消費者金融でカードローンを利用する際は、年収の3分の1までしか借入ができないと貸金業法の「総量規制」によって定められています。(下記参照)
過度な借入れから消費者の皆さまを守るために、年収などを基準に、その3分の1を超える貸付けが原則禁止されています(総量規制)。例えば、年収300万円の方が貸金業者から借入れできる合計額は、最大で100万円となります。
しかしこの総量規制も必ずしも発生するというわけではなく、「総量規制の対象外」のローンも存在します。
そこで今回は「総量規制対象外」のローンを紹介します。
銀行カードローンは総量規制の対象外
銀行カードローンでは、総量規制が適用されません。
そのため、借入額に上限が無く、年収の1/3を超える金額でも融資を受けられます。
総量規制は貸金業法という法律の中の規制であり、貸金業者はこの法律のもと運営を行っています。
この貸金業法が適用されるのはサラ金と呼ばれる消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどです。
一方、今回の主テーマとなる銀行カードローンは、貸金業法では無く『銀行法』という決まりのもと、運営を行っています。
銀行法では借入額の上限が無く、大口の借り入れを想定したローンとなっているので、サラ金のように上限が定められていないのです。
総量規制については下記の記事でも詳しく解説しているので、併せてご確認ください。
貸金業者と銀行の違い
総量規制の対象となるのは貸金業者です。銀行のカードローンが総量規制の対象外となるのは、貸金業者ではないことが理由として挙げられます。
銀行は金融機関であり、貸し付けによって発生する利息を目的とした事業者ではありません。
また、銀行で借りる場合、貸付残高には含まれないため総量規制の壁に当たることなくお金を借りられます。
基本的に貸金業者と銀行の違いは「貸付による利益を目的としているか」がポイントです。
ただし、消費者金融でもおまとめローンは総量規制の対象外となります。
おまとめローンは、複数の借入先を1つにまとめて、金利を低く・返済管理を楽にするローンです。
借りる側を助けるための商品だからこそ、総量規制の対象外となるのです。
住宅ローンやマイカーローンも対象外
総量規制の対象外となるものは他にもあります。
自動車ローンにマイカーローン、不動産を担保にした借り入れも総量規制の対象外です。
とはいえ、融資審査は厳しく判断されるため、年収の1/3以上をすでに借りている場合は審査通過は難しいでしょう。
また、クレジットカードのキャッシング枠は総量規制の対象ですが、ショッピング枠は対象外です。
同じカードでも利用枠によって異なる場合があります。
総量規制を超えて借りている人は多い
日本信用情報機構(JICC)のデータによると、総量規制を超えて借りている人は多数いることがわかります。
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | |
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除外貸付登録件数 | 324,787件 | 327,057件 | 330,846件 | 335,011件 |
例外貸付登録件数 | 437,146件 | 437,264件 | 437,366件 | 437,707件 |
うち個人顧客が既債務を返済するための貸付 | 36,339件 | 36,137件 | 35,901件 | 35,763件 |
参考:JICC「登録の状況」
除外貸付とはいわゆる自動車ローンや住宅ローンのことを指します。
一方、例外貸付はおまとめローンや個人事業主の貸し付けのことです。
なかでも「うち個人顧客が既債務を返済するための貸付」つまりおまとめローンは、毎月3万件以上の利用があるのです。
総量規制を超えて借入する人は、それなりにいることがわかりますね。
総量規制とは
総量規制とは、貸金業法で定められている借り入れ金額に関する規制事項のことです。
具体的な規制内容や、施行された目的を解説します。
総量規制の概要と施行日
総量規制は、2006年12月に公布され、2010年6月に施行された貸金業法の改正点として加えられました。
(1)総量規制ー借り過ぎ・貸し過ぎの防止
・借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借入れができなくなります。
・借入れの際に、基本的に「年収を証明する書類」が必要となります。
引用:貸金業法のキホン|金融庁
具体的には、年収300万円の人は100万円、年収600万円の人は200万円まで、と借入れ金額に上限の目安を設けたものです。
また、貸付業者は申込者に対して、審査段階で年収を証明する書類の提出を求めるように定めています。
借り過ぎから消費者を守るための規制制度
総量規制は、過剰な貸付けによる多重債務から消費者を守るために制定された制度です。
返済能力を超える借入れで、多重債務(複数の事業者からお金を借りている状態)に陥るのを防ぐ狙いがあります。
総量規制により、融資の申し込みを受けた事業者には、申込者の借入れ情報を信用情報機関に問い合わせることが義務付けられました。
総量規制が適用されるのは「貸金業者」のみ
総量規制が適用されるのは「貸金業者」です。貸金業者の例として、アコムやアイフルなどの消費者金融が挙げられます。
また、クレジットカードのキャッシングなども総量規制の対象です。
クレジットカードのキャッシング金額が総量規制に達している場合、新たに消費者金融からの借入れを申し込んでも審査で落とされることになります。
総量規制が無いからといくらでも借り入れできるわけではない
銀行カードローンは総量規制の対象外ではありますが、いくらでも借りることができるというわけではありません。
そもそも銀行カードローンにも審査がありますし、きちんと返済していく能力がないと判断されれば審査に通過できないのです。
消費者金融の総量規制も利用者が借りすぎないように、年収の1/3までと制限をかけています。
総量規制よりも低い融資金額になることもある
銀行カードローンも公表はしてないものの、融資額を年収の1/2~1/3までに抑えるようにしてるところもあります。
総量規制の金額は、あくまで目安です。
「この金額まで借りられる」という上限値ではないことに注意しましょう。
総量規制対象外の銀行カードローン3選
総量規制対象外の銀行カードローンを3選紹介します。
楽天銀行カードローン
楽天銀行カードローン基本情報
金利
1.9%~14.5%
審査時間
最短即日
融資時間
最短即日
無利息期間
なし
限度額
10万円~800万円
楽天銀行カードローン「スーパーローン」の概要 | |
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金利 | 1.9%~14.5% |
借り入れ限度額 | 800万円 |
審査時間 | 最短翌営業日 |
融資時間 | 最短翌営業日 |
楽天銀行カードローンの特徴は、利用金額に応じて楽天ポイントが付与される点です。
楽天ポイントのランクに応じて審査が優遇される場合があるため、楽天ユーザーなら楽天カードローンの利用がおすすめです。
即日融資には対応していないものの、最短翌日(翌営業日)に融資が受けられます。
みずほ銀行カードローン
みずほ銀行カードローン基本情報 | |
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金利 | 2.0%~14.0% |
審査時間 | 最短即日 |
融資時間 | 最短翌営業日 |
無利息期間 | なし |
限度額 | 10万円~800万円 |
みずほ銀行カードローン概要 | |
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商品名 | みずほ銀行カードローン |
利用限度額 | 1000円~800万円(専業主婦は50万円まで) |
金利 | 2.0%~14.0% |
担保・保証人 | 不要 |
遅延損害金 | 19.90% |
みずほ銀行カードローンは、口座や住宅ローンなどで、すでにみずほを利用していると審査で有利になることがあります。
即日融資には対応していませんが、24時間来店不要で申し込みが可能です。
- キャッシュカード兼用型
- カードローン専用型
上記2種類のカードがあります。
キャッシュカード兼用型を選べば、みずほ銀行の普通預金口座を利用して借入や返済が行える点が特徴です。
横浜銀行カードローン
横浜銀行カードローン基本情報 | |
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金利 | 1.5%〜14.6% |
審査時間 | 最短即日 |
融資時間 | 最短即日 |
無利息期間 | なし |
限度額 | 10万円~1000万円 |
横浜銀行カードローン概要 | |
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商品名 | 横浜銀行カードローン |
利用限度額 | 10万円~1000万円 |
金利 | 1.5%〜14.6% |
担保・保証人 | 不要 |
横浜銀行カードローンの特徴は、利用限度額が高いこと、専業主婦でも申し込めることです。
24時間受付けているWeb申し込みなら、最短即日審査にも対応しています。
月々の返済金額も2,000円からとなっており、少ない負担で少しずつ返済したい方にもおすすめです。
総量規制が無くても審査は厳しい?原因と注意点
総量規制が無いのであれば、審査も通りやすいように感じます。
しかし、銀行カードローンは利用額が高額になることが多く、消費者金融などに比べて審査は厳しくなる傾向です。
銀行側からすれば、融資した分は確実に回収したいと考えているでしょう。大口となると、貸し倒れを懸念して審査も慎重になります。
また、総量規制が行われている大手消費者金融などは、即日融資などにも対応しており、申し込みから借り入れまでの時間が短いことが特徴です。
しかし、銀行カードローンでは即日融資についての自主規制を行っているため、今日お金を借りたいと思っても即日融資を受けることはできません。
自主規制につながった銀行カードローンの融資問題
銀行カードローンの審査が厳しい理由は、大口のローンを想定していることだけではありません。
これまで長年にわたり、貸付残高は銀行よりも消費者金融の方が上回っていました。
しかし、2016年に逆転したことをきっかけに、即日融資などへの自主規制を行う方向へ舵を切っています。
また、NHKでもニュースに取り上げられた「自己破産者数の増加傾向」も問題となりました。
そのほか、某メガバンクが反社会的勢力への貸付を行ったことが週刊誌により発覚するなど、さまざまな問題が重なったことが、銀行カードローンの審査が厳しくなった背景です。
日本弁護士協会から自主規制の要請があったり、メガバンクでも積極的に融資の自主規制を行ったことから、現行の審査体制へと変化しました。
現在は、消費者金融よりも審査を厳格にするのと同時に、審査時に警視庁へのデータベース照会を行っています。
これは、消費者の返済能力に見合う貸付額の調整や、反社会的勢力への融資を行わないように確認するためのステップです。
即日融資を自主規制するのには、データベースの照合に時間がかかることから即日融資が難しくなった経緯もあります。
総量規制を超えて借りる場合の注意点
総量規制を超えて借り入れをする場合、安定した収入と返済能力の高さが必要です。
つまり、厳しい審査に通過するだけの収入や、返済能力の証明が求められることになります。
総量規制を超えて借り入れる方法があるとはいえ、誰でも利用できるわけではありません。
少しでも審査で有利になるためには、返済遅延をしない、安定収入を増やすなどして金融機関からの信用を積み上げる必要があります。
また、自分のステータスが心配な方は、信用情報機関に問い合わせて信用情報をチェックすることも可能です。
信用情報に傷がついていないか、ブラックリストに入るようなステータスでないかを確認しておきましょう。
返済計画をたてて無理のない融資を行うことが大切
総量規制が無いから上限を気にせず借りられるのでは無く、審査は厳しく行われます。
審査に通りやすくするためにも、本当に必要な額だけを希望することが大切です。
返済できない事態に陥ってしまうと、任意整理せざるを得なくなります。
気軽に任意整理を勧めるサイトも多いですが、信用情報に傷がつくため、できるだけ自力で返済していくことも大切です。
銀行カードローンに総量規制はありませんが、無理のない範囲で返済をしていけるよう、計画をたてて利用しましょう。