マル経融資とは?基本条件やメリット・デメリットを解説

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事業資金

起業して立ち上げた会社の経営がなかなか安定しない!

もう少し設備投資できれば経営を軌道に乗せられそうだけど、担保や保証人の当てもないので銀行からの融資も難しい…。

このように経営資金の調達に頭を悩ませている経営者の皆さん、マル経融資をご存知ですか?

マル経融資を利用すれば通常よりも安い金利で融資を受けられます。

今回は、マル経融資を利用できる条件やメリット・デメリット、そして審査の流れなど、重要な部分をギュッとまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

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マル経融資とは?~小規模事業者が安心して融資を受けられる融資制度

マル経融資っていったいどんな融資なの?という人も多いと思います。

マル経融資とは、小規模事業者が有利な条件でお金を借りられるよう、商工会議所や商工会があっせんしてくれる融資です。

というよりも、商工会議所や商工会を通さないと借りられない特殊な融資だと説明する方が分かりやすいでしょう。

商工会議所や商工会などの経営指導を一定期間受けることで、経営に必要な資金を日本政策金融公庫から通常よりも低い金利でお金を借りられるのです。

資金の調達に頭を悩ませることが多い小規模事業者にとって、マル経融資は非常に心強い制度だといえるでしょう。

そんなマル経融資、正式名称を「小規模事業者経営改善資金」といいます。

資金力に乏しい小規模事業者を応援するための制度として、ぜひ覚えておきたいです。

マル経融資にはどのようなメリットがある?

マル経融資にはどのようなメリットがあるのか、さっそく見ていきましょう。

無担保・無保証人で融資を受けられる

民間の金融機関などで融資を受ける場合には、担保や保証人が必要になるケースが多いです。

ところがマル経融資なら、担保や保証人がなくても最大で2,000万円まで借入ができます。

経営状態を改善するためにお金を借りたいけれども、担保も保証人もなくて悩んでいる事業者は多いですから、最大2,000万円ものまとまった金額を無担保・無保証人で借りられるメリットはかなり大きいですよね。

もちろん、信用保証協会保証などの保証や代表者の保証も必要ありません。

金利が非常に低い

同じく、無担保無保証人のビジネスローンなどと比べて、マル経融資は金利が非常に低いです。

一般的なビジネスローンでの借り入れは、カードローンの金利とほとんど変わらないため(10%~15%程度)、金利の負担が大きいというデメリットがあります。

マル経融資の場合、日本政策金融公庫の普通貸付の金利よりも更に低金利の1%前後の金利で資金を借りられますから、その差は歴然ですよね。

マル経融資の金利はその時々によって変わり、2019年7月現在の金利は1.21%と非常に低く設定されています。

自治体の制度資金の金利でも1%台の半ばから2%台の半ばというケースが多いなか、それよりもさらに低い金利で融資を受けられるのですから、マル経融資がいかにお得な融資制度であるかが分かるでしょう。

せっかく融資を受けられても、金利が高いと経営にも影響が出てしまう可能性がありますが、マル経融資なら最小限の負担で済みますので経営を圧迫する心配もありません。

マル経融資にはデメリットはないの?

マル経融資は、担保や保証人が不要なうえ低金利で融資を受けられるなど、メリットしかないように感じます。

そんなマル経融資にデメリットはないのでしょうか?

融資実行までに時間がかかる

マル経融資は、融資の実行までにかなり時間がかかります。

日本政策金融公庫の審査に1ヶ月~2ヶ月程度かかるのもそうですが、マル経融資では審査に申し込むまでに、原則として商工会議所又は商工会の指導を6ヶ月以上受けなければなりません。

マル経融資なら金利が低いから…と、急に思い立って利用できる融資制度ではありませんので注意が必要です。

このように、マル経融資では融資の実行までに長い時間を要するので、資金繰りに苦慮している事業者だと融資まで持ちこたえられないこともあります。

創業から1年以内の事業者は融資を受けられない

マル経融資の審査に申し込みする際には、直近2期分の決算書や確定申告書が必要です。

しかし、創業して1年以上経過していない場合には、それらの書類を準備できません。

つまり、創業して1年未満の事業者はマル経融資を利用できないということですので注意してください。

また、マル経融資は開業資金としては利用できません。

創業時に低い金利で資金を借りたい場合は、同じ日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金制度」を利用するのがよいでしょう。

どんな人がマル経融資を利用できる?

マル経融資はどのような事業者でも利用できるのでしょうか?

マル経融資の利用条件について調べてみました。

従業員が20人以下である

マル経融資は規模の小さい企業や事業者のための制度なので、従業員が20人以下の小規模事業者でないと利用できないことになっています。

また、商業・サービス業の場合は従業員が5人以下でないとマル経融資を利用できません。

直近1年以上同一会議所の地区内で事業を営んでいる

商工会議所や商工会は地域の活性化を目指す経済団体で、経営に関する相談や会員に対する福利厚生支援などを行っています。

また、融資を希望する地域の中小企業があれば、融資を受ける際の条件を有利にしてくれるサービスなども提供しています。

マル経融資へのあっせんもその一環として行われているものです。

ただし、商工会議所や商工会は地域の中小企業のための組織ですから、地区内で相当期間以上事業を営んでいる地域に根差した事業者でなければ推薦してもらえません。

といっても、マル経融資にあっせんしてもらうために必要な営業年数はわずか1年ですから、ハードルはそれほど高いわけではありません。

商工業者で日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいる

ほとんどの業種が日本政策金融公庫の融資対象となっていますが、次の業種を営む人はマル経融資を利用できませんので注意してください。

業種 備考
金融・保険業
  • 銀行業
  • 協同組織金融業
  • 賃金業
  • クレジットカード業など非預金信用機関
  • 金融商品取引業
  • 損害保険料
  • 共済事業
  • 少額短期保険業
  • 補助的金融業
風俗業 ソープランド業
娯楽業
  • 競輪・競馬などの競争上や競技団
  • パチンコホール
  • ビンゴゲーム場
  • 射的城
  • 芸妓場
  • 場外馬券売場
  • 場外車券売場
サービス業
  • 取立業
  • 集金業(公共料金に関するものは除く)
社会保険・社会福祉・介護事業
  • 社会保険事業団体
  • 福祉事務所
  • 更生保護事業
郵便業
  • 郵便局委託業
  • 信書便業を除く

また、マル経融資の融資対象は商工業者なので、下記を営んでいる人も、マル経融資を利用できません。

  • 農業
  • 林業
  • 漁業

農林水産事業に関しては、別途事業資金制度が設けられていますのでそちらを利用してください。

商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいる

マル経融資の審査を受けるには、商工会議所の推薦が必要です。

そのためには原則として6か月以上の経営指導を受け、経営改善に真摯に取り組んで返済にも問題がないと商工会議所の指導員に判断してもらわなければなりません。

6ヶ月以上の経営指導というとかなりハードルが高そうに感じますが、実際の経営指導は、2ヶ月に1回程度の訪問の際に何か困っていることがないか尋ねられる程度です。

経営に関して厳しい指導を受けるといったたぐいのものではありませんので、心配しなくても大丈夫です。

実は、商工会議所や商工会による6ヶ月間の指導期間というのは、下記のような小規模事業者が、初めてマル経融資を利用することを想定した期間です。

  • これまで商工会議所の会員ではなかった
  • 商工会議所の会員になったばかり

ですから、

  • これまでにすでに経営指導を受けたことがある
  • 経営指導を受けるほどでもない

という場合は、指導案が短縮されるケースもあります。

各種税金を完納している

納期が過ぎている税金の未納があると、マル経融資を斡旋してもらえません。

マル経融資は公的な融資制度ですから、納税の義務を果たしていない事業者は信用してもらえないのですね。

  • 所得税
  • 法人税
  • 事業税
  • 住民税

など、未納の税金がある場合は、先に税金の支払いをしてからマル経融資に申し込みをしましょう。

マル経融資の貸付条件

マル経融資の貸付条件をまとめてみました。

マル経融資の基本情報

融資限度額 2000万円
金利 1.21%(2019年7月現在)
返済期間 運転資金…7年以内(据置期間1年以内)  設備資金…10年以内(据置期間2年以内)
資金使途 運転資金  設備資金
担保・保証人 不要(保証協会の保証も不要)

低金利で資金使途が幅広い

先にも触れていますが、マル経融資の融資限度額は最大2,000万円です。

無担保無保証の融資としてはかなり金額が大きく、条件のよい融資だといえるでしょう。

また、資金使途が幅広いこともマル経融資の特徴です。

運転資金設備・設備資金のいずれにも充てることができるので、資金調達に困っている事業主にとっては非常に使い勝手のよい融資制度だといえます。

さらに、普通に日本政策金融公庫で借り入れをする場合よりも低金利で借りられるとなれば、利用しない手はありません。

知っておきたい!マル経融資の支援

マル経融資は小規模事業者のバックアップを目的としているので、返済時に据置期間を設定できるようになっています。

据置期間とは、返済開始から一定の期間は元本の返済はそのままにしておいて、利息だけ返済してくれればいいですよという期間を指します。

資金を借りてしばらくの間は経営状態が安定しないことも多いため、できるだけ事業者の返済負担を小さく抑えられるようにと配慮されているのです。

ただし、据置期間は自動的に設定されるものではありませんので、注意しなければなりません。

据置期間の設定を希望する場合は、マル経融資の申し込み時に忘れず申請してください。

また下記などの災害被害を受けた事業者には、融資限度額や金利で優遇があります。

  • 東日本大震災
  • 熊本地震
  • 2018年7月豪雨関連

更に、地域によってはマル経融資の利子を補給してくれる制度が設けられている場合もあります。

マル経融資に申し込みをする際には、自分がどのような条件に該当しているかよく確認しておきましょう。

マル経融資を受けるまでの流れについて

マル経融資申し込み前の準備~融資を受けるまでの流れについて解説します。

商工会に加入する

マル経融資の融資元は日本政策金融公庫ですが、申し込みの窓口は商工会議所や商工会です。

マル経融資を利用したい場合は、まず地元の商工会議所・商工会に入会しましょう。

商工会に入会するには、入会金と年会費が必要です。

入会金や年会費の金額は各商工会によって異なりますが、事業所の規模に応じて会費が設定されているケースが多いようです。

入会金は3,000円程度、また、マル経融資を利用できる程度の規模の事業所の場合だと年会費は15,000円程度というのが平均的な金額となっています。

商工会に融資の相談をする

自分が加入している商工会議所に、マル経融資の申し込みについて相談しましょう。

マル経融資への申し込みを相談すると、商工会議所の経営・金融指導を受ける運びとなります。

経営に関して相談したいことがある場合は、この機会にと指いろいろと指導してもらうといいでしょう。

また、商工会議所の経営指導を受ける際に必要な書類等も、できるだけ早い段階で準備しておくようにしましょう。

個人事業主 法人
  • 直近2年分の青色(白色)
  • 決算書及び確定申告書の控え
  • 税金の領収書または納税証明書(オンライン請求も可能)
  • 見積書・カタログ等(設備資金を申し込む場合)
  • 直近2年分の青色(白色)決算書及び確定申告書の控え
  • 決算6か月以上経過の場合は最近の試算表
  • 税金の領収書または納税証明書(国税の納税証明書はオンライン請求可)
  • 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 見積書・カタログ等(設備資金を申し込む場合)

商工会から推薦してもらう

マル経融資の審査は、金融機関の審査と比べて難易度は低めだといわれています。

実際、商工会からの推薦を取り付けられれば融資のハードルはうんと低くなります。

商工会議所内にある金融審査会による審査の際には、経営指導員が作成する推薦状が必要です。

こころよく推薦状を作成してもらえるよう、普段から経営相談や地域の活動などを通じて経営指導員と良好な関係を築き上げておくことも非常に重要です。

日本政策金融公庫の審査を受ける

日本政策金融公庫の審査の際には以下の書類が必要です。

  • 企業概要書
  • 事業計画書
  • 創業計画書

また、その他にも以下の書類を求められる場合があります。

  • 源泉徴収票
  • 給与明細書
  • 売上帳
  • 手形帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 総勘定元帳

提出書類は多岐に渡りますので、提出が予想される書類については早いうちに準備しておくようにしましょう。

マル経融資の申込基準を満たしていてもこんな場合は審査落ち?

  • 自己破産をした経験がある
  • 消費者金融から借入をしている

という場合には、マル経融資の審査に影響を及ぶ可能性があると考えておいてください。

まず、自己破産から。

自己破産をした経験があるからといって即審査落ちしてしまうというようなことはありません。

マル経融資の審査は現在の事業に対して行われるものであって、過去の自己破産の履歴を問うものではないからです。

ただし、過去に日本政策金融公庫から借入をしていて、自己破産した結果その借入が免責になったことがあるのなら、話は別です。

そうした状況があれば、マル経融資の審査に通過はできないでしょう。

借金を返さないまま免除してもらっておいて、また借入をしようというのは許されないということです。

一方、現在消費者金融からの借り入れがある場合は、即審査落ちしてしまうでしょう。

わざわざ金利の高い消費者金融からお金を借りているのは、実は生活するお金に困っているのではないかと判断されてしまうのです。

過去に消費者金融から借り入れをした経験がある場合も、マル経融資の審査に大きく影響しますので注意してください。

おわりに

マル経融資は小規模事業者のための融資制度です。

マル経融資の審査を受けるには商工会議所八商工会の経営指導を6ヶ月以上受ける必要がありますが、それだけの時間と手間をかけても利用するだけの価値がある融資制度であることは間違いありません。

商工会議所・商工会の推薦さえもらえればマル経融資の審査のハードルはかなり低くなります。

低金利のうえ担保や保証人も不要な融資ですから、ぜひ活用してください。

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