登記簿謄本、住宅使用許可書が求められます。
財産に関する書類では、財産目録や不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書、ローン残高証明書などが重要です。
収入証明としては給与明細書や源泉徴収票、課税証明書が必要で、債務に関しては債権者一覧表や滞納公租公課一覧表が求められます。
書類の正確性が免責の可否に影響するため、弁護士に依頼し、適切な書類の準備を行うことが重要です。
自己破産にかかる費用
自己破産においては、手続きの種類により費用が大きく異なります。
主な費用には、申立手数料、予納金、予納郵券代、弁護士費用があります。
以下は、自己破産の処理別でかかる費用です。
自己破産の処理方法 | 同時廃止 | 少額管財 | 管財事件 |
---|---|---|---|
申立手数料 | 1,500円 | 1,500円 | 1,500円 |
予納金 | 1~3万円 | 20万円~ | 50万円~ |
予納郵券代 | 3,000円~15,000円 | 3,000円~15,000円 | 3,000円~15,000円 |
弁護士費用 | 30万円~ | 50万円~ | 80万円~ |
合計 | 約32万円~ | 約70万円~ | 約130万円~ |
多くの場合、自己破産を選択する人々は同時廃止のケースに該当することが多く、この場合、必要な費用は主に弁護士費用となります。
この弁護士費用も、事務所によっては分割払いに対応しているため、財政的に厳しい状況にある人々でもアクセス可能です。
また、近年では自己破産に関する無料相談を提供する法律事務所が増加しており、費用面での不安を持つ人々にとっては一定の救済となっています。
こうした無料相談を利用することで、自己破産の手続きや必要な費用について正確な情報を得ることができ、適切な判断を下すためのサポートが受けられます。
自己破産は経済的な再出発を目指す重要な手段であるため、必要な費用の捻出や手続きの方法に関する正しい理解が重要となります。
自己破産の手続き中に受ける制限
自己破産手続き中は、日常生活においていくつかの制限が課されます。
これらは、手続きの安全と適正な進行を確保するためのものです。
引っ越しや旅行の制限
自己破産手続き中に引っ越しや旅行を計画する場合、裁判所の許可が必要になります。
この制限は、破産者の財産状況や手続きの進行に影響を与えないようにするためです。
特に、破産管財人が選任されている場合、郵便物の転送とチェックが行われることがあります。
資格取得における制限
破産手続き中は、一定の職業や資格に従事することが制限されます。
これには証券会社外務員、旅行業者、商品取引所会員、宅建業者、建設業者、生命保険募集人、警備業者、風俗営業、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士などが含まれます。
これらの制限は、手続き期間中のみ適用され、免責許可後は解除されます。
ブラックリストへの登録
自己破産を行うと、いわゆるブラックリストに事故情報が登録されます。
これにより、5~7年間はクレジットカードの使用や新たな借入れが制限されることになります。
ただし、一般的な誤解として、「選挙権の喪失」や「年金が受け取れなくなる」といった事はありません。
ブラックリストの記録は時間が経過すれば自動的に抹消され、経済活動における信用情報が正常化します。
これらの制限は、手続き期間中のみ適用される一時的なものであり、免責が許可されると多くは解除されます。
しかし、ブラックリストに関しては一定期間記録が残るため、自己破産の影響を十分理解し、慎重に手続きを進めることが重要です。
自己破産の手続きに関する質問
ここでは、自己破産の手続きに関する疑問を解説して行きます。
自己破産の手続きにかかる期間はどれくらい?
自己破産の手続きにかかる期間は、選択する方法によって異なります。
同時廃止の場合、手続き期間はおおよそ2〜3ヶ月程度ですが、管財事件では6ヶ月から1年程度が目安となります。
加えて、弁護士に委任した場合の書類準備の期間も別途必要になることがあります。
自己破産の手続きに弁護士や司法書士は必要?
自己破産手続きでは、弁護士、司法書士、行政書士が関与することができますが、それぞれの役割には違いがあります。
弁護士は手続き全般をサポートし、裁判所への同行も可能です。
司法書士は書類の準備や債権者との窓口業務は可能ですが、裁判所での代理申立はできません。
行政書士は主に書類作成のみを担当し、自己破産事件における代理人としての機能は限定的です。
自己破産の手続きは複雑であるため、専門家に依頼することでスムーズに進められる場合が多いです。
自己破産の手続きは個人と法人で異なる?
自己破産の手続きは、個人と法人では異なります。
法人の自己破産では、事業用資産の処分や従業員の退職金などの処置が必要になることがあります。
法人の破産事件は必ず管財事件として扱われ、手続きにはより大きな予納金が必要です。
また、会社の定款や取締役会議事録など、個人の自己破産では必要のない特有の書類が求められることが一般的です。
法人の自己破産は、その複雑性から専門家の支援を得ることがほぼ必須と言えます。
自己破産は生活を立て直すために必要かつ効果的な手段
自己破産は、負債に苦しむ人々にとって、生活を立て直すための必要かつ効果的な手段です。
この法的プロセスにより、個人は圧倒的な借金から解放され、新しい経済的出発を切る機会を得ます。
しかし、自己破産には財産の処分や一定の制限が伴うため、その決定は慎重に行う必要があります。
最終的に、自己破産は個人が財政的再建の道を歩む上で、重要な役割を果たすことができます。