クレジットカードの任意整理は、債務整理の一種で、債務者が自ら債務整理手続きを行うことを指します。
主に個人が多重債務に陥った場合に、返済が困難な状況を改善するために行われます。
主なメリット
○ 当事者間の話し合いによるため、柔軟な返済計画を組むことが可能
○ 引き直し計算により、借金の額の減額が可能
○ 受任通知により取立てが止まる(全ての手続に共通)
主なデメリット
○ 当事者間の任意の話し合いのため、話し合いに応じない貸金業者に対する強制力がない
○ 事故情報に登録される恐れがある(全ての手続に共通)
デメリットの1つとして「事故情報に登録される恐れがある」とありますが、事故情報に登録されることで任意整理後のクレジットカードの利用にも影響する点には注意が必要です。
そこで今回の記事では、任意整理後のクレジットカードの利用はどうなるのか、また任意整理の注意点やクレジットカードウィ使い続ける方法について解説していきます。
クレジットカードの任意整理とは
クレジットカードの任意整理は、借金の返済に苦しんでいる人が貸金業者と交渉し、返済負担を軽減するための手続きです。
専門家である司法書士や弁護士が介在して、利息のカットや減額、返済期間の延長などを交渉します。
ただ、任意整理を行ったことが信用情報に影響することもあるため、その点も考慮に入れた上で慎重に判断する必要があります。
クレジットカードの任意整理とは
- ショッピングリボ・キャッシングでも任意整理できる
- 任意整理すれば長期分割や金利カットもできる
- 元本を減額できる可能性がある
ショッピングリボ・キャッシングでも任意整理できる
クレジットカードによるショッピングリボ払いやキャッシングで発生した借金も、任意整理の対象となります。
多くの場合、借金の元金をカットすることは難しいですが、利息のカットや返済期間の延長により、月々の返済額を減らすことが可能です。
任意整理すれば長期分割や金利カットもできる
任意整理を行うことで、弁護士の交渉により、将来発生する利息や遅延損害金を基本的にカットできます。
任意整理を行ったあ後は借金の元本を返すだけでよくなるため、「利息分を返すので精一杯」「元本が中々減らない…」という状況を脱却して借金が減らしやすくなります。
例えば、250万円のリボ払いが月12万5,000円の24回払いで返済されていた場合、任意整理することによって将来発生する利息や遅延損害金を基本的にカットできます。
月々の返済額を約7万円に減らす(原則3年間の分割払い)ことができ、返済負担が軽減されます。
任意整理前 | 任意整理後(利息カット) | |
---|---|---|
返済期間 | 24か月 | 36か月 |
月々の平均返済額 | 12万5,000円 | 約7万円 |
合計返済額 | 289万4,795円 | 250万円 |
【例】250万円のリボ払いを12万5,000円返済している場合(※年利15%)
※利息(未払いの利息、将来の利息)や遅延損害金のカットなどができるかどうかは、カード会社との和解内容による
※年利15%、元利均等払いの約定にて返済した場合を想定
これにより、利息分で大幅な返済負担の軽減が期待できます。
元本を減額できる可能性がある
元本を超えて支払いすぎている利息(過払い金)がある場合、任意整理することで払い戻しを受けることができます。
その過払い金を充当することで、元本および借金を減額することができます。
クレジットカードの任意整理をした場合のデメリット・注意点
クレジットカードの任意整理をした際に起きることについてまとめています。
任意整理にはメリットももちろんありますが、任意整理することによるデメリットについても把握したうえで、実際に任意整理を行うかを判断しましょう。
クレジットカードの任意整理をした場合のデメリット・注意点
- 原則3年間(最長5年)の分割払いになる
- クレジットカードが即日使えなくなる
- 付随するETCカード・家族カードが使えなくなる
- 貯めていたポイントが失効する
- 信用情報機関に事故情報が登録される
原則3年間(最長5年)の分割払いになる
任意整理の和解後は原則3年(最長5年)の分割払いとなり、利息をカットした元本だけを返済していくことになります。
月々の返済額が一定になり、無理のない金額が設定されるので、負担が軽減され返済がしやすくなります。
クレジットカードが即日使えなくなる
任意整理をするとクレジットカードは解約扱いとなり、即日使用できなくなるので注が必要です。
任意整理をした場合、ショッピングとキャッシングを分けて対応してくれるクレジットカード会社はほとんどありません。
また「キャッシングリボだけ任意整理する」といった場合でも、任意整理をすればショッピングもキャッシングも共に利用できなくなります。
付随するETCカード・家族カードが使えなくなる
もしクレジットカードに家族カードやETCカードを付随している場合、任意整理すると利用できなくなります。
しかし使い続けていると、クレジットカード会社から連絡が来たり、法的措置を取られたりしますので自主的に利用を中止するようにしましょう。
貯めていたポイントが失効する
クレジットカードを任意整理すれば、クレジットカードは解約扱いになるためポイントも同時に失効になります。
もしポイントがかなり残っているのであれば任意整理前に使っておくことをおすすめします。
信用情報機関に事故情報が登録される
クレジットカードに限らず、任意整理をした場合は信用情報機関に事故情報として登録されることとなります。
信用情報機関とは、金融における支払い能力を判断する個人情報を蓄積していく機関のことです。
任意整理など、支払いが不可能になった際の手続きは「金融事故」として、この機関に登録されることとなり、通称「ブラックリスト」入りとなるので注意しなければいけません。
ブラックリストに一度登録されてしまうと、他社のクレジットカードであっても審査が通らなかったり、新しくローンを組めなくなるなどデメリットがあります。
任意整理後にクレジットカードを利用する方法
任意整理後は基本的にクレジットカードは使えなくなります。
しかしクレジットカードが使えなくなるとさまざまな弊害があるのも事実。
そこでここでは、クレジットカードの代替になる方法やカードを使えるようにする方法についてご紹介します。
任意整理後にクレジットカードを利用する方法
- デビットカードを作る
- 家族カードを一緒に使う
- 信用情報機関に登録された事故情報が消えるまで待つ
- 発行済で未使用のクレジットカードを使う
デビットカードを作る
デビットカードであればブラックリストに登録されていてもカードの発行ができます。
デビットカードとは、カードでの支払いと同時に登録している自身の銀行口座から引き落としされるシステムで、クレジットカードと同等の使い方ができます。
ただしデビットカードの場合、使用後即時登録した銀行口座から引き落とされるので、所持している金額以上は利用できません。
家族カードを一緒に使う
もし家族カードを作ってくれる家族がいるのであれば、作ってもらうのもひとつです。
クレジットカードには、契約者の家族も利用できるカード(家族カード)を作ることができる機能が付帯しているのがほとんどです。
信用情報機関に登録された事故情報が消えるまで待つ
信用情報に登録された任意整理の情報は、通常は数年間残ります。
時間が経つにつれて、信用情報における影響が薄れ、新しいクレジットを得る難易度が低くなります。
発行済で未使用のクレジットカードを使う
支払いに使ったことがないカードに関しては、任意整理の対象にはなりません。
そのため、今まで持ってはいても利用していなかったクレジットカードがあれば、そのカードは任意整理の後でも使える可能性があります。
ただし、未使用のクレジットカードでも更新のタイミング等で、クレジットカード会社に任意整理をした情報が反映される可能性があります。
任意整理後にクレジットカードを作りやすくするコツ
一度ブラックリスト入りしてしまうと、しばらくの期間はクレジットカードを作れません。
しかしこれまでの取引内容や現在の収入によっては、多少ではありながらも期間が前後する可能性もあります。
そこでここでは、任意整理後にクレジットカードを作りやすくなるコツについて解説します。
任意整理後にクレジットカードを作りやすくするコツ
- 任意整理していない会社に申し込みをする
- 複数のカード会社に同時に申し込まない
- 審査に落ちたら半年以上の期間を空ける
- 限度額の低いカードに申し込む
- 新しい信用情報を少しずつ残すようにする
任意整理していない会社に申し込みをする
任意整理など、債務整理によって解約したクレジット会社は、信用情報機関への登録がなくなったとしても契約する際の難易度が上がるといわれています。
したがってもし、新たに契約する際には他社のカード会社に申し込みをおこないましょう。
- ACマスターカード
- 三井住友カードRevoStyle
- Tカードプラス(SMBCモビット next)
- 楽天カード
- アメックス
※Tカードプラス(SMBCモビット next)は2024年9月30日(月)を以てサービス終了となります。
ACマスターカード
ACマスターカード基本情報
金利
3.0%~18.0%
審査時間
最短20分
融資時間
最短即日
無利息期間
30日間
限度額
1万円~800万円
年会費 | 無料 |
---|---|
国際ブランド | Mastercard |
申込資格 | 安定した収入がある人 |
発行スピード | 即日発行 |
還元率 | 0.25%キャッシュバック |
家族カード・ETCカード | なし |
各種保険 | なし |
ACマスターカードおすすめポイント
- 土日祝日でも即日発行が可能
- 年会費が無料
- 自動で0.25%がキャッシュバックされる
ACマスターカードは、アコムが発行しているクレジットカードです。
審査は消費者金融がおこなうため、銀行系カードローンと比べると審査が甘い傾向にあります。
また、クレヒス(クレジットヒストリー)を比較的重視しない傾向にあるとされています。
審査時間は最短20分で完了し、土日祝日でも申し込みが可能です。
緊急でクレジットカードを利用したい人は候補にしてみてください。
複数のカード会社に同時に申し込まない
新たにクレジットカード会社へ申し込む際は1社ずつ申し込むのがおすすめです。
なぜなら同時に何社も申し込むと、カード会社としては「経済状況が悪いのでは」と信頼度にかかわることがあるためです。
審査に落ちたら半年以上の期間を空ける
ブラックリストへの登録が削除されているにも関わらず審査に落ちた場合は、次回の申込みまでに少なくとも半年以上の期間を空けるのがいいでしょう。
短期間にわたって頻繁に申し込みをすると、経済状況が悪いと勘ぐられ、より申し込みがしにくくなるおそれがあります。
限度額の低いカードに申し込む
クレジット利用上限の低いカードを選ぶと、発行の難易度も低くなし、小額借入なので返済もしやすくなります。
また徐々にクレジットスコアが向上すれば、制限が引き上げられる可能性もあります。
新しい信用情報を少しずつ残すようにする
任意整理後には、良好なクレジット履歴を築くことが重要です。
定期的に請求書やローンの返済を滞りなく行い、信用情報を良好に保つことが新しいクレジットを得るための手段となります。
クレジットカードの任意整理に関するよくある質問
クレジットカードの任意整理に関するよくある質問と回答を紹介します。
クレジットカードの任意整理に関するよくある質問
- 任意整理をするとクレジットカードはどうなる?
- クレジットカードの任意整理をする際のデメリット・注意点は?
- 任意整理してもクレジットカードは更新できる?
任意整理をするとクレジットカードはどうなる?
基本的に、任意整理をしたクレジットカードは即日使えなくなります。
任意整理をするとクレジットカードは解約扱いとなり、即日使用できなくなります。
任意整理の際、ショッピングとキャッシングを分けて対応してくれるクレジットカード会社はほとんどないため、「キャッシングリボだけ任意整理する」といった場合も、任意整理後はショッピングもキャッシングも利用できなくなります。
クレジットカードの任意整理をする際のデメリット・注意点は?
クレジットカードの任意整理をした場合の主なデメリットや注意点は下記の通りです。
- 原則3年間(最長5年)の分割払いになる
- クレジットカードが即日使えなくなる
- 付随するETCカード・家族カードが使えなくなる
- 貯めていたポイントが失効する
- 信用情報機関に事故情報が登録される
任意整理してもクレジットカードは更新できる?
ケースによっては可能です。
任意整理後はクレジットカードは全て強制解約というイメージがありますが、任意整理をしても「このクレジットカードでは任意整理をしない」ということも可能です。
任意整理の対象にしなかったカードに関しては、任意整理後も使用できます。
また5年~10年程度の期間が経過し、事故情報が削除されて信用情報が回復すれば、更新できるようになります。
クレジットカードの任意整理で返済負担を軽減しよう
クレジットカードの任意整理をする効果や、デメリット・注意点について解説しました。
クレジットカードの任意整理をすると、利息のカットや減額によって返済負担を軽減できます。
一方で、クレジットカードが即使えなくなる、付随するETCカード・家族カードが使えなくなる、信用情報に影響に影響するといった注意点もあります。
任意整理するなら、メリット同時にデメリットに関しても把握したうえで検討するようにしましょう。