100円玉を知らないイマドキの子供たち?おこづかいは、いつから・いくら・どんなふうに始める?

こどものおこづかいは いつ・いくら・どんなふうにはじめる?

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お金コラム

最近、お金のこと、子供たちに教えたほうがよいと考えていらっしゃる方が増えてきました。

特に近年では金融庁主導で学校教育にもお金の話題が導入されてきており、金融教育の高まりを感じます。

そこで、今の子供たちを取り巻く環境、そして、金融教育の絶好の教材、小学生のおこづかいの渡し方をご紹介します。

C この記事を書いた人  八木陽子(やぎ・ようこ)
キッズ・マネー・ステーション代表/イー・カンパニー代表取締役/ファイナンシャルプランナー
2005年からお金教育・キャリア教育を普及する「キッズ・マネー・ステーション」を運営し、現在、全国で約300名の講師たちとともに、小・中・高等学校にて授業や講演を多数行っている。
文部科学省検定の2017年度4月から使用される高等学校家庭科の教科書(東京書籍株式会社発行)にて日本のファイナンシャルプランナーとして紹介される。
監修書籍に「おさいふのかみさま」(フレーベル館)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など多数。

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コロナ時代に変化した子供たちのお金事情

コロナ禍において、急速にキャッシュレス化が進みました。

そして、その影響は子供たちのお金にも影響しています。

以前、親子向けオンライン講座で、ある保護者の方に言われました。

「うちの子は、お金のことに本当に疎いです。
お金の大切さや、価値が分かっていないのはもちろん、お金の種類も分かっていない。

私自身、ほとんどキャッシュレスで払っているので、現金を使わないんです」

つまり、子供たちが、10円玉や100円玉の現金をあまり目にすることがない日常で、お金の存在そのものが希薄になっているとのこと。

今までも、東京や大阪の都市部の子供たちは、小学校に上がるタイミングで、キャッシュレス決済の一種である交通系電子マネーは持っていましたが、並行して、日常生活の中で、大人も子供も、現金を使っていました。

ところが、コロナ禍における巣ごもり生活がきっかけで、キャッシュレス決済の割合が大きく増加、現金払いをほとんどしないライフスタイルのご家庭が増えています。

そしてそれが、100円玉を見たことがない子供たちが登場するきっかけになっているのでしょう。

さて、そんな中で、2021年5月現在、私の主宰するキッズ・マネー・ステーションの講座では、小学生のおこづかいは、「現金で渡すこと」をすすめています。

ひょっとすると、これから数年、さらにキャッシュレス化が進めば、今の小学生たちが、現金でおこづかいをもらう最後の世代になるかもしれません。

そのぐらい、都市部では、子供たちのキャッシュレス化が進んでいます。

今でも、○○ペイで、おこづかいや必要なお金を子供に送金していると聞くことは珍しくありません。

今なぜ、現金のおこづかい制にするか。

なぜ、キャッシュレスに移行する時代なのに、子供には現金のおこづかいをすすめるのかと疑問を持たれた方がいるでしょう。

一言で言ってしまえば、現金のほうが、子供たちがお金の価値や重みを実感しやすいから。

どんどんお金がデータ化されている中、10円玉が10個たまって、100円になる。

これを、シンプルに即座に理解し、重みを体感できる貴重な機会が、現金のおこづかいです。

キッズ・マネー・ステーションの講座では、1円玉1000個を持ってもらうことがあります。

1円玉1000個は、1キログラムあります。

ずっしりと重たい1000円です。

普段は、現金の1000円の場合でも、お札だったり、500円玉2個だったりするのではないでしょうか。

一生懸命働いて稼いだ、大切なお金であることには変わりない

でも1000円でも1円でも、どんなお金でも、おうちの人が一生懸命働いた大切なお金に代わりがありません。

その大切さとお金の重みを実体験してもらうために、あえて1円玉1000個を持ってもらっています。

「1000円ってありがたいね、重たいね」と子供たちは口々に言います。

この重さを覚えておいて、おこづかいもらったときも大切にしてねと伝えています。

いずれ将来、子供たちは、お金の管理をデータですることになり、その方法も学ばなくてはなりません。

でも、現金からキャッシュレスへ過度期の今、小学生の子供たちは、ずっしりと重みを感じやすい、現金のおこづかいからスタートするところから始めてみませんか。

おこづかいの渡し方3つの方法

次に、具体的なおこづかいの渡し方をお伝えしましょう。

始める時期は、子ども自身が買いたいものが出てきているか、「お金は物を買うために交換する」など最低限のお金の役割が理解できているかどうかが目安になります。

金融広報中央委員会の調査によると、小学生のおこづかい金額は、月500円~1000円が多い金額のようですが、平均額にとらわれることはありません。

「おこづかいで何を払わなくてはいけないか」の大前提を決めるのが金額を決定する大切な要素だと思います。

今まで親が支払っていたものをそのまま支払い、さらに子どもにおこづかいをあげる……これでは、おこづかいは、ただの余剰資金でしかありません。

おこづかいを通してお金の管理術を学ぶ

おこづかいで身につけたいことの一つが、お金の管理術です。

必要なものを購入し、残ったお金で欲しいものを買う。

そのためには、おこづかいで支払うべき“必要なもの”は何にするかを決めることが重要なのです。

たとえば、文房具、本、雑誌、お菓子、習い事に関係するもの、携帯電話、ノート、交際費…など。

何を担当するかによって、自ずと、おこづかいの金額が適正なのか否かが決まってきます。

こどもへのおこづかいの渡し方

おこづかいの渡し方には3つの方法があります。

Point
  1. 定額制…毎月、毎週、毎日など決まった期間に、決まった金額を渡すもの。
  2. 報酬制…お手伝いなど働いた分に応じて、おこづかいを渡すもの。
  3. 上記を組み合わせたミックス制

報酬制に抵抗がある保護者の方もいらっしゃいますが、報酬制は、お手伝いをしなければおこづかいがもらえないので、「お金は労働の対価」という概念が伝わり、お金を稼ぐ大変さを実感できる方法です。

しかしながら、短所としては、何にでも対価を求めたり、おこづかいがもらえないとお手伝いをやりたがらないことにつながる傾向があります。

これを克服するためには「家族の一員として、家のことをするのは当たり前」という考えを伝えた上で、報酬制を導入するとよいでしょう。

定額制、報酬制、ミックス制にはそれぞれ短所と長所がありますので、ご家庭の方針やお子さんの性格を考えて決めればよいと思います。

おこづかい管理はどうする?

おこづかい制を始めて、おこづかい帳をつけられるにこしたことはないのですが、もしつけられなくても、管理することは続けてほしいと思います。

その一つの方法が、「仕分けする方法」です。

これは、ジャムビン、貯金箱、お財布、またはアクセサリー入れのような「しわけ箱」でもよいと思います。

どんなふうに分けるかというと、下記のように3つの方法に分けることが大切。

Point
  • 「自分のために使うお金」
  • 「人のために使うお金」
  • 「いざというときのお金や貯金」

「自分のために使うお金」は、おこづかいの中から、自分が日常で支払うもののお金、「人のために使うお金」は、身近な人へのプレゼント、または、ユニセフなどの寄付など。

そして、3つめが、「いざというときのお金や貯金」。

これは、何か高価なもの…たとえば自転車だったり、ゲームのソフトなど何かを買うための貯金です。

また、子供の不注意で何かをなくしてしまったときなどハプニングのためにも使うお金です。

このように仕分けをしていると、「自分のために使うお金」がなくなったときに、「人のために使うお金」を使うのは子どもなりに良心の呵責があります。

また、「人のために使うお金」を持つことで、自然と、人や社会のためにお金を使う習慣が生まれてきます。

おこづかいでいちばん大切なこと・・・それは○○!

いざおこづかい制を導入してみると、我が子のお金の使い方があれこれと気になってきます。

「なんでこんなくだらないもの買うの?」「ひたすらお金を貯めることに喜びを感じていて心配」といったように、子どもがお金を使っても貯めても、保護者は気になりますよね。

ただ大人でも、お金をスマートに使うのは難しいです。

さほど欲しくもないのに、衝動買いをしてしまったり、かと思えば、節約のしすぎで疲れている大人もいます。

子供たちも、すっからかんに使ってしまって、貯める重要性を初めて実感したり、ケチケチしすぎは楽しくない生活になることを実感したり……いろんな失敗をしながらも、大人になるまでに金銭感覚を身につけられたらと思っています。

つまり、おこづかいでいちばん大切なことは、たくさん「失敗」をすることです。

失敗は成功のもと、という言葉があります。

たくさんの失敗を積み重ねて、大人になるまでに上手にお金とつきあうことができるとよいでしょう。